もし俺がFate/Zeroの世界でランサーのマスターになった場合
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第二十一槍
翌日、いつものように霊体化したランサーを護衛につけて登校した俺。
クラスメイトと挨拶を交わし、席につく。窓際一番後ろという最高の位置だ。
授業を受けて休み時間にばか騒ぎ。話を聞くに、田中の妹も昨日無事に保護されて帰ってきたようだった。
一応昨日の暗示で、二人には俺と別れた後会った記憶が消えるようにしておいたが……まぁ、心配はないだろう。
さて、昨日の一件によって、俺が令呪を受けとることは確実といっていい。今日辺りに冬木教会に出向くつもりだ。
注意しないといけないのは、その道中だろう。
今日、明日あたりに聖杯問答でもしてくれると助かる。アサシン消えてくれるし。
まあそれはともかくだ。
髭野郎ざまぁ!!
アーチャー出る間もなく、キャスター消滅ぅ!!
これで残った英霊は六騎。明後日までには五騎となる。
その時点で残るのはセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、バーサーカー。
問題は、どの時点でセイバーとランサーを当てるか、だ。
現在セイバーはランサーの必滅の黄薔薇によって左手が使えない。
そのため、約束されし勝利の剣が使えない状態なのだが、その他にも戦闘では確実に支障を来す。そうなれば、他のサーヴァントにやられる可能性も大だ。
となってしまうと、ランサーには申し訳ない。
とくに、ライダーが相手だと、セイバーはたぶん負ける。
俺の目的は生き残ること、そして、ランサーとセイバーを騎士として戦わせてやることだ。
「……となると、聖杯問答後にすぐ仕掛けるべきか……」
ーーーーーーーーーー
『ランサー。他のマスターとサーヴァントの気配はあるか?』
『いえ、今のところは。しかし、アサシンが相手だと……』
『それはほっといて大丈夫だ。居ても見てるだけだろうしな。仕掛けてきてもランサーならすぐ気付くだろうしな。その時は頼むぜ?』
『御意に』
授業を終え、俺は下校ついでに冬木教会へと足を運んでいた。
もうキャスターの消滅も確認されているだろう。なら、はやいうちに受け取っといた方がいい。
どこまで原作知識が通用するか分からない中、後手に回るのは愚策だろう。
「よう、監督役さん。来てやったぜ」
結局、奇襲もなく無事に辿り着いた。
中で待っていたのは、白髪の糸目じいさん。神父こと言峰綺礼の実父。言峰璃正。
聞いた話じゃあのマジカル八極拳よりも実力は上だとか。
「……どうやら、君がキャスターを討伐したらしいな」
あの神父服の下に、どんな筋肉してんだろうかとか変なこと考えていると難しそうな顔をしてそう言った。
「キャスターというか、そのマスターをな。でも、それでいいんだよな?」
「無論。約束は約束だからな」
内心は嫌なんだろうな。元々、アーチャーを撤退させるのに使用した令呪を取り戻すために画策したことなのに、敵のマスターに手柄をとられちまうんだからな。
「なら、早く令呪をくださいな。プリーズプリーズ」
「……」
差し出した右手に監督役が手を重ねた。
まくった袖からはゴッツイ筋肉と数々の令呪。過去のマスターが使わなかった分らしいな。
一瞬、その令呪が光るとその一画が消えて、俺の令呪に新たな令呪が一画、追加された。
「これで完了だ」
「おう、サンキューな監督役さん。なら、これで帰らせてもらうよ」
もう用はないので、踵を返す。
後ろに向けてバイバーイと手を振りながら。
「あ、それともうひとつ。わざわざ策練ったのに残念だったね」
「……」
「んじゃ、バーイ」
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