FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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天馬の次世代エースvs.妖精女王
前書き
アンケート投票ないから消しちゃいました(笑)
やっぱり自分で考えてみようと思います。
シリルside
「すごかったね」
「うん。なんていうか壮絶だったっていうか・・・」
ウェンディと俺はエルフマンさんの戦いを振り返りそう話す。するとそこに足音が近づいてくるので俺たちはそちらを向く。
「ナツさん!!」
「ルーシィも戻ってきたか」
「おかえりなさい」
戻ってきたのは乗り物酔いで医務室に運ばれていたナツさんとそれを看病していたルーシィさんだった。その後ろにシャルルとセシリーもひっそりとついてきている。
「あれ?グランディーネは?」
「ポーリュシカさんならエルフマンのところについてるわ」
ウェンディの質問にルーシィさんがそう答える。
「シャルルとセシリーももう大丈夫なの?」
「うん!!全然平気~!!」
「・・・」
俺が聞くとセシリーは元気に答えシャルルは顔を伏せて暗い顔をしている。具合悪いなら寝てないとダメなんじゃ・・・
「大鴉の尻尾・・・」
するとナツさんが何やら怒りに満ちた表情で大鴉の尻尾の待機場所を睨んでいる。
「どうしたんですか?」
「何かあったのか?」
俺とエルザさんはナツさんがどうして怒っているのかわからなかったためルーシィさんに聞く。
「実はね・・・」
ルーシィさんから質問を受けて俺たちは驚く。
さっきまで医務室でナツさんを看病していたら突然山賊ギルドにルーシィさん、ポーリュシカさん、シャルル、セシリーが誘拐されたらしい。
でも連れ去られた直後に目覚めたナツさんの追撃でそれは阻止され事なきを得た。
その山賊ギルドが依頼された相手が大鴉の尻尾らしく「医務室にいる少女を連れてこい」ということでルーシィさんたちを拐ったらしい。だからナツさんは大鴉の尻尾に怒っているようであった。
「何それ・・・」
「あいつら、やることが露骨すぎんだろ」
「1人1人戦力を潰していく気か」
俺とグレイさん、エルザさんが話を聞いてそう言う。
「その件なんだけど、ちょっと疑問が残るわね」
そんな中、なぜかシャルルだけは疑問を覚えていたらしい。
「どうしたの?シャルル」
「事件の概要は今聞いた通りで間違いないのだろ?」
「そうだよ~!!」
ウェンディ、エルザさん、セシリーがそう言う。
「大鴉の尻尾な山賊ギルドを使ってルーシィの捕獲を試みた。けどそれはナツの追撃によって失敗に終わった」
「それで筋は通ってるんじゃないの?」
シャルルの説明に俺はそう言う。
「捕まっていたら何をされたかわからんがな」
「やめてよぉ・・・」
エルザさんの発言に不安になるルーシィさん。
「問題はその捕獲方法よ。大鴉の尻尾には私たちを襲った奴、相手の魔力を一瞬で0にする魔導士がいる」
「確かにな。マスターの推測では1日目、ルーシィの魔法がかき消されたのもそいつの仕業と見ている」
あの小さな黒い生き物連れてた鼻の高い人形みたいな奴か。でも俺たちを襲った時はノーランと黒い生き物しかいなかったような・・・バレないように隠れてたのか?
「そんなに捕獲に通じている魔導士がいながらなぜそいつが実行犯に加わらなかったのかしら?」
「そういえばそうだよね~?」
腕を組み考え込むシャルルとセシリー。
「それはバトルパートのルール上、参加者は闘技場の近くにいる必要があるからだろ」
「誰がバトルに選出されるのかギリギリまでわからないですからね」
グレイさんと俺がそう言う。
「考えすぎだよ、シャルル」
「うん。あいつらにとって方法より結果の方が大事だってよくわかったもん」
「ああ。いずれにせよ場外でも私たちを狙うつもりなら、警戒を怠ることなく、なるべく1人にならないように心がけよう」
ウェンディ、ルーシィさん、エルザさんがそう言う。しかしそれでもシャルルの厳しい表情は変わることがなかった。何が引っ掛かっているのか、俺たちには何もわからないが、あまり深く考えすぎても良くないと思うけどな。
『これより、大魔闘演舞二日目第三試合を行います!!』
俺たちが話しているとそんなアナウンスが聞こえてくる。
「シャルル~、そろそろ応援席に戻らないと怒られちゃうよ~?」
「それもそうね。私たちは応援席に行くから、あんたたちも頑張りなさい!!」
「オオッ!!」
「任せときな」
「うん!!」
「無論だ」
セシリーとシャルルの言葉にナツさん、グレイさん、ルーシィさん、エルザさんがそう答える。
「シャルルたちも気を付けてね」
「変なのにあったら叫べよ」
「わかってるわよ」
「じゃあね~」
ウェンディと俺がそう言うとシャルルとセシリーは応援席へと向かっていく。
『青い天馬タクト・オリヴィエ!!』
第三試合はタクトさんが出てくるのか。
『vs.妖精の尻尾Aエルザ・スカーレット!!』
対戦相手はエルザさんに決まったようだ。
「私か」
「頑張ってね!!エルザ」
「俺たちもジュビアのところに遅れを取るわけにいかねぇからな」
「あんな奴速攻でぶっ飛ばしてやれ!!」
「ファイトです!!エルザさん!!」
「全力で応援してますので!!」
俺たちの声援を受けてエルザさんは闘技場へと向かっていく。
『一日目の競技パート『隠密』でその頭角を現した天馬の新星タクト!!対するは妖精の尻尾最強の女魔導士と言われている妖精女王エルザ!!果たしてどのような戦いを繰り広げてくれるのか!?』
さっきのエルフマンさんの闘志溢れる戦いとナツさんの仲間への想いを聞いたことで会場は俺たちを応援してくれる声がかなり増えてきている。本当これはうれしいことだな。
「初めまして」
「こ・・・こちらこそ」
闘技場の中心にやって来た2人。タクトさんはエルザさんに対して礼をするのでエルザさんは驚きながらも礼を返す。
「なんか今日のバトルパートって賭け事ばっかりしてますよね?」
「確かにその通りだな」
「どうでしょう、俺たちも賭け事でもしてみませんか?一夜さんの彼女さん」
「全力で否定する!!」
タクトさんに一夜さんの彼女と勘違いされたエルザさんはそう怒鳴る。
「え?賭けしないんですか?」
「そっちじゃない!!」
しかしタクトさんにはそれが伝わっていなかったようだ。
「他に何かありましたっけ?一夜さんの彼女さん」
「それだ!!私は一夜の彼女などではない!!」
「えぇっ!?」
エルザさんに否定されたタクトさんはまるでこの世の終わりみたいな顔をする。
「ウソだ!!一夜さんが昨日寝言で「エルザさん、いい香りだ」って言ってましたもん!!」
「なせそこから私が彼女ということになるのだ!!」
タクトさんのアホな勘違いにますます怒るエルザさん。そういえば出場選手たちの部屋ってみんな一緒だから一夜さんの寝言も聞けちゃったのか。てかせめて男女で別々の部屋にしてくれてもいいのに。毎晩エルザさんが俺かルーシィさんの布団に入ってくるから困るんだよなぁ・・・
「とにかく、私は一夜の彼女ではない!!」
「でもその方が呼びやすいんですけど」
「どこがだ!!」
いまだにエルザさんとタクトさんは謎のやり取りを繰り広げていた。そんなのに構ってたら埒があかないですよ。
「私が勝ったらその呼び方をやめてもらうからな!!」
「じゃあ俺が勝ったらこの呼び方のままでいいんですね?」
「よかろう」
なんか最初のトビーさんとクロヘビ並みにどうでもいい賭けが成立してしまった。いいのかこんな賭けで?
『何やらまたしても変な賭けが成立してしまいましたが・・・』
『別に何かを賭けなきゃいけないわけじゃないんだがね』
『2人ともかっこよすぎるぜ!!COOL!!』
チャパティさんとヤジマさんも少々あきれ気味。ジェイソンさんだけはとても楽しそうだけど。
『そ・・・それでは気を取り直しまして、青い天馬タクト・オリヴィエvs.妖精の尻尾Aエルザ・スカーレット。試合開始!!』
ゴォーン
試合開始の銅鑼の音と共に最初に動き出したのはタクトさん。
「音楽魔法、花のワルツ!!」
タクトさんの手から大量の花びらの舞がエルザさんに迫る。
「換装!!」
エルザさんは換装するとその花びらを避けてタクトさんに突進していく。
「飛翔の鎧!!」
「速度上昇の鎧ですね!!」
ルーシィさんとウェンディがそう言う。エルザさんのスピードはかなりのものだし、これは当たるだろうな。
「音楽魔法、青い山脈!!」
するとタクトさんはエルザさんの足元から巨大な山を出現させエルザさんは打ち上げられる。そのエルザさんの下に1本の線が現れる。
「音楽魔法、G線上のアリア!!」
タクトさんはそういいエルザさんに飛び付く。エルザさんは空中で避けることができずにその攻撃を受けてしまう。
「くっ・・・」
「ハァッ!!」
タクトさんは続けざまに蹴りを繰り出すがさすがはエルザさん、すぐに距離を取りタクトさんの蹴りは空振りに終わる。
『これはすごい!!実力者2人の一進一退の攻防戦となりました!!』
『今のところはタクトくんが少ス優勢かね』
『COOL!!』
ヤジマさんの言う通りエルザさんが押されている気がする。タクトさんってアホみたいな気がしてたけどあんなに戦えるんだ。
「エルザ負けるな!!」
「そんな奴エルザの敵じゃねぇだろ!!」
グレイさんとナツさんがエルザさんに檄を飛ばす。エルザさんはタクトさんと距離を置いたまま悠遠の衣へと換装する。
「行くぞ」
エルザさんは手になたを持ちタクトさんへと突っ走る。
「来る前にこちらがしか―――」
タクトさんがエルザさんに魔法を使うよりも早くエルザさんが懐へと入る。
「へっ?」
「ふっ!!」
灘を振るうエルザさん。タクトさんはその速度についてこれずに弾き飛ばされる。
「早い!!」
「一瞬で攻撃を入れた!!」
ウェンディと俺はそう言う。確かに飛翔の鎧の方が速度的には早かったけど、タクトさんはそれを分かっていたから対策を取れていた。だけど悠遠の衣だと速度はさっきよりも落ちるとタクトさんは思っていたみたいだから攻撃が入れれたのか。
「悠遠の衣の伸縮性も動きやすさに一役買ってたのかもな」
「動きやすそうですしね」
グレイさんと俺がそう言う。悠遠の衣は伸縮性に優れた衣、だから重たい鎧よりも速度が出たのかもね。よくわからないけど。
「音楽魔法、回転木馬!!」
タクトさんは空中で体を回転させながら何かをエルザさんに投げる。あれって・・・
「木馬!?」
「どこにそんなの隠してたんだよ!!」
ルーシィさんとグレイさんがタクトさんの投げたものを見てそう言う。タクトさんの投げたのはどこにでも売ってそうな木馬。なんだけど、人が乗れるくらいの大きさのあるあれをさっきまでどこに隠していたんだ?
「無駄だ」
エルザさんに迫る木馬。しかしエルザさんはそれを避けようとはしない。
「危ない!!」
「エルザさん避けて!!」
俺とウェンディがそう叫ぶ。しかし、エルザさんにぶつかったと思われた木馬はなぜかすり抜けて消えてしまう。
『あぁっと?これは一体・・・タクト選手から放たれた木馬が消えてしまった!?』
チャパチィさんも何が起きたのかわからずにいる。会場の観客たちもみんなどういうことかわからないようだ。
「あれ?よく見破りましたね」
「私には視覚からの幻は通じない」
着地したタクトさんと仁王立ちしているエルザさんがそう言う。
「幻!?」
「あんなのが!?」
ナツさんとルーシィさんがそう言う。幻ならもっとすごい奴を出した方が効果的なような・・・
「大方、幻を避けたところに攻撃を仕掛けるところだったのだろうが、残念だったな」
「チェッ、あれぐらいでも効果あると思ったんだけどなぁ」
エルザさんに狙いまで読まれていたタクトさんは残念そうに言う。確かに交わさせるだけならあんな幻でも十分効果あるか。
「でもまぁ、普通に木馬も出せるんだけどね!!」
タクトさんはそう言うとジャンプし爆宙しながら木馬を繰り出す。あれは本物なのか?それともハッタリか?
「今度のは本物か。だが!!」
エルザさんは木馬を灘で簡単に粉砕する。
「本物と幻をどちらも繰り出すことができるのか」
「厄介な魔法を使うな」
「でもエルザさんに幻は効きませんからこっちの方が優勢だと思いますよ」
グレイさん、ナツさん、俺がそう言う。
「でもなんで幻も出せるのかしら?」
「音楽の魔法ってことに関係あるのかな?」
ルーシィさんとウェンディがタクトさんが幻を出せることに疑問を感じていた。
「音の波長とか音程とかの関係で幻覚を見せることができるのかもな」
「おまけに物体まで作り出せるとか、造形魔法に近いんじゃねぇか?」
グレイさんとナツさんがそんな話をしている。
その間にもエルザさんとタクトさんの激しい戦いは続いていく。
「美しく青きブルーウェーブ!!」
タクトさんがそう言うと巨大な波がエルザさんを襲う。
「換装!!海王の鎧!!」
エルザさんはそれを水に耐性のある鎧に換装し波を切り裂く。しかし切り裂いたエルザさんの目の前にタクトさんが迫っている。
「音楽魔法、引き潮!!」
「なっ!?」
タクトさんがそう言うとエルザさんに切られた水がタクトさんの方へと戻されていき、エルザさんは足をとられて倒れる。そこにすかさずタクトさんが長いリーチを使ってパンチを入れる。
「換装!!」
タクトさんのパンチが当たる寸前でエルザさんは換装する。すると、
「ぐああっ!!」
殴ったタクトさんは右手を押さえ悲鳴をあげる。
「あれは雷帝の鎧ですよね?」
「なるほど、水が辺りに広がってるから」
エルザさんは雷帝の鎧に換装しており、タクトさんが拳を入れる寸前に電撃を流してカウンターを仕掛けたみたいだ。水は感電しやすいってよく言いますしね。実際タクトさんの腕はそれにより黒く焦げた部分が見受けられる。
『エルザ選手のあまりの換装の速度にタクト選手ついていけないか?』
『タクトくんもいい戦いをしてるんだがね』
『妖精女王エルザCOOL!!』
エルザさんの換装の早さにチャパチィさんたちも驚きそう言う。一時はタクトさんが優勢だったけど、今は完全にエルザさんペースだ。
「いてててて・・・」
「どうした?もう終わりか?」
痛い右手をブラブラと振り痺れをとろうとするタクトさんにエルザさんが立ち上がりながら答える。
「いやいや。天馬の看板を背負わせてもらっている者としては、これぐらいで諦める訳にはいきませんよ」
「そうか。私も仲間たちのために、負けるわけにはいかんからな」
再び構えるタクトさんとエルザさん。
「音楽魔法、クルミ割り人形!!」
タクトさんが人形を繰り出す。
「換装!!天輪の鎧!!」
エルザさんは換装し、たくさんの剣を放ち人形を破壊する。そのまま数本の剣がタクトさんに迫る。
「音楽魔法・・・鑑賞!!」
タクトさんは剣をすべて避ける。あれって魔法関係あるか?
「音楽魔法、不死鳥!!」
避けたタクトさんは巨大な火の鳥を作り出すが・・・
「遅い!!」
「っ!?」
タクトさんのその魔法が発射されるよりも早く、エルザさんは技を仕掛ける。
「天輪・繚乱の剣!!」
「がっ!!」
タクトさんをすれ違い様に連続で切りつけるエルザさん。そして振り返り、さらなる攻撃を加える。
「これで終わりだ!!天輪・五芒星の剣!!」
ハデスを倒した魔法で勝負を決めにいったエルザさん。しかし・・・
「やりますね」
タクトさんは高くジャンプしてそれを避ける。タクトさんはそのまま両手首を合わせる。
「あなたのような強者には、自分の持てる最高の技で勝負しないと失礼ですよね!!」
タクトさんは両手に七色の魔力を溜めていく。
「まさか・・・タクトの奴あれをやる気か!?」
「あれは未完成のはずなのでは?」
「でもここでやるってことは・・・」
「完成させたということなのだろう。メェーン」
青い天馬の皆さんが何やらタクトさんの出そうとしている魔法をそう言う。
「音楽魔法、ウィング!!」
合わせた両手を大きく広げると溜められていた魔力が雨のように闘技場へと落ちていく。その威力はまるで隕石が落下したかの如く闘技場に砂煙を巻き起こし、大きなクレーターを作り出す。
『こ・・・これはとんでもない大技が放たれた!!』
『まさかここまでの大技を持っていたとは・・・』
『COOL!!&STRONG !!』
実況席もタクトさんのあまりの大技に驚くしかない様子。
「エルザ!!」
「エルザさん!!」
「大丈夫でしょうか・・・」
ルーシィさんとウェンディと俺はあんな大技を食らってしまったエルザさんを心配する。いくらエルザさんでもあんな大技を受けたら・・・
「なーに、問題ねぇさ」
「おおよ、俺たちの知っているエルザが・・・」
晴れていく砂煙、その中に作り出された巨大なクレーターの中で1人の人が大きな盾を構えて立っている。
「「こんなので負けるわけねぇだろ!!」」
『な・・・なんと・・・無事だぁ!!エルザ選手、タクト選手の渾身の大技を受け止めた!!』
エルザさんは金剛の鎧に換装し、タクトさんの魔法を防いだのだった。
「うぇ!?」
「勝利に対する強い想い、それが魔法から伝わってきたぞ。だが」
エルザさんは金剛の鎧からピンクに輝く鎧へと換装する。
「何?あの鎧」
「初めて見ましたけど」
「あんな色の鎧もエルザさんって持ってるんですね」
エルザさんの纏っている鎧を見たことがないルーシィさん、ウェンディ、俺がナツさんたちに聞く。ナツさんは腕を組んで鎧の名前を思い出そうとしているが、こりゃあ多分覚えてないパターンだな。
「なんだっけ?あの鎧」
「妖精の鎧っつったかな?エルザが持っている鎧の中だと一番強いとか聞いたことあんぞ」
「「「へぇー!!」」」
グレイさんの説明に納得する俺たち。あれがエルザさんの最強の鎧なのか。きっとすごいんだろうな。
「すげぇ魔力・・・」
「悪いがこれで終わらせてもらう」
剣を構えて突っ込むエルザさん。
「青い山脈!!」
タクトさんは攻撃を阻もうと山で壁を作るがエルザさんはその山を切り裂いて進んでいく。
「オオオオオオオオッ!!」
「やべ・・・超強いじゃん・・・エルザさん」
エルザさんはタクトさんに一太刀を入れ、タクトさんは宙を舞いながら地面へと叩きつけられる。
『試合終了!!勝者、妖精の尻尾A、エルザ・スカーレット!!』
「「「やったー!!」」」
「「よっしゃあ!!」」
エルザさんの勝利のアナウンスを聞いて俺とルーシィさん、ウェンディは手をあげて喜び、ナツさんとグレイさんはガッチリと握手をする。
『妖精の尻尾《フェアリーテイル》A、10ポイント獲得です!!』
「これでトータル12ポイント!!」
「ミラさんたちのチームに並びましたね!!」
「うん!!エルザすごかったね!!」
チャパチィさん、俺、ウェンディ、ルーシィさんがそう言う。闘技場では負けたタクトさんが悔しそうに大の字になっていた。エルザさんはそんなタクトさんに手を差しのべる。
「立てるか?」
「あんな強いなんて聞いてないですよ・・・」
タクトさんはその手を取って立ち上がる。それを見た会場からは拍手が起きる。
タクトさんはフラフラと天馬の方へと帰っていき、エルザさんは俺たちの待機場所へと戻ってくる。
「お疲れさまでした」
「すごかったですよ!!エルザさん!!」
「さすがの一言に尽きるな」
「本当ね」
「エルザ!!次は俺と勝負しろ!!」
ナツさんがシャドーボクシングしながらエルザさんにそう言う。本当にこの人は・・・
「ナツ、それは大会が終わったらね」
「今は同じチームなんですから」
「大会終わってもチームは一緒ですけどね」
ルーシィさんとウェンディがなだめ、俺がウェンディの発言にそう言う。
一方青い天馬では・・・第三者side
「お疲れさま」
「惜しかったな」
「あの魔法、完成してたんだね」
イヴとレンとヒビキが戻ってきたタクトに声をかける。タクトは「どうも」とだけ答え一夜の元に歩いていく。
「すみません。負けてしまいました」
タクトは頭を下げながらそう言う。
「メェーン、案ずるな。君は自分の出せる最高の力を出したのだ。それを咎めるものなど、誰もいるわけがない」
一夜はタクトにそう言う。内心なんと言われるかと思っていたタクトはそれを聞いて思わず笑ってしまう。
「次に頑張ってくれればいい。それだけだ」
「はい!!ありがとうございます!!」
タクトは一夜にお辞儀をし、ヒビキたちに並ぶように闘技場が見える位置へと歩いていった。
「さすがですね、エルザさん」
「ったく、せっかく火竜たちのチームから先行したと思ったのによぉ」
「まぁいいじゃない。エルザたちも勝てたんだから」
妖精の尻尾Bチームは先のエルザの戦いを見てそう話している。
「残すところはあと一試合か」
「・・・」
そう言うラクサスの横にいるミストガンは何やら黙り込んで何かを考えている。
「どうしたの?ミストガン」
そんなミストガンを心配して声をかけるミラ。
「いや・・・」
「無口なくらいでちょうどいいんじゃなかったのか」
「そっか」
ガジルにもっともなことを言われミラは気にするのをやめる。
(まもなく二日目が終わろうとしているのに・・・これはどういうことなんだ?)
ミストガンは顔をうつ向かせながらそう思う。実は昨年まで感じていた謎の魔力が今年は感じられないことに疑問を持っており、口数が少なくなっていたのだった。
ミストガンにはなぜ謎の魔力が感じられないのか、考えられることが多すぎて一人頭を悩ませていた。
その頃、王宮のある場所では・・・
ガチャッガチャッガチャッ
「アルカディオス大佐!!」
暗い通路を歩いている鎧を纏った男に後ろから小さな老人が声をかける。
「これはダートン国防大臣殿」
「あれは一体何の真似だね?」
「あれ?とは」
ダートンのいうあれがアルカディオスにはわからずにそう聞き返す。
「とぼけるな!!なんでこのタイミングで星霊魔導士を入手しようとする!?時期尚早とは思わんのか!!」
怒鳴り声の響く通路。アルカディオスはそれに対し冷静に答える。
「一刻も早く試運転がしたくてですな」
「まだ早い!!あれはまだ完成しておらん!!」
「国防大臣殿、お声の方が少しばかり大きいかと。それに、あれはすでに完成しております」
「な・・・なんだと・・・?」
ダートンはアルカディオスの口から告げられた真実に思わず言葉を失う。
「予算工面のための便宜ですよ未完だとというのは。あとは星霊魔導士がいればエクリプスは実用段階まで来ているのです」
「そんなバカな・・・あれだけのものをたった7年で完成させたというのか!?」
「これより計画はフェーズ4プランBに移行いたします。より確実に星霊魔導士を入手いたします」
そう言うアルカディオスの顔は笑みを浮かべているかのような不気味な表情だった。
「あなたがエクリプス計画反対派だというのはすでに周知の事実。
しかし、ここまで来たら止まれません」
アルカディオスはマントを翻し歩き去ろうとする。
「貴様は悪魔か!?」
「王のためなら、国のためなら、人は悪魔にも神にもなれるのです。
世界を返る扉エクリプスの前では、1人の少女の命など実に安い」
王宮に隠されている巨大な扉。この完成のために、ルーシィに危機が迫っていたのだった。
後書き
いかがだったでしょうか。
エルザの妖精の鎧久々登場です。7年と3ヶ月も経ってれば直ってるんじゃないかなぁ、という考えのもと出させていただきました。
あと、本当はミラとジェニーのグラビア対決のはずのところをエルザ対タクトのバトルにさせていただきました。
理由は小説でグラビア対決しても意味なくね?と作者が思ってしまったからです。
ちなみにタクトの魔法はドカベンの殿馬の秘打から名前を取ってきました。
次はカグラvs.ユキノです。
次回もよろしくお願いします。
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