困ったマニア
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「ナチスのあの黒い軍服は好きよ」
「格好いいのは認めてあげるわ」
「実際持ってるしね」
「私も持ってるわよ、ソ連軍の軍服ね」
「それも幾つもよね」
「アルバイトしてお金貯めて勝ったのよ」
すみれは沙織に誇らしげな顔で答えた。
「それで通販で勝ったのよ」
「やるじゃない」
「そういう沙織ちゃんもよね」
鋭い目になってだ、すみれは沙織に問うた。目力はかなりのものだ。
「アルバイトをして」
「そうよ、ドイツ軍の軍服勝ったのよ」
まさにそれをというのだ。
「ネットオークションでもね」
「私もそれ使ったわ」
「それで勲章もね」
沙織はその話もした。
「買ったわよ」
「やるわね」
「柏十字章もあるから」
「こちらも勲章持ってるわよ」
ソ連軍のそれをというのだ。
「負けてないわよ」
「そうなのね、じゃあプラモデルも」
「あの最高傑作の戦車持ってるわよ」
切り札の一つを今出した顔でだ、すみれは沙織に対して言った。
「Tー34ね」
「やっぱりそれね」
「スターリン戦車もあるわよ」
「面白いじゃない、けれどね」
沙織はすみれの攻撃を防いだ、それから反撃に移った。
「それは私もよ」
「ティーゲルかしら」
「パンテルもよ」
こちらの戦車もというのだ。
「ヤークトティーゲル、ヤークトパンテルもあるわよ」
「見事ね」
「それも何両もね」
「数ならこっちの方が上よ、お部屋に一杯あるから」
そのソ連軍の戦車のプラモデルがというのだ。
「ソ連軍の数を甘く見ないことね」
「質より量かしら」
「質も量もよ」
どちらもというのだ。
「プラモデルの完成度には自信があるわ」
「それ見てみたいわね」
「見せてあげるわ、けれどね」
「ええ、けれどよね」
「勝負の時に見せてあげるわ」
すみれは不敵な笑みで沙織に言った。
「シュミレーションでね」
「シュミレーション?」
今のすみれの言葉にだ、部員の一人が首を傾げさせて言った。
「何でそこでシュミレーションなの?」
「そうよね、シュミレーションっていったら」
別の部員の娘も言う。
「あれよね、テレビとかネットでも多いけれど」
「あのボードの上に駒を置いてね」
「サイコロとか使ってやる遊びよね」
「あれのことよね」
「あっ、シュミレーションゲームはもう一つあるのよ」
部長がいぶかしむ彼女達に答えた。
「あのボードと駒、サイコロを使うの以外に」
「っていいますと」
「どんなシュミレーションですか?」
「二人共プレステとかのシュミレーションもやり込んでますけれど」
「他のタイプのシュミレーションもですか」
「するんですか」
「そう、それでそのシュミレーションゲームはね」
どんなものかとだ、部長は部員達に話した。
「プラモデルのディオラマの上にプラモデルを置いて、定規で定められた距離を測りつつ動かして攻撃とかをサイコロで判定してね」
「やっていくものですか」
「そうしたシュミレーションもあるのですね」
「この娘達はそうしたシュミレーションもしてるの」
部長は沙織とすみれを見つつ部員達に話した。
ページ上へ戻る