moon light fantasy
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Asmodeus rhapsody 中章
前書き
エロい?エロくナーイ。
「はあ…はあ…!」
どうやらフォルツは気を失ったらしく。動かなくなった。
アスモディウスは慌ててフォルツを踏みつけるのを止める。
「おっと、いけない。これではせっかくのコレクションが台無しです。
それにしても夢幻剣の遣い手…なんて素晴らしいお人形なのでしょう。」
そう言ってうっとりした表情でフォルツを持ち上げると玉座の奥にあるゼツ、リナの入れられている試験管とは別のもう一つの試験管へと足を運ぼうとした。
…運ぼうとしたのだ。だがそれは出来なかった。
「暴風雨の矢。」
そう誰かが唱えた途端。水の弾丸が突風と共にアスモディウスを襲った。
「⁉︎」
アスモディウスのやった事は簡単だった。咄嗟にフォルツを横に投げ、アスモディウスはその逆方向に飛んだのだ。
それはリナの技術。不意打ちにとっさに対応する技術だった。
「まったく…。今日はお客様が多いですね。」
そう言ってアスモディウスが見る先には白い髪のジト目の少女。アリスが立っていた。
アリスはそのジト目のまま、ゼツ、リナ、フォルツの状況をチラッと見て。アスモディウスに向かって一言。
「…気持ち悪いですね。吐き気がします。というか吐いていいですか?」
「これはこれは美しい子猫さんだ。しかもとても口が悪いと見える。」
そんなアスモディウスを尻目に、アリスはいつの間にかにフォルツのところにいた。
そして。
「こんなにボロボロになって…。」
アリスはニナが言っていた言葉を思い出した。
フォルツはね。生き急いでるんだよ。
ああ、そう言う事なのか。きっとフォルツはどうでもいいんだ。たった今。分かった。
たとえ、手足を焼かれようと心を砕かれようともきっと復讐という名のゴールに向かって走るのだろう。
…例え、その途中で命尽きようとも。
「アリスちゃん。お願いがある。」
そんな事を考えていると不意にニナが出てきて話しかけてきた。
「3分間…だけでいい。どんな手段でもいいから炎帝から時間取れる?」
「…え?」
ニナはそういってフォルツを見てマジメな口調で言う。そして再びアリスを見る。
「さっきのあった時…。宿で話した通りに進んでるんでしょ?」
「…ええ。ランさんが派遣したギルド人員が今、囚われた人々を救出して、魔法陣で送っている所です。」
そう、この館に入る前…。魔法陣で飛ぶ前に宿でニナにこんな提案をされていた。
「…僕達はとある事情で炎帝の場所がピンポイントで分かるんだ。」
宿のロビーで私が黙って魔道書を読んでいると不意にニナが話しかけてきた。私は魔道書から目を離さずにその言葉に問いかける。
「何故ですか?」
「それは企業秘密。それはともかくとして。
だから、僕達が炎帝とドンパチしてる間にアリスちゃんは囚われた人々の救出を頼めるかな?
ランちゃんもギルドの人員を派遣するって言ってたし。」
そう言ってニナはニコッとして。話を続ける。
「それでお願いがあるんだ。」
「…お願い?」
ふわふわ浮いていたニナは私の座っているテーブルの上に座るとぺこりと頭を下げる。
その姿を見て、私はこの会話の中で初めて目を見開いた。
「もしも救出が速く終わったら。僕達を助けに来てくれないかい?」
「…炎帝を倒す自信が無いんですか?」
「無い。」
私はそう言ってニナを睨むと。ニナは即答した。
「まず勝てないだろう。なんせ五強であるゼツ君すら下してる化け物だ。
それに…。」
そこでニナは悲しそうに笑った。その笑みはどこか諦めている笑顔だった。
「フォルツはいつまでたっても半人前だ。トランスを使わなければね。
んで。助けに来てくれと行ってもアリスちゃん。君は女の子だ。『炎帝』の『魅惑の魔眼』に引っかかる可能性がある。」
ニナはそう言ってとある紙を渡してきた。
「…分かりません。3分間も保つかどうかなんて。」
「アリスちゃん…。」
「ですが…。」
アリスは片手で持てるサイズの杖を取り出し。
「出来るか出来ないかじゃない…!やるかやらないかの問題なのかは分かります。
それは…もちろん。やります。」
そしてキッとアリスはアスモディウスを睨んだ。するとアスモディウスは微笑んだ。
「おお、怖い怖い。…でも貴女もかなりの美少女。
子猫ちゃんは傷は付けないよ?…忘れたかい?私には『魅惑の魔眼』があるのですよ?」
そう言ってアスモディウスの紅い眼が妖しく輝く。アスモディウスは誘惑する様な口調で。
「おいで。アリスさん。」
「…!」
するとアリスの体が勝手にアスモディウスの方へフラフラと動いていく。そしてアスモディウスを抱き締めた。
そうしてアスモディウスはニヤリと笑いながらアリスの身体のラインをいやらしくなぞる。それをアリスは恍惚の表情でそれを受け入れる。
「…はあ…はあ…。」
「ふふ…そんな私の意のままに動く子猫ちゃんは好きですよ?
さあ、首元を見せて下さい。」
「…はい。アスモディウス様。」
アスモディウスを見上げるアリスの眼はもうハイライトが灯っていなかった。アリスは黙ってローブをはだけさせてその白い首元をアスモディウスにさらけ出す。
「それでは血を頂くとしますか。
それにしても顔立ちも美しくスタイルもいい。そっちの意味でも食べたいくらいです。
…まあ、それは後でゆっくり楽しむとしましょうか。」
「…アスモディウス様。」
アリスはふと、アスモディウスの名前を呼んだ。それに対して優しげな笑みで尋ねる。
「どうしましたか?」
そうしてアリスの瞳を再び見ると…。
明らかに嫌悪感たっぷりのいつものジト目のアリスの姿があった。
「貴方はやはり気持ち悪いですね。」
そう言ってアリスはアスモディウスの腹に杖を突き立てていた。
その不意打ちにアスモディウスは反応出来なかった。
「な⁉︎」
「暴風雨の矢。」
超至近距離からの水の弾丸と突風はアスモディウスを玉座の所でまで吹き飛ばした。
アリスはその場で膝をついた。
「はあ…はあ…。
危なかった。ニナさんから魔法陣の紙をもらわなかったら本当に虜になっていた…。」
そう言って懐から出したのはニナの唯一の魔法。『満月』の魔法陣が描かれた紙だった。魅惑の魔眼にかかったら10秒後に発動するように調節された。ニナの力作だった。
「まったく…。これだから子猫は…。」
アリスはハッとして玉座の方をみるとボロボロになりながらも立つアスモディウスの姿だった。
「くっ…!」
「貴女は屈服させます…。身も心も壊して奴隷の様にしましょう。
だから…遊びは終わりだ!」
アスモディウスはそう言って腕を伸ばし。
「火炎流星群!」
アスモディウスの周りから現れる無数の炎弾。アリスは大技である暴風雨の矢とニナの満月を使っている。
不味い…。そうして炎弾の当たる所で。
「あんたもたまにはやるんだな。」
目の前に躍り出る黒い影。その手には夢幻剣が握られている。
…彼だ。
「…!フォルツ。」
「な⁉︎」
アスモディウスとアリスが驚く中。黒い影は放たれた炎弾をリズミカルに切り飛ばした。
そしてアリスの前にたって、ため息をつく。
「今までR-18指定されそうな感じでしたね。お姫様。
…さて。頑張ったお姫様には後でご褒美を。」
「ひ、姫⁉︎それにご褒美って…?」
いつもの他人を突き放すフォルツとは違い。どこか紳士的な態度でアリスに接する。アリスは内心ボソッと。
…すごいキザなんですけど…。
「さて、お姫様の心は俺の物。
この変態。俺が相手だ。」
「貴様は…!」
アスモディウスは震えてそう言う中。その黒い影はにやっとして。
「フォルツ・レープリカ…。トランス状態かな?」
そしてフォルツの眼はヴァンパイアの瞳…紅く染まっていた。
後書き
どっかのヒスってる誰かさん見たいですね。トランス・フォルツ。
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