手の平の中

「しっかりとね」
「貰うものは貰っても」
「ご褒美は返して」
「それでなのね」
「財布の具合も見てるのね」
「そうよ、自分の弟や彼氏に借金させるとか」
　赤字の後でだ、そうしたことをさせることもというのだ。
「女の子として最低でしょ」
「そうよ、だからなのね」
「あんたもしない」
「そうなのね」
「しっかりとね」
「守ってるのね」
「うん、というか何か私って随分悪女に思われてるのね」
　ここでだ、真礼は自分のことを話した。
「随分と」
「はっきり言ってそうよ」
「私達もそう思ってるから」
「悪女だってね」
「思ってるわよ」
　実際にというのだ。
「男二人を手玉にとって操る」
「正真正銘のね」
「違うから」
　断じてというのだ。
「少なくとも悪事を勧めることはね」
「していないっていうのね」
「絶対に」
「そう、二人に聞いてもいいし」
　真礼はさらに言った。
「よく見て、本当にね」
「悪いことを勧めないし」
「二人の状況も見ている」
「そうなのね」
「そこは絶対に守っているのね」
「そのつもりだから。本当によく見てね、若し私がそんなことをしていたら」
　二人に悪いことを勧めていたりすればというのだ。
「その時は言ってね」
「実際にこうして言ってるしね」
「言うわよ、本当に」
「その時はね」
　友人達も言う、そして真礼をあらためて見ればだ、実際にだった。
　真礼は二人に悪いことは決して言わないし財布の具合もわかっていた。そして的確かつ良心的なアトバイスとお願いだけをしていた。
　それでだ、涼真も太洸も言うのだった。
「姉ちゃんがいてこそだよ」
「真礼がいないとな」
「俺なんて何をしたらいいかさ」
「全くわからない」
「俺達の仲がいいのも」
「真礼のアドバイスを受けてだ」
　そのうえでというのだ。