リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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Another63 怪物愚王
前書き
ヴェノムヴァンデモン戦開始。
ヴァンデモンもといヴェノムヴァンデモンは怒り狂いながら大輔達を探していた。
暗黒の力の恩恵かは不明だが、本来理性を持たない破壊と殺戮の衝動のみのヴェノムヴァンデモンがしっかりとした理性を持っていた。
しかしヴァンデモンからしてみればこの究極体の醜悪な姿は不本意極まりなく、このような姿をさせた元凶を探す。
大輔『あーあー、聞こえるかねヴァンデモン?』
アインス『大輔、どこからマイクを…それから何でそんな偉そうな口調…』
大輔『気にすんな。俺達はここだから暴れんなデカブツ』
ヴェノムヴァンデモン[っ…!!見つけたぞ…]
大輔とアインスは意外そうにヴェノムヴァンデモンを見つめる。
大輔「あれ?理性がある。何で…ああ、暗黒の力で理性を保てるようになったのか。良かったな」
満面の笑顔で嫌みたらしく言う大輔にヴェノムヴァンデモンは口から業火を吐き出した。
パイルドラモンイクス[エレメンタルボルト!!!!]
咄嗟に完全体に進化して、雷撃で業火を相殺した。
アグモン達も進化してヴェノムヴァンデモンを迎え撃つ。
メタルグレイモン[ギガデストロイヤー!!]
ワーガルルモン[カイザーネイル!!]
ガルダモン[シャドーウィング!!]
アトラーカブテリモン[ホーンバスター!!]
リリモン[フラウカノン!!]
ズドモン[ハンマースパーク!!]
ペガスモン[シューティングスター!!]
ネフェルティモン[ロゼッタストーン!!]
ビットモン[キャロット爆弾!!]
9体の必殺技がヴェノムヴァンデモンに炸裂した。
太一「やったか!?」
ヴェノムヴァンデモン[タイラントサベージ!!!!]
ヴェノムヴァンデモンの豪腕がメタルグレイモン達を薙ぎ払う。
薙ぎ払われたメタルグレイモンは勢いよく地面に叩きつけられた。
アインス「今の状態では相手にならないか…」
ヤマト「くそ、強い…」
ビットモン[だろうね、あいつは完全体よりランクが上の究極体だから]
光子郎「き、究極体!!?」
太一「完全体より更に上があったのか!!?」
アインス「ああ、それに暗黒の力で強化されている。今の状態では倒すのにかなり手間取るだろう」
ヴェノムヴァンデモン[私を倒すだと?虫螻が笑わせるな!!]
大輔「虫螻ね。その虫螻に負けるんだよお前はな」
ヴェノムヴァンデモン[ほざけ!!インフェル…]
エアロブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
ヴリトラモン[コロナブラスター!!]
メガログラウモン[アトミックブラスター!!]
ヴェノムヴァンデモン[ぬうう!!?]
顔面に直撃を喰らったヴェノムヴァンデモンは尻餅をついた。
フェイト「これ以上好きにはさせないよ!!」
ルカ「大体あなた、他人様の世界で何好き放題してんですか」
はやて「覚悟するんやな、ヴェノムヴァンデモン!!」
フェイト達とエアロブイドラモン達が加勢に来てくれた。
心強い援軍に太一達は笑みを浮かべた。
ヴェノムヴァンデモン[まだ選ばれし子供がいたのか!!?一体どうなっている!!?]
スバル「ただの調査不足じゃないの?」
アリシア「馬~鹿☆」
満面の笑みで言い放つアリシアにヴェノムヴァンデモンは歯軋りする。
一輝「ここはてめえの居ていい場所じゃねえんだよ!!今すぐ息の根を止めてやるぜ」
ヴェノムヴァンデモン[ええい…選ばれし子供が何人いようが、もう関係ない。たかが蛆虫の分際で我が前に立ち塞がることが何を意味するか教えてやろうではないか…]
賢「蛆虫だって…?その蛆虫以下の死に損ないのゴキブリ風情のお前が言ってくれるじゃないか……身の程を弁えない今のお前の醜態は正直見ていられないよ……」
そう冷然とヴェノムヴァンデモンを嘲笑するのは、前の時間で大輔と共に永い永い時間を戦い続けた親友の賢。
ヴェノムヴァンデモン[貴様…]
大輔に続いて自分に耐え難い屈辱を与えた選ばれし子供の出現に歯軋りする。
賢「やあ、大輔。待たせたね」
大輔「遅いぞ賢」
不敵に笑い合う2人。
ユーノ「さあどうする?選ばれし子供とデジモン達がフルメンバー集まっちゃったよ?」
ツカイモン[もうお前に勝ち目など微塵もない。]
ヴェノムヴァンデモン[ほざくな!!究極体となった今、貴様らなど…]
フレアモン[紅・獅子之舞!!]
クレシェモン[ダークアーチェリー!!]
フレアモンとクレシェモンが一瞬でヴェノムヴァンデモンに肉薄し、技を繰り出した。
ヴェノムヴァンデモン[ぐおおおお!!?]
アリサ「毎回毎回思うけど一々ウザったいのよあんた」
すずか「あなたの減らず口は聞き飽きました」
尻餅をついたヴェノムヴァンデモンを冷ややかに見つめるアリサとすずかにヴェノムヴァンデモンの怒りは頂点に達した。
ヴェノムヴァンデモン[調子に乗りおって!!ヴェノムインフュー…]
パイルドラモンイクス[フルチャージデスペラードブラスター!!!!]
妨害するようにパイルドラモンイクスが全力全開の砲撃を放った。
ジュエルビーモン[喰らえヴェノムヴァンデモン!!]
ショットクローの2連撃とスパイクバスターの斬撃を繰り出すジュエルビーモン。
斬撃により、ヴェノムヴァンデモンの左腕を斬り落とされた。
賢「ピンチになったら図体頼みって言うのも芸がないよね。まあ、脳筋のお前にはお似合いの醜悪な姿だよそれ」
ヴェノムヴァンデモン[貴様あああああ!!]
賢の嘲笑と共に放たれた言葉に激怒したヴェノムヴァンデモンは腕を再生するとジュエルビーモンの肩に乗る賢を殺すために豪腕を伸ばした。
ルカ「ティア!!」
ティアナ「ええ!!ガルムモン!!」
ヴリトラモン[コロナブラスター!!]
ガルムモン[ソーラーレーザー!!]
炎と光の十闘士の後継者2体の同時攻撃がヴェノムヴァンデモンに炸裂。
大きく後退する。
スバル「メタルグレイモン!!ギガデストロイヤー!!なのはさん!!」
なのは「OKだよスバル!!」
ジョグレスパートナーなために僅かな言葉で意味が通じる。
ルカもティアナも、大輔と賢も。
そしてこの場にはいない未来の娘達、アリシアの親友も。
メタルグレイモンXのギガデストロイヤーに乗り、ヴェノムヴァンデモンにワーガルルモンXが接近。
一気に跳躍し、強烈な回し蹴りをヴェノムヴァンデモンに喰らわせ、たたらを踏んだヴェノムヴァンデモンにメタルグレイモンXのミサイルが炸裂し、再びヴェノムヴァンデモンを地面に這い蹲らせた。
一輝「パンジャモン!!殺れ!!」
遼「グレイドモンも続くんだ!!」
パンジャモン[了解!!獅子王丸!!]
グレイドモン[クロスブレード!!]
パンジャモンとグレイドモンの斬撃がヴェノムヴァンデモンの身体を細切れにしたが、即座に再生してしまう。
一輝「なる程、再生能力だけは厄介だな」
ヴェノムヴァンデモン[ぐうう!!蛆虫共が!!]
一輝「ハッ、蛆虫以下のてめえがほざくんじゃねえよ。」
女性と見間違うような端麗な顔が嘲笑で歪んだ。
大輔「さあ、太一さん達。奴に再生の隙を与えるんじゃない!!」
太一「よし、俺達も続くんだ!!」
太一達のパートナーも攻撃に参加する。
完全体、アーマー体の一撃一撃の威力は強力な再生能力を持つヴェノムヴァンデモンに致命傷を与える事は出来ないが、全員の力が結集されれば必然的にヴェノムヴァンデモンと言えど侮れない威力となる。
ヴェノムヴァンデモン[己!!ヴェノムインフューズ!!]
反撃を繰り出すが、1体1体が歴戦を潜り抜けてきたデジモン達だ。
ヴェノムヴァンデモンのパワーは究極体に相応しく確かに凄まじい物があるが、巨体故に動きが鈍く、攻撃は大振り、そのために距離を置けばそれなりの実力があれば翻せるのだ。
しかしどれだけ攻撃を重ねてもヴェノムヴァンデモンは即座に再生してしまう。
空「駄目!!直ぐに再生してしまうわ!!」
ギンガ「簡単に諦めないで下さい。再生が間に合わなくなるくらい攻撃を加えればいいんですから!!」
アリシア「そうだよ!!」
Bウォーグレイモン[ウォーブラスター!!]
エンジェウーモン[ヘブンズチャーム!!]
小型エネルギー弾と光線を連射するブラックウォーグレイモンとエンジェウーモンだが、やはりヴェノムヴァンデモンの再生速度が上回る。
ヤマト「くそ…勝てるのか…?」
諦めるつもりは毛頭ないが、いくら攻撃を加えてもすぐさま再生するヴェノムヴァンデモンには少し不安が出て来た。
賢「ええ、勝てますよ確実に」
その時、ヤマトの近くにいた賢から声が届いた。
賢「僕達には彼がいる。過去にどんな絶望も不屈の精神で跳ね返してきた僕達の希望の象徴がね。暗黒の力に……悲しい力に縋ったヴェノムヴァンデモン如き敵ではないですよ」
そう、どのような困難にも決して諦めず、真正面からぶつかっていった英雄がいる限り。
大輔「パイルドラモンイクス!!ぶちかませ!!」
パイルドラモンイクス[フルチャージデスペラードブラスター!!]
強烈な砲撃を零距離でぶちかますパイルドラモンイクス。
大輔「全員パイルドラモンイクスに続け!!ヴェノムヴァンデモンに再生の暇を与えるな!!」
全員【おう!!】
全員が持てる限りの力をヴェノムヴァンデモンにぶちかます。
再生速度を超える攻撃にヴェノムヴァンデモンが呻く。
ヴェノムヴァンデモン[図に乗るな!!]
ヒカリ「あ!!」
太一「しまった、ヒカリ!!」
攻撃に集中し過ぎて、ヒカリから目を離してしまった。
ヴェノムヴァンデモンの足がヒカリに向けて振り下ろされようとしている。
ヴェノムヴァンデモン[両世界を統べる王に刃向かった報いを受けるがいい!!]
ヒカリ「きゃあああああ!!」
振り下ろされる寸前、パイルドラモンイクスとジュエルビーモン、エアロブイドラモン、メガログラウモンがヴェノムヴァンデモンの足を押し止めた。
ヴェノムヴァンデモン[な、何い!!?]
パイルドラモンイクス[阿呆な発言もここまでとなれば笑えてくるな。そいつが世界を治める王様ってツラか?どこからどう見ても魔獣や魔人の類のツラだ。それこそヒーローにぶっ飛ばされる方のな]
エアロブイドラモン[同感。一度自分の顔を鏡で見直してくるんだな!!]
メガログラウモン[無様な今の貴様にデジタルワールドの居場所があるかは知らないがな]
ヴェノムヴァンデモン[無様だと…!!?]
ジュエルビーモン[今のお前の姿が無様でなければ一体何だ?今のお前の姿を見たら、お前に付き従ってきた部下達も失望するだろうな。両世界を統べる王となる野望をほざいていながら自分の力を自力で高めることもせずに身近な力に縋った挙げ句、限りある肉体を捨てた根性なしの臆病者がっ!!]
エアロブイドラモン[はああ…ドラゴンインパルス!!]
ヴェノムヴァンデモンの足がエアロブイドラモンの突進で粒子すら残さず消し飛ぶ。
ヴェノムヴァンデモン[ぐおおおお!!?]
賢「大輔、アインス。パイルドラモンイクス。ビットモン。後は君達が決めろ。いいな?ジュエルビーモン!!」
ジュエルビーモン[了解!!]
上空に飛んだジュエルビーモンは槍を構えてヴェノムヴァンデモンに向けて急降下しながら叫ぶ。
ジュエルビーモン[さあ、受けて見ろヴェノムヴァンデモン!!僕の渾身の力を込めた必殺のスパイクバスターを!!!!]
急降下の速度を上乗せした衝撃波はヴェノムヴァンデモンの巨体すら真っ二つに両断した。
ヴェノムヴァンデモン[が…ああ…!!?]
大輔「パイルドラモンイクス!!」
奇跡のデジメンタルをパイルドラモンイクスと同化させた。
アインス「とどめだロップモン!!デジメンタルアップ!!」
運命のデジメンタルを取り出すアインス。
パイルドラモンイクス[究極進化!マグナモン!!]
ロップモン[ロップモンアーマー進化!ラピッドモン!!]
黄金の鎧を身に纏うマグナモンとラピッドモンが真っ二つにされたヴェノムヴァンデモンに急接近する。
マグナモン[とどめだ!!シャイニングゴールドソーラーストーム!!]
ラピッドモン[ゴールデントライアングル!!]
2体の黄金聖騎士から放たれた必殺技はヴェノムヴァンデモンを完全に、粒子すら残さず消滅した。
ヴェノムヴァンデモンの消滅を確認した子供達は歓声を上げた。
大輔は賢の元に歩み寄る。
大輔「やったな、賢。凄かったぜ最後のスパイクバスター」
賢「大輔とアインスこそね。さっきの一撃はお見事」
アインス「今回は助かった。流石に私達だけでは長期戦は免れなかっただろうからな」
はやて「気にするんやないって」
ヴァンデモン『ふ…はははは…』
ヒカリ「え?」
タケル「こ、この声…」
周りを見渡すと靄のような物があった。
それから聞こえてきたのはヴァンデモンの声。
ヴァンデモン『馬鹿め!!私は不死身なのだ!!代わりの肉体さえあれば直ぐにでも復活出来る。最強のデジモンの肉体を奪い、貴様等に復讐してやる!!』
そう叫んでマグナモンに向かうヴァンデモンだが、ジュエルビーモンが間に入り、槍を一閃した。
ヴァンデモン『馬鹿め、実体のない私が斬れるわけ…な、何!!?』
斬られた靄の部分が消滅しているジュエルビーモンの方を見遣ると槍には凄まじいくらい高純度の暗黒エネルギーが込められていた。
賢「………」
ジュエルビーモン[暗黒の種の力もこういう時には役に立つな…毒を持って毒を征す…か]
ヴァンデモン『あ、暗黒の種だと……!!?わ、私ですら手に入れることが出来なかった物を……!!』
ジュエルビーモンは更に槍を振るい、ヴァンデモンを消滅させる。
ヴァンデモン『ぐ…おお…』
ジュエルビーモン[もう2度と蘇るな。お前の顔はもう見たくない]
冷徹に告げるとヴァンデモンの靄が消えた。
大輔「(死んだ…か?それとも…生きているか…?)」
しかし肉体のない状態であれだけ傷つけられれば、いずれ消滅するだろう。
及川はこちらの味方についた。
宿主がいないヴァンデモンは生きていたとしてもすぐに消えるだろう。
現実世界での戦いが終わった。
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