転生とらぶる
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マブラヴ
1079話
『我々アメリカ軍の調査により、現在この世界で最も忌むべき存在であるテロリスト、それもBETAに対しては抵抗せずに命を差し出せという馬鹿げた主張をしている、キリスト教恭順派の後ろにいる存在を突き止めた。この世界に生きている者であれば、当然現在の状況を知っている者が殆どだろう。即ち、シャドウミラーという存在がこの世界に来たおかげもあり、BETAに対して有利な戦況になっていると』
そこで一旦映像を止める。
映像モニタに映し出されているのは、50代半ば程の頭が禿げている白人の男。
アメリカの非難声明を出した人物だが、少なくてもアメリカの大統領のビル・レーガンではないのは確実だ。
まぁ、大規模な成形手術を受けたとなれば話は別かもしれないが、まさかそんな訳がないだろうし。
マブラヴ世界は延々とBETAと戦っている影響で治療技術……それも整形外科とか、そっち関係が大きく発展しているんだよな。それこそ俺の知っている限りではネギま世界、ギアス世界よりも外科に限って治療技術は上だろう。
SEED世界は遺伝子の方でかなり高い技術を持っているし、マクロス世界は言うに及ばずだ。……ネギま世界も魔法を使えば話は別だが。
とにかく、今映像モニタの中で大袈裟なまでの身振り手振りで話している人物を、俺は知らない。
「この人物が誰か知ってるか?」
「あのねぇ、アメリカの重要人物くらい覚えておきなさいよ。彼は国務長官ベン・レッシングよ」
俺の質問に、エザリアがどこか呆れた様に呟く。
……ちなみに、俺以外にもエザリアの言葉に納得したように頷いている者がそれなりにいたのだが。
「アクセルの場合はシャドウミラーの代表でしょ。有力な国の閣僚くらいは覚えて置いてもいいんじゃない?」
シェリルの言葉に頷ける部分もあるが、そもそも俺の場合は普通の世界の政治家と違って幾つもの世界とやり取りをしている。
その上、マブラヴ世界ではアメリカが確かに国力が1位の国かもしれないが、シャドウミラーとしてそれ程親しく付き合っている訳ではない。
国の順位で考えれば、最重要国が俺達と最初に接触したオーストラリア。その次が日本、イギリス、中東連合、アフリカ連合といったところか。
勿論悪い関係という訳ではないが、それでも決して親しいという訳ではない。
大統領のビルは出来るだけ俺達と仲良くしようとしているが、向こうは向こうで政治的な問題が色々と多いんだよな。
なまじ国力があるだけに、内輪でも色々と揉めていたりする。
「大統領ならともかく、閣僚まではちょっとな……」
そこまで告げ、映像を再生させる。
『そんな状況であれば、当然恭順派が影響力を持つ筈がない。だが、実際はこれまでにも幾度となく恭順派はテロを起こしてきた。……現在の世界情勢で、とてもではないが資金や資源、兵力といったものを集めるのが難しい筈なのにだ。何故か! それが可能な存在が恭順派の背後にいて、援助していた為だ。アメリカ軍は、以前から恭順派の後ろにいる存在が誰なのかを調べてきた。そうしているうちに、同盟国でもある日本帝国から恭順派の本拠地と思しき場所の情報を得た。正直、その報告を聞いた時には私は信じられなかった。何しろ、恭順派の本拠地があるとされたのが租借地としてソ連に貸しているアラスカ。より正確にはアラスカとアメリカの緩衝地帯とも言うべき場所にあったのだから。そう、世界の警察たる我等アメリカのすぐ近くに恭順派の本拠地はあったのだ。それを知った私達は、すぐにでも本拠地を攻略するべく行動を起こす。そこに協力してくれたのがシャドウミラーだった!』
上手いな。ここで俺達シャドウミラーの名前を出す事で、他の国の反論を封じるか。
確かに現在のマブラヴ世界が俺達のおかげでここまで盛り返してきた以上、シャドウミラーのお墨付きがあれば、余程何か不都合がない限りは他の国にしても文句は言いにくいだろう。
『正直、私達の世界の事でシャドウミラーを頼るのはどうかという意見もあったのだが、恭順派はシャドウミラーを狙っているという事もあって、私達はシャドウミラーとの共同作戦に踏み切った。そうして、いざ恭順派の本拠地へと攻撃を仕掛けた時、そこで待っていたのは無数のF-15Eだった!』
ベンの後ろにある映像モニタに、強襲作戦の時の映像が映し出される。
アメリカ軍のF-15Eと、恭順派のF-15Eが戦っている映像。
あの時の作戦に参加した機体の映像データだろう。音声に関しては消しているので映像だけだが、それが不思議な緊迫感を見る者に感じさせる。
外見的には全く違いない為、外側から見る限りではどちらがどちらなのかの判断をするのは難しい。
『ご覧の通り、敵味方含めて最新鋭機と言ってもいいF-15Eが入り乱れる戦いとなった。……さて、今私の話を聞いている人にも分かりやすく説明すると、このF-15Eという機体は近年アメリカ軍が開発したばかりの新型機であり、前線ですらまだそれなりに珍しい機体となっている。それ程に珍しい機体が、何故恭順派というテロリストに……それも現在の世界情勢から考えて、力を落としている恭順派がこれ程用意出来たのか不思議に思わないだろうか。少なくても私はこの話を聞いた時には信じられなかったし、そして作戦に参加した機体に残っていたこの映像を見た時には目を疑いもした。だが、事実なのだ。事実、恭順派はアメリカ軍の中でも最新鋭機のF-15Eをこれだけの数用意していた。……正直に言わせて貰おう。最初私はこの映像と報告を見て、聞いた時に、恭順派の後ろにいるのはアメリカの者なのではないかと思ってしまった』
まぁ、アメリカで開発された最新鋭機をこれだけ用意したんだから、そう思ってしまうのもおかしな話じゃないだろう。
もっとも、本当の最新鋭機という意味ではF-22があるんだが。
『だが……今映像で流れている戦いが行われている最中に、アメリカ軍の特殊部隊が恭順派の本拠地へと潜入。どこと繋がっているかの証拠を探そうとした。その結果、恭順派としてもこれ以上本拠地で持ち堪えるのが不利だと理解したのだろう。本拠地諸共にその場にいる全ての者の命を奪おうと、自爆した』
……うん? 今のちょっとおかしくなかったか? 確かに本拠地は自爆したけど、向こうの主要な人物と思われる者は既にいなかったし、そもそも既に本拠地は人員も殆ど残っていなかった筈だ。
なのに、今の言い方だと恭順派が纏めて自爆したように感じられるが……
『だが、幸いにもその自爆が行われる前に突入した特殊部隊のうち数人が証拠を見つけ出し、一足早く本拠地を脱出していた。その証拠には、特定の人物や組織と幾度となく繰り返し連絡を取っていたことが克明に記されている。その相手との取り引きや資金、資源、人材といったもののやり取りが、だ。そして……その国こそが、ソ連! そう、本来であれば共にBETAを戦うべき同胞であるソ連だった! 私としても信じられないし、信じたくない。だが、明確なまでにソ連と恭順派が繋がっている……否、ソ連こそが恭順派の背後にいる存在であると示す証拠が見つかったのだ!』
その言葉と共に身振り手振りを大きく振るい、沈痛そうな表情を浮かべる。
この演説を見た者は、多くの者がその悲嘆さに同意し、ソ連に対して憎しみを向けるだろう。
それも当然。BETAに対して命を捧げるというのを名目に、これまで幾度となくテロを繰り返してきた恭順派とソ連が繋がっているのだから。
だが……
映像を一旦止めて、視線を他のメンバーに向ける。
俺の視線に反応したという訳じゃないだろうが、イザークが面白くなさそうに鼻を鳴らす。
「そもそも、証拠ってのが出鱈目の可能性もあるんだろう? 実際、こっちで確保した証拠もああだった訳だし」
「そうなると、アメリカ軍が持って行った証拠は最初からソ連に今回の件で濡れ衣を着せようとしてる……とも考えられないかしら?」
「千鶴の意見も分かるけど、でも何だってそんな真似を?」
納得出来ないと呟くスティングに答えたのは、あやかだった。
「色々と理由はありますわ。BETAの侵略が始まったから有耶無耶になってますが、元々アメリカとソ連は東陣営と西陣営に分かれていた敵同士です。私達の力でBETAに対して有利な戦況になったのを考えれば、戦後の事を考えて動き出してもおかしくはありません。それに……」
チラリ、と俺の方に視線を向けた後、どこか言いにくそうにあやかが言葉を続ける。
「アクセル君がソ連を好んでいないというのは、アメリカも既に承知している筈です。その理由がどちらにあるかというものや、あるいはそれが真実かどうかというのはこの際関係ありませんわ。外から見た時にどう見えるか。それが問題なのです。そしてアメリカは私達に対して恩を売れるという大義名分を得た。……考えてみれば、恭順派の本拠地に対する襲撃に関しても、シャドウミラーが戦力を派遣するのを認めたのも、この為の下地だったのかもしれませんわね」
ソ連を嫌っているか。
確かにそれは事実だ。というか、明確な証拠こそ掴ませていないが、今まで散々裏で動かれたんだ。状況証拠でしかないが、ソ連は限りなく黒に近い灰色なのは間違いない。
そんな相手に好意を抱けるか? 答えは否だろう。
だが……だからといって、好き嫌いで国同士の関係を決める程に幼稚な訳でもない。
現にBETAの死骸に対する取り引きはきちんと行っているし、寧ろそちらの取引量に関して言えばマブラヴ世界の中でも多い方だ。
……まぁ、国の中にハイヴを幾つも持っていれば、それだけ死骸を入手するのも難しくはないんだろうが。
それに俺がソ連に対して不信感を抱いているというのは、日本、オーストラリア、アメリカ、中東連合、アフリカ連合、イギリスにMSを提供しているにも関わらず、ソ連に対しては提供していないのを見れば明らかだろう。
それを承知の上で、更に俺達を敵対視している恭順派に対して援助している?
考えられるかどうかと言えば、考えられなくもないが……
微妙な感じがしつつも、再び映像を再生する。
『アメリカとして、ソ連に対しては今回の件に関しての釈明を要求している。だが、ソ連からはそんな事実は一切ないとしか言ってきていない。明確な証拠があるにも関わらずだ! これは、最早世界全体に対する裏切りでしかない! いや、シャドウミラーが協力しているのも思えば、これはシャドウミラーに対しての敵対意識を剥き出しにしているとすらも言えるだろう!』
どうにかして俺達を巻き込もうとしているように思えるな。
実際、ソ連が俺達に対して思うところがあるのは事実なんだが。
『よって、アメリカは国連でソ連に対する非難決議を行おうと思う。無論拒否権を持っているソ連がいるのだから、否決されるだろう。だが……それでも、ソ連に対しての不信を明らかにする事が必要なのだ! また、ここまでしても尚ソ連が自らの非を認めるような事がない場合、それは武力衝突にすら発展するかもしれない。だが、それに関する全責任は全てソ連にあると明言しておく! ソ連の賢明なる判断を希望する』
その言葉を最後に、演説をしていた国務長官ベンの映像は終わる。
「……これって、もしかしてもしかしなくても、俺達がアメリカとソ連の権力争いに巻き込まれたってだけじゃねえの? 今の映像でも、何度もシャドウミラーシャドウミラー繰り返してたし」
「私もムウの言う通りだと思う」
「お、ギルフォードもやっぱりそう思うか。っていうか、あそこまで露骨に俺達の名前を出すとか……なぁ?」
ムウとギルフォードの言葉に、その場の殆どの者が頷く。
それを見て、次に俺が口を開く。
「さて、そうなると俺達としては次にどうするかだが……この権力闘争に反対……いや、介入に賛成する者は?」
誰も手を挙げないだろう。そう思っていたのだが、意外なことに2人の手が挙がる。
その2人は、レオンとあやか。
どういう組み合わせだ?
視線で理由を尋ねると、まずはレオンが口を開く。
「私達を利用する。大いに結構ではないですか。その代わり、私達を利用しようとした場合には大きな代償が必要だというのを教える事も出来ます」
なるほど。レオンの考えは一理ある。実際マブラヴ世界で最大の国力を誇るアメリカを見せしめにすれば、妙な事を考えている者達は、俺達シャドウミラーが自分達の手に負える相手ではないというのは嫌でも理解出来るだろう。
「それに……上手くいけばアラスカその物を入手出来る可能性もあります。アラスカには石油や金属を始めとした豊富な地下資源が存在しています。キブツのおかげで通常の資源には困っていませんが、あればあっただけ便利なのは間違いないですし」
「私もレオンさんと殆ど同意見ですわ。作戦行動の映像を見ましたが、あの爆発はシャドウミラーが被害を受けてもおかしくありませんでした。幸いアクセル君の念動力のおかげで皆が無事でしたが……」
まぁ、考えようによっては、あの爆発が起こると知っていたからこそシャドウミラーの参加者の中に俺の名前があるのは却下だった……という可能性もある訳だが。
そんなレオンとあやかの言葉に、それもありかもしれない。そんな思いがブリーフィングルームに広まっていき、俺が口を開こうとした時、再び映像モニタに量産型Wの顔が映し出される。
『アクセル代表、アメリカ大統領ビル・レーガンから連絡が入っていますが』
「ほう」
さて、俺達を利用しようとしていると思われるアメリカの大統領が、俺に……俺達に一体何の用件があるのか。
少し楽しみではあるな。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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