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ドリトル先生と森の狼達

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第十一幕その三

「そのことは」
「そのことは聞いていました、しかし」
「今回のことはですか」
「驚きました」
「ニホンオオカミさんのことは」
「とてもです」 
 それこそというのです。
「想像もしていませんでした」
「ですがこの毛と写真を調べて頂ければ」
「わかりますね」
「ニホンオオカミのものです」
 紛れもなくと、です。先生はまた答えました。
「それがはっきりします」
「わかりました、あとは」
「あとは」
「先生の今回の奈良県南部の生態系の調査報告自体を読ませてもらい」
 そしてというのです。
「そうしながら」
「その毛と写真の検証をですね」
「させてもらいます、少しお時間を下さい」
「わかりました」
「それまでは少しお待ち下さい」
 こうしてでした、園長先生はまずはです。
 先生の調査報告を読ませてもらいその間先生が差し出したニホンオオカミさんの毛と写真を科学的に検証することにしました。
 そのことをお話してからでした、先生と日笠さんは園長室を後にしました。お話は思ったより早く終わりました、先生が思っているよりも。
 それで日笠さんは先生にこう提案したのでした、戻る時に。
「あの、これからですが」
「これからとは」
「はい、時間がおありでしたら」
 こう言うのでした。
「動物園の中を見て回りませんか」
「これからですか」
「最近巡検もしているのですが」
 その動物園の中をというのです。
「勤務している人が順番で」
「それで日笠さんもですね」
「はい、これから動物園の中を見て回ります」
「動物に異変がないか、おかしな人が中にいないか」
「そうするのですが」
「そうですか」
「如何でしょうか」
 日笠さんは何気なくを装って先生に提案しました。
「これから」
「そうですか、しかし」
「しかしとは」
「実はこれからお茶の時間でして」
「あっ、確かに」
 日笠さんは先生のそのお言葉にしまった、というお顔になりました。
「そうでしたね」
「はい、ですから」
「研究室に戻られてですか」
「そこでお茶を飲みます」
 いつも通りというのです。
「そうしますので」
「だからですか」
「折角の申し出ですが」
 気付かないまま答える先生でした。
「今回はです」
「わかりました、失念でした」
「失念とは」
「いえ、お話に緊張して向かい」
 この辺り先生とは違います、先生はとにかく緊張しない人なのっで。
「それが終わってほっとして」
「そうですか、僕は緊張することがないので」
 それでというのです。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい、そうなので」
「今回もですか」
「お話が長くなると思いましたが」
 しかしというのです。
「それがすぐに終わったので」
「お茶を時間通りに飲めることが」
「嬉しいです」
 そうだというのです。 
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