moon light fantasy
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辺境の主『炎帝』編
プロローグ。
何処かの遠い国。
何処かの遠い世界にラフィンソンという世界があった。
何処かにいた少年はその世界に飛ばされた。そして一匹の猫と仲間と共に世界を駆け回る。
少年はとある理由で心に傷がつき投げやりのな生き方をする様になった。
しかしその少年の心を溶かす様に様々な仲間とともに世界を旅をする…。
辺境の街、ラクーアの酒場。辺境の街という事であまり綺麗な酒場ではないが活気はあった。
「おい。聞いたか?また炎帝が出たらしいぜ。」
「またか?」
どの店も貧しいがかろうじて活気のあるその街ではその噂でもちきりだった。
この街の領主である『炎帝』それは夜中、少女を攫うという噂があった。
実際、数十人の少女が帰って来ていないという話だ。そしてその少女達は『炎帝』に死ぬまで忠誠を誓わせられる…。だから帰ってこないのだと。
「うちの娘も炎帝に攫われたに違いねえ…。」
「おいおい…。またその話か?」
「うるせえ‼︎
…クソっ!炎帝があんな化け物じゃなかったら…!」
そう。炎帝と呼ばれるそれは人間ではない。
炎の魔法を操るがそれが化け物たる由来ではない。彼は吸血鬼…。ヴァンパイアなのだ。そのヴァンパイアの『魅惑の魔眼』で誓わせられるとの噂だ。逆に男は血を吸われグールにされるという。
「おかげで最近おちおち夜も酒を飲めやしねぇ。」
その娘を攫われたという男はドンとビールを置くと決意を固めた眼をして。
「やっぱり俺が行ってやる…!炎帝の城館に…。昼間に行けば問題は無いはずだ…。」
「おいおいやめろ!殺されるぞ‼︎それに昼間でも館の中は日の光が届かないらしい!炎帝は倒せないぞ!」
「うるせえ‼︎娘の為に俺がなんとしても…」
慌てて暴れる男の知り合いを尻目にみてカウンターに座っていた黒ずくめの少年はボソッと聞こえない様に呟いた。その少年は本当に黒ずくめだった。いや、黒ずくめというより暗い雰囲気の格好だ。暗い黒と暗い青のコート。そして何と言ってもコートの下にらとてもコンパクトな真っ黒な軽鎧を着けていた。
「炎を操るヴァンパイア…。炎帝…。奴ではない様だな。」
「…どうするの?」
少年の呟きに反応する白猫。喋るだけでもおかしいのにその猫は明らかにおかしい。なぜならその猫の背中にちょこんと黒い羽が付いていた。しかもその猫はその羽は飾りと言わんばかりにふわふわと浮いていた。
その白猫の問いにカウンターに座る少年は。
「…だが奴に対する道である事は変わらない。」
カウンターから立つとその猫の名前を呼んだ。
「行くぞ。ニナ。」
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ラクーアの郊外にある炎帝の館の前庭の門その前に少年は辿り着くとソナに話しかける。
「ここか。」
「まーね。もっともこの前庭が本館から300メートルもあると考えるとまだまだ先だけどね。」
そう言って猫のソナはクスクス笑う。俺はチラッと門を見る。前庭の門は俺の身長をゆうに超えてそびえ立っている。
「門番などはいない様だな。」
「だけど油断はダメだよ。炎帝はどうやらモンスターを庭に放し飼い…もっぱらグールがいるからね。」
ヴァンパイアに直に血を吸われるとその数分後にはグール。ゾンビの様なものになってしまう。そうしてヴァンパイアに忠誠を誓いながらも見境なく人間を喰らう。そしてその喰らわれた人間もグールになる…。
だが女性の場合は違い、何故かグールにならない。だからこそヴァンパイアに攫われるのだ。どの女の血が美味いかというくだらない理由で。
「…入ってみるか。」
「油断せずにね。」
そうソナが言って門に入ると流石、炎帝の館の庭。さっそくグールがお出まし。3体ほどだが俺に向かってきた。
「…『夢幻剣』。」
そうボソッと呟くと俺の手には大きな黒い大剣が握られていた。ただし刃の部分は白く光っている。
グールの動きは単調だ。欲望のままに俺に向かってくる。しかし力は常人以上の力を持つだからそれさえ気を付けて切り払えばいいだけ。
「…はっ!」
大剣の横薙ぎは一瞬。3体のグールは一瞬で上半身と下半身が永久にさようならした。
「あ…ぁ…」
唸り声の方を見ると前庭の先から次々とグールが溢れ出してきていた。
「どうするの?」
ソナはそう言ってクスクスとまた笑う。俺の答えはただ一つ。
「正面突破だ。」
「ですよねー。」
そうニナが返すと俺は無表情で目前へと迫るグールに剣を向けた。
後書き
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