ドリトル先生と森の狼達
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第十二幕その一
第十二幕 守られる生きもの達
三人で学園長さんのお部屋に入りました、すると。
立派な絨毯が敷かれ黒檀の立派な造りの席、そして日本の旗が飾られているお部屋にです。若くて背の高いすらりとした人がいました。
凄く高級そうなスーツとネクタイに身を包んでいて髪は整っています、お顔立ちはまるで貴族、それも東洋の面立ちのそれです。
その人は立っていました、そしてです。
先生達がお部屋に入るとこう言ってきました。
「ようこそ」
「お待ちしていてくれたのですか」
「はい」
園長先生に笑顔で答えるのでした。
「ずっと」
「そうでしたか、お待たせして申し訳ありません」
「いえ、時間は時間通りです」
「そうでしたか」
「お話は伺っています」
この若く整った容姿の人は先生達に微笑んでこう言ってきました。
「早速お話に入りましょう」
「わかりました、学園長」
日笠さんがその人、この八条学園の学園長さんに答えました、そして。
学園長さんは先生達にお部屋の中のソファーに座ってもらってです、傍らに控えていた執事の人にでした。
紅茶を入れてもらいました、そして。
学園長さんはご自身の紅茶を見つつ先生に尋ねました。
「先生は紅茶派ですね」
「はい」
その通りだとです、先生は答えました。
「そうです」
「そう聞きましたので」
「紅茶にしてくれましたか」
「はい、そうです」
「有り難うございます、それでは」
「これよりですね」
「お茶を飲みながら」
見ればケーキも用意されています、シフォンケーキです。
「詳しいお話をしましょう」
「それでは」
先生はにこりと笑ってでした、お話に入りました。
学園長さんは紅茶を一口飲んでからです、先生に言いました。
「ニホンオオカミのことですが」
「お話のことですね」
「はい、正直噂は聞いていました」
学園長さんもというのです。
「あの辺りにまだいるという噂は」
「そうだったのですか」
「他にも秩父辺りにも噂がありますが」
まだニホンオオカミがいるというです。
「しかしそれでも」
「それでもですか」
「本当にいるとは」
学園長さんはしみじみとして言うのでした。
「驚きました、そして」
「そしてですか」
「この発見は私もです」
「学園長さんもですね」
「発表すべきと思います」
これが学園長さんのお言葉でした。
「是非共、そして」
「法律で、ですね」
「あの地域自体もです」
ニホンオオカミさん達がいるそこもというのです。
「保護区に指定すべきですね」
「そうですね、ただ」
「はい、法律を無視する人はいますね」
「保護区に保護動物としていても」
それでもというのです。
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