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戦国異伝

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第二百二十一話 肥後の戦その十一

「ここはな」
「ですか」
「それでは徳川に仕掛け」
「そのうえで、ですか」
「あの家を乱しますか」
「そして織田信長の目が徳川に向かっている間にな」
 まさにその時にというのだ。
「織田家自身に仕掛ける」
「直接仕掛けるのを一旦避けて」
「それからですか」
「そうする、仕掛けるのはじゃ」
 織田家においてはだった。
「これまで以上にな」
「手の込んだ」
「そうしたやり方で、ですか」
「仕掛けそのうえで」
「闇で覆いまするか」
「そこで織田信長を消す」
 まさにだ、そうするというにだ。
「今度こそな」
「天下が統一されても」
「それでもですな」
「織田信長を滅ぼす」
「そうされますか」
「織田家の柱を潰し」
 そしてというのだ。
「それで隙が出来た天下に仕掛けじゃ」
「乱しそのうえで」
「再び戦国の世としますか」
「天下統一を嘲笑い」
「戦と血で満たしますか」
「そうする、まずはじゃ」
 その手はじめにというのだ。
「徳川家よ」
「あの家を乱し」
「そこからですね」
「織田家にですな」
「仕掛けそのうえで」
「織田信長を滅ぼすのですな」
「そうじゃ、織田信長を今度こそ滅ぼす」 
 闇の軸にいる声は強く言った。
「わかったのう」
「はい、では」
「ここは長老のお言葉に従います」
「そのうえで」
「我等の世をもたらしましょうぞ」
「そして面白い者達と会いたい」
 軸にいる老人の声はこうも言った。
「一つな」
「面白い?」
「面白いといいますと」
「それは一体」
「どういった者達でしょうか」
「南蛮の者達じゃ」 
 その者達だというのだ、今では都や堺、そして安土にそれなりにいて目立っている。信長に会っている者も多い。
「あの者達の中に闇の者達がおる」
「我等と同じくですか」
「闇にいる者達がいますか」
「そしてその者達とですか」
「会うわれたいのですか」
「うむ」
 その通りだというのだ。
「そして手を結びたい、他には明からもな」 
「あの国からもですか」
「闇の者達を引き入れますか」
「そうされますか」
「明からも」
「思い出すのじゃ」
 老人の声はここでだ、周りにこうも言った。 
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