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2部分:第二章


第二章

 皆大きな鍋にそのお魚や貝や海老を入れていきます。お魚は適当な大きさにぶつ切りにしてそのうえで。です。たっぷりと入れて煮てそこにトマトも入れてです。
 そこでお婆さんを呼びます。お婆さんは子供達に手を引かれてゆっくりとした足取りでやって来ます。
「一体何なのかしら」
「僕達のプレゼントです」
「お婆さんに対して」
「それです」
 子供達は笑顔でお婆さんに話します。
「それで作ったんですけれど」
「お鍋です」
「どうですか?」
「あらまあ」
 自分の為に子供達がお鍋を作ってくれたと聞いてです。お婆さんは思わず笑顔になってしまいました。
「皆私の為に」
「だって僕達いつもお世話になってますし」
「ですから」
「どうぞ」
 こう言ってです。お婆さんにそのお鍋を勧めます。見れば大きな鍋の中に色々な魚介類がトマトと一緒に煮られています。皆はお婆さんにそのお鍋の前に座ってもらってそのうえでお椀の中に色々なものを入れてスプーンを出します。
 それで食べてみるとです。その味は。
「美味しい?」
「どうですか?」
「それで」
「美味しい」
 お婆さんの最初の感想です。目を細めさせて言うのでした。
「とても美味しいわ」
「美味しいんですか?このお鍋」
「本当に」
「そんなに美味しいんですか」
「ええ、とても」
 その優しい笑顔でまた言います。
「美味しいわ」
「そうですか。それだったら」
「どんどん食べて下さい」
「遠慮せずに」
「いえ、私だけじゃなくて」
 お婆さんはここで周りの子供達にも言うのでした。
「皆もね」
「僕達もですか」
「いえ、それは」
「これお婆さんの為のものですし」
「いいのよ」
 けれどお婆さんはまた皆に言うのでした。
「皆で食べてね」
「皆でって」
「本当にいいんですか?」
「それで」
「私一人でこんなに食べられないし」
 お婆さんはこうした理由も話しました。
「だから余計にね。皆でね」
「そうですか。それじゃあ」
「僕達も」
「食べさせてもらいますね」
「それだと」
 皆もそれに頷いてです。それぞれお椀とスプーンを出してお鍋を食べてみます。するとその味はどうかというとです。
「うわっ、何かこの味って」
「思ったよりも」
「よくない?」
「そうよね」
 皆お鍋を囲んで顔を見合わせてそのうえで言うのでした。
「トマトの味もよく出てるし」
「お魚の味もどれもよく出てるし」
「貝も海老もね」
「どれもいいわよね」
「美味しい」
 そしてこの言葉が出たのでした。
 
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