FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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封印の氷地獄
第二試合がすでに始まっているドムス・フラウ。それをエルザさん、ウェンディ、俺が観戦していると後ろからナツさんが走ってくる。
「ルーシィの様子は?」
「大丈夫そうだ。シャワー浴びてぇってさ」
エルザさんの質問にナツさんが答える。
「なんならもう一回見てこようか?」
「今は行っちゃダメでしょ」
「ナツさんのエッチ・・・」
もう一度ルーシィさんの様子を確認しに行こうとしたナツさんに俺とウェンディがそう言う。
「なんで?あっ!!」
ナツさんは俺とウェンディがそう言った理由がわかり、ルーシィさんの元へと走り出そうとする。しかし、それはエルザさんに阻止された。
「ダメだ。もう二試合目が始まってるぞ」
エルザさんがそう言うとナツさんは闘技場が見える位置に移動する。
「こういうのもわくわくするよなぁ!!」
「そうですね」
「色々なギルドの人の戦いが見れますからね」
ナツさん、ウェンディ、俺がそう言う。ルーシィさんが大丈夫なのならそれはよかった。今は俺たちは他のギルドの人たちがどういう戦いをするのか見ておこう。
『大魔闘演舞1日目、バトルパート、第二試合は一進一退の攻防が続いております 。
青い天馬レン・アカツキ&ヒビキ・レイティスvs.人魚の踵アラーニャ・ウェブ&リズリー・ロー!!』
今はレンさんとヒビキさん、アラーニャさんとリズリーさんが戦っている。
4人は力が均衡しており、今のところはどっちが勝ってもおかしくない状況だ。
『両者譲らずといった感じですねぇ』
『うむ。よい試合じゃ』
チャパティさんとヤジマさんがそう言う。第一試合も結局はあんな形で終わったけど、かなり好ゲームになっていたし、運営は対戦カードを組むのがうまいな。
『レンくん!!ヒビキ!!頑張って!!シェリーも私も応援してるから!!』
ジェニーさんは2人を応援するためかゲスト席からそんなことを言い出した。
会場の皆さんはそれを聞いて「ヒューヒュー!!」と騒ぎ立てる。会場の一体感がすごいんだけど。
「な!!」
「ありがとう!!ジェニー!!」
顔を赤くするレンさんと勝負そっちのけでゲスト席に手を振るヒビキさん。
「今だ!!」
「隙だらけよ!!」
リズリーさんとアラーニャさんはその隙を逃さず攻撃する。アラーニャさんは魔法陣から雲の糸を出しているようだけど、何やらレンさんとヒビキさんは体が少し重くなったみたいな動きをしてる。リズリーさんのまほうは重力変化の魔法か?悪魔の心臓のブルーノートが使ってたみたいな。
「何やってるのレン!!頑張りなさいな!!」
『ヒビキ!!ちゃんと敵に集中して!!』
レンさんを応援するシェリーさんとヒビキさんを応援するジェニーさん。
シェリーさんがレンさんを応援していることに蛇姫の鱗のマスター、オーバさんが怒っているようだけどそれを宥めようとした男の人がクルクル回されていた。
「別に婚約者じゃねぇよ!!腐れ縁だよ!!ただの!!」
「ひど~い!!」
蜘蛛の巣からなんとか向け出たレンさんが蛇姫の鱗の応援席に向かってそう怒鳴る。シェリーさんはそれを聞いてひどいと言う。
「危ない危ない、危うくやられてしまうところだった」
ヒビキさんも蜘蛛の巣からようやく解放される。
そんな2人にアラーニャさんとリズリーさんが攻撃を仕掛ける。
「いつもそばにいやがって、うっとうしいっての」
「それにしても、すごい魔法だな」
レンさんとヒビキさんは蜘蛛の糸と重力変化からアクロバティックな動きで避けていく。
「けど、お前がそばにいねぇと調子が出ねぇぜ」
「デレた」
レンさんが顔を赤くしながらシェリーさんにそう言う。ヒビキさんはそれを聞いていつものツンデレキャラ出たと思っているようだ。
「レンっては・・・」
顔を赤くしているシェリーさん。
「シェリーもめんどくさい男に惚れたな」
「おおーん」
「愛だねぇ」
蛇姫の鱗の待機場所ではユウカさん、トビーさん、シェリアさんがそんな話をしている。
「フゥー、フゥー」
「レオン、出来ないことはやらなくていいよ?」
レオンが盛り上げようと指笛をしようとしていたがうまくできずにシェリアさんにそんなことを言われていた。
「お前の見てる前でみっともねぇ姿だけは・・・見せられねぇな!!」
大技の体勢に入るレンさん。
「やらせないよ!!」
そのレンさんと近くにいたヒビキさんにリズリーさんが重力をかける。
「くっ!!」
「レン!!あそこに重力変化の穴があるよ!!」
怯みそうになるレンさんにヒビキさんが古文書で解析した結果のリズリーさんこ重力変化の穴を伝える。
「ありがとよ!!ヒビキ!!」
レンさんはその穴の部分にたどり着くと素早くさっきの大技の構えをとり、
「エアリアルフォーゼ!!」
「「うああああああっ!!」」
空気魔法により巨大な空気の球体を作り出し、アラーニャさんとリズリーさんを吹き飛ばした。
2人は地面に叩きつけられ、戦闘不能となる。
『勝者青い天馬、レン・アカツキ&ヒビキ・レイティス!!
第二試合の勝者が決まり大歓声に包まれるドムス・フラウ。
『これで青い天馬は1日目14ポイント。人魚の踵は3ポイント』
1日目の点数が思うように伸びずに悔しそうな顔をしているアラーニャさんとリズリーさん。
『ああーん!!さすがレンくん!!ヒビキもナイスアシスト!!』
ジェニーさんは自分がゲストということを忘れ素直に自分の所属しているギルドの勝利を喜んでいた。
「さすがに7年前より腕を上げているな」
「すごいですね!!レンさんもヒビキさんも!!」
エルザさんとウェンディがさっきの戦いを見てそう言う。
「まさか・・・一夜も強くなってるのか?」
「そりゃあそうでしょ」
ナツさんが当たり前のことを言うので俺が突っ込む。
「ナツ、シリル。何を言っている」
「「?」」
エルザさんが俺とナツさんの発言に何か言いたいことがあるらしい。
「元々一夜は大した男だ。性格に難はあるが間違いなく天馬最強の魔導士」
「し・・・知らなかった・・・」
「一夜さんって意外にすごい人だったんですね》
ナツさんと俺はエルザさんに驚きの事実を教えられる。
「一夜か・・・急に戦ってみたくなってきたぞ!!」
ナツさんは一夜さんが天馬最強の魔導士と聞いて闘争本能に火がついたようだった。
「それにしても気になるのは、あのウサギの被り物」
「同じギルドメンバーの人も中の人が誰か知らないらしいですよ?」
「それってルールは大丈夫なのかな?」
エルザさんがウサギの被り物をしている人が気になり、俺が開会式でタクトさんに聞いたことを伝えたらウェンディがそう言う。確かにまずいような気もするけど、いくら何でもルールに反する人は使わないでしょ。
『続いて1日目第三試合、四つ首の猟犬ウォークライ&ノバーリ!!』
次に現れたのは頭に犬のようなフードを着ている人と鼻がかなり高い人が現れる。どっちがどっちかはこの段階ではわかりません。
『対するは剣咬の虎オルガ・ナナギガ&グラシアン・カイザー!!』
ウォークライさんとノバーリさんの対戦相手が発表されると会場のボルテージが上がる。あの紫髪の奴、さっき目があった人だ。どんな魔法を使うんだ?
『この大歓声!!すごい人気です!!』
チャパティさんもオルガさんとグラシアンさんの登場により盛り上がる会場に驚いているようだ。
「今のお前らなら行けるぞウォークライ!!ノバーリ!!魂はいつでもワイルド!?」
「「フォー!!」」
四つ首の猟犬の応援席からの声に両手を上げて答えるウォークライさんとノバーリさん。
「ついに剣咬の虎の戦いが見れるのか」
「さっきのルーファスさんも強かったですけど、あの人たちも強いんでしょうか?」
エルザさんとウェンディが闘技場を見ながらそう言う。俺も闘技場を見つめると、隣にいたナツさんが怖い顔で闘技場を睨んでいることに気づいた。
「どうしたんですか?」
「あの紫の髪の奴、俺たちと同じ滅竜魔導士なんだ」
「へぇ」
ナツさんはそう言う。けど、それがなぜ睨む理由になるのかな?
「それがどうしたんですか?」
「あいつ・・・いや、剣咬の虎にいる他の滅竜魔導士の2人、自分たちに滅竜魔法を教えたドラゴンを殺したらしいんだ」
「!!」
俺は剣咬の虎の待機場所を見る。そこには闘技場をにやにやと見ている金髪の男と隠密に出ていたルーファスさんがいた。あとの女の人と黒髪の男は今はどこかに行っているらしい。
「自分の親を殺した・・・」
「「真の滅竜魔導士となるために」って言ってやがった」
よほどナツさんは自らの手に親をかけたあいつらを許せないのか、ひどく怒った顔で闘技場を見ている。
『第三試合、開始!!』
銅鑼の音が鳴り響く会場。先に仕掛けたのは、四つ首の猟犬のウォークライさんだった。
じわじわと目に涙を浮かべると、大泣きし始める。
『出たぁー!!ウォークライの涙魔法!!』
『おもスろいよね、あのフレーズ』
チャパティさんとヤジマさんがウォークライさんを見て魔法の解説をしてくれる。
「泣いてる!!」
「涙魔法?」
「一体どんな魔法なんでしょうか?」
「というかヤジマさんの言ってたフレーズの方も気になる」
俺たちはウォークライさんの魔法に注目する。
「おおおおおおおおおおーん!!」
ウォークライさんの泣き叫ぶ声が次第に激しさを増す。
「涙の・・・数だけ・・・人は強く・・・なれ・・・」
ウォークライさんが言い終わるよりも早く、オルガさんが腕から黒い雷を出してウォークライさんを沈めてしまう。
「「「「なっ!?」」」」
あまりの電撃の威力に目を疑う俺たち。ウォークライさんは魔法も発動できないまま倒されてしまった。
『なんとウォークライ戦闘不能!!まさにオルガの黒雷が一瞬で涙を焼いたぁ!!』
沸き上がる会場。残ったのはノバーリさんだけ。
「俺だけでも負けねぇぜ!!ワイルド・・・」
ノバーリさんはグラシアンさんに殴りかかりその拳が命中した・・・かと思ったら、
「消えた!?」
「あれ!?」
殴られたはずのグラシアンさんが消えてしまう。
「それは俺の作り出した“幻”」
「なっ!?」
グラシアンさんはいつの間にかノバーリさんの後ろに回り込んでいた。
「幻竜の破壊!!」
「ワイルドォ!!」
グラシアンさんが足を振るい放った闇の波動がノバーリさんを直撃し、ノバーリさんは倒されてしまう。
『試合終了!!オルガ、グラシアンともに敵を一撃で粉砕!!強い!!やはり強い!!勝者剣咬の虎オルガ・ナナギガ&グラシアン・カイザー!!これでトータル20ポイント。完全試合の1日目!!四つ首の猟犬は2ポイント!!残念!!』
オルガさんとグラシアンさんは戦いを終え出入り口へと戻っていく。
「もっと盛り上げてもよかったんじゃねぇの?オルガ、グラシアン」
その2人に金髪の男の人が声をかける。するとグラシアンさんはどこからかマイクを取り出すとオルガさんに差し出す。
「いつものよろしく」
「おう!!任せとけ!!」
「そういうことじゃねぇんだけど!!」
マイクを持って闘技場の真ん中に戻っていくオルガさん。グラシアンさんはそのまま闘技場からいなくなり、金髪の人は自分の言ったことを間違って捉えた2人の行動に突っ込んでいた。
『おっとオルガ・ナナギガここで何を語ろうというのか』
マイクのテストを入念に行うオルガさん。
「最強最強No.1!!俺たちゃ天下の剣咬の虎!!」
突然スタンドマイクを倒しながら歌い始めるオルガさん。俺たちはそのあまりの音痴と音量に耳を塞いでしまう。てかこれ歌!?ただ叫んでいるだけのような気がしないでもない。
しかし、そんな聞くに耐えない雑音を聞かされているはずの観客たちはなぜか大喜びしていた。
これが現フィオーレ最強の魔導士ギルドか。実力もあるが人気もすごいってわけだ。
『さぁ、いよいよ1日目最後の試合となりますが』
オルガさんは結局中々歌い終わらないので金髪の人とグラシアンさんが強制撤去しに来て帰っていきました。
『残っているのは妖精の尻尾Bと蛇姫の鱗だね』
『昔はこの2つのギルド、実力が均衡していて、だから面白い試合になりそうね!!』
ヤジマさんとジェニーさんがそう言う。
『では発表しましょう!!1日目最後の対戦カード!!妖精の尻尾Bミストガン&ミラジェーン・ストラウスvs.蛇姫の鱗ジュラ・ネェキス&レオン・バスティア!!』
対戦カードが発表されるとドムス・フラウが震える。
「キターッ!!」
「ジュラだぁー!!」
「俺、ジュラが見たかったんだよ!!」
「まさか1日目から出てくるとはね!!」
観客たちはみんなジュラさんの登場に大騒ぎしていた。なんたって聖十大魔導だもんな、人気があって当然か。
「おまけにリオンも出てくるのかよ!!」
「ラミア最強の2人が出てくるなんて!!」
観客たちがジュラさんの相方の名前を聞いて盛り上がってるけど・・・あれ?レオンの名前言ってなかったけ?聞き間違い?
『妖精の尻尾内でもその素顔を知る者は少ないという謎の魔導士ミストガン!!そしてこの大会から現役復帰を果たした7年前の週刊ソーサラーの看板娘だったミラジェーン!!』
チャパティさんがミストガンさんとミラさんの紹介をするが観客たちはあまり興味はないみたいだ。でも、ミストガンさんの中身今はジェラールだからなぁ・・・バレないといいけど・・・
一方、ミストガンとミラジェーンの対戦相手である蛇姫の鱗の方では・・・レオンside
「頑張れ!!ジュラさん!!レオンもいいとこ見せてねぇ!!」
「オオッ」
シェリアが俺とジュラさんにエールを送ってくれるので俺は手を振って答える。
「行くぞ、レオン」
「はい」
ジュラさんが先に歩いていってしまうので俺はその横に急いで並ぶ。
「この勝負もらったな」
「まだ始まってねぇよ!!」
「わかってるからキレるなよ」
ユウカさんとトビーさんがいつも通りの漫才をしている。あの2人本当面白いよな。
俺とジュラさんが闘技場に姿を現すと観客たちは盛り上がった後なぜかザワザワし始める。
「あれ?ジュラの隣にいるの・・・」
「リオンじゃないよね?」
「確かに似てるけど・・・」
「誰だあいつ・・・」
どうやらアナウンスを聞き間違えてジュラさんとリオンくんのタッグだと思ったみたいだ。まぁ確かに俺はそんなに知名度ないししょうがないよな。
『対するは大鴉の尻尾のノーランと肩を並べる今大会最強候補の1人、聖十の称号を持つジュラ・ネェキス!!そして本日の競技パートで善戦したリオン選手のいとこ、レオン選手です!!』
実況の人がそう言うと観客たちは納得したみたいな声を出す。
俺たちが中央まで来ると対戦相手であるミストガンさんとミラジェーンさんがやって来る。
「個人的には妖精の尻尾に頑張ってほしいが、うちのオババがうるさくてのぅ」
俺たちの目の前に立ち止まった2人にジュラさんが話しかける。
「すまぬが手加減はせぬぞ」
「ええ」
「私もだ」
ジュラさんの言葉を受けミラジェーンさんとミストガンさんがそう答える。
まぁそんなことはどうでもいいんだ。俺はっと・・・
俺は観客席をキョロキョロ見回すと今日仲良くなった魔導士を見つける。
「シリルぅ!!見ててなぁ!!」
俺が手を振るとシリルは手を振り返してくれる。その隣にいる藍色の髪の女の子が何か話してるけど、あれがリオンくんがシェリアに言ってた子かな?ソフィアが好きそうな女の子だ。あいつは女の子なら誰でも好きそうだけど。
「レオーン!!頑張れぇ!!」
うちの応援席から人型のラウルが声援を送ってくれるので手を振る。あいつは基本は人型だからな、猫の方が可愛いと思うんだけど・・・
『蛇姫の鱗ジュラ・ネェキス&レオン・バスティアvs.妖精の尻尾Bミストガン&ミラジェーン・ストラウス。本日の最終試合、開始!!』
試合開始と同時にミストガンさんは背中の杖を止めているバンドを外し、ミラジェーンさんは赤いレオタードのような服を身に纏いさっきまでの優しそうな顔とは違い、怖い顔の女へと変貌する。あれが噂の悪魔の魂か、なんだか強そう。
2人はそのまま突っ込んでくるがジュラさんが指を振ると下から現れた岩によって打ち上げられる。
「アイスメイク・・・・・氷柱!!」
俺は打ち上げられ無防備になっている2人に氷の造形で作った氷柱を放つ。
シリルside
「造形魔法!!」
「グレイさんとリオンさんと同じ魔法!!」
エルザさんとウェンディはレオンの黒い氷を見てそう言う。
ミストガンさんとミラさんはその氷柱を身動きが取れないはずの空中で華麗に避ける。
するとミストガンさんはジュラさんの周りに杖を刺し、ミラさんはレオンに突撃する。
「五重魔法陣、御神楽!!」
ミストガンさんの杖から黄色の魔法陣がジュラさんの上に現れ、それがさらに上にも現れていく全部で5つの魔法陣が出現しジュラさんを襲う。
「はあああああ!!」
一方のミラさんはレオンにかなりのスピードで殴り飛ばす。
「ジュラさん!!レオン!!」
蛇姫の鱗の待機場所からシェリアさんが砂煙の中に消えた2人を心配して叫んでいる。ミラさんとミストガンさんはジュラさんの最初に出現させた岩の上に乗っている。
すると、煙の中から岩でできた巨大な手と氷のドラゴンがミストガンさんをミラさんをそれぞれ襲う。
「三重魔法陣、鏡水!!」
ミストガンさんはエドラスで本物がドロマ・アニムのブレスを返すのに使った魔法で岩の手を跳ね返す。
「跳ね返した!!」
「すごい!!」
ナツさんと俺は驚いてそう言う。即席の魔法のはずなのにちゃんと使いこなしているなんて。
「やぁ!!」
ミラさんはレオンが作った氷のドラゴンをパンチで壊す。
「ミラさんもすごい!!」
「さすがだな」
ウェンディとエルザさんがそう言う。
「ふんっ」
「アイスメイク・・・・・吹雪!!」
ジュラさんは跳ね返された手をミラさんへと方向転換させ、レオンは後ろからミストガンさんに黒い吹雪をぶつける。
「あっ!!」
「うおおおっ!!」
どちらも予想外の攻撃だったためかミラさんもミストガンさんも攻撃を受けて地面へと叩きつけられる。
『強い!!コンビネーションも去ることながら、やはり聖十のジュラの実力は伊達じゃない!!』
『レオンくんもリオンくんの“動”の造形魔法と“静”の造形魔法を組み合わせたうまい戦い方をするねぇ』
チャパティさんとヤジマさんが押しているジュラさんとレオンを見てそう実況と解説をする。
「うぅ・・・」
「くっ・・・」
ミラさんとミストガンさんはなんとか立ち上がる。大丈夫かな?
「流星!!」
ミストガンさんは低い姿勢を取ると一瞬でジュラさんとレオンの周りを駆け巡る。
「こやつ・・・」
「早っ!!」
ジュラさんとレオンはミストガンさんのあまりのスピードに目を奪われる。その隙をついて、ミラさんがさっきとは違う姿へと変身する。
「なんですか?あれ」
「見たことないですよ?」
俺とウェンディは初めてみるミラさんの姿にそう言う。その姿はさっきまでの赤いレオタードみたいな服じゃなく、どこかの魔王を彷彿とさせるような服装だった。
「魔人・・・ミラジェーン・シュトリ。私の知る限りでは最強の悪魔の魂」
エルザさんが少し笑みを浮かべながらそう言う。最強の悪魔の魂って・・・まだ強くなるってこと!?
壁伝いに闘技場をひた走るミストガンさん。そのまま壁を蹴った反動を使いジュラさんへと突進する。
「はああ!!」
ミラさんはその姿でレオンに飛びかかる。さっきまでよりスピードが速い!!
「岩鉄壁!!」
「アイスメイク・・・・・壁!!」
ジュラさんとレオンは自分の前に分厚い壁を作りミストガンさんとミラさんの進行方向を塞ぐ。
「ぐっ!!」
「おわっ!!」
しかし2人はその壁を手前で曲がり、壁の後ろに隠れているジュラさんとレオンに一撃を入れる。
「ふっ!!」
ジュラさんはミストガンさんとミラさん両方に岩の破片をぶつけようとする。しかし、2人はそれを交わしていく。
「レオン!!」
「おっけ」
ジュラさんがミストガンさんとミラさんが近づいたタイミングでレオンに声をかける。
「アイスメイク・・・・・吹雪!!」
レオンはさっきミストガンさんを放った魔法で今度はミラさんとミストガンさん2人を攻撃し、打ち落とす。
「ミストガン!!」
「あぁ、協力感謝する、ミラ」
落ちていく2人は何か話している。ジュラさんとレオンが上空を見上げる。そこには7つの一繋がりになった魔法陣が描かれていた。
「空に魔法陣!?」
「いつの間!!」
「攻撃を交わしながら書いていたのか?」
「すごい!!」
俺とナツさん、エルザさんとウェンディが空にある魔法陣を見てそう言う。
「7つの星に裁かれよ、七星剣!!」
空から無数の隕石がジュラさんとレオンに迫る。
「レオン!!近くに来い!!」
「あい」
レオンがそばによるとジュラさんは両手を胸の前で合わせる。
「巌山!!」
ジュラさんの上に出現した巨大な岩の石像がミストガンさんの攻撃を受け止める。その2つの力ある魔法がぶつかり合ったために会場に強風が巻き起こる。
煙がやむとしばらく睨み合う両チーム。するとミストガンさんが前屈みになりながら上げた右手を少しずつ下ろしていく。
「真・天体魔法、星崩し!!」
ドムス・フラウの上に現れる巨大な黒い雲。なんだあの魔法は!!
「んなーっ!?」
「これは・・・」
ナツさんは驚き叫び、ジュラさんは空を見上げている。
次第に高まっていくミストガンさんの魔力、するとレオンがある動きを見せる。
「―――、封印の氷地獄!!」
レオンがそう言い腕を思いきり横に振ると、闘技場、観客席、そして空の黒い雲、人を除いたそれらすべてが氷漬けになる。
「なっ!?」
「ウソ・・・」
あまりのレオンの魔力の高さに、ミストガンさんとミラさんは驚いてしまう。
「ジュラさん!!」
「うむ」
そう言うとレオンが凍らせた闘技場の床から岩のつき出させ、それを大きく砕きながらミラさんとミストガンさんを囲っていく。
「あれは・・・」
ナツさんがジュラさんの使おうとしている魔法に覚えがあるのか、冷や汗を流していく。
完全に岩に覆われ姿が見えなくなるミストガンさんとミラさん。ジュラさんはそれを確認すると大きく息を吸い込む。
「覇王岩砕!!」
「うああああああ!!」
「きゃあああああ!!」
ジュラさんの声で岩の中から弾き出される2人。そして、地面へと倒れ動かなくなる。
『試合終了!!勝者、蛇姫の鱗、ジュラ・ネェキス&レオン・バスティア!!』
チャパティさんのアナウンスを聞き大盛り上がりの観客たち。ジュラさんとレオンは手を上げてハイタッチをしている。
『これで、大魔闘演舞1日目終了!!総合順位はこのようになりました!!』
魔水晶ビジョンに映し出される順位。
1位 剣咬の虎 20P
2位 大鴉の尻尾 18P
3位 蛇姫の鱗 16P
4位 青い天馬 14P
5位 人魚の踵 3P
6位 四つ首の猟犬 2P
7位 妖精の尻尾B 1P
8位 妖精の尻尾A 0P
となっていた。
『いかがですか?ヤジマさん。1位はやはり剣咬の虎、かたや2チーム送り込んだ妖精の尻尾が7位と8位という結果になりましたが』
『まだ1日目だスねぇ。明日以降逆転劇があるといいねぇ』
『うちもまだ優勝が狙えるし、本当2日目が楽しみね』
チャパティさん、ヤジマさん、ジェニーさんがそう言う。
『ヤジマさん!!ジェニーさん!本日はありがとうございました!!』
『どうもね』
『みんなぁまたねぇ』
実況と解説はそれで終わってしまう。
後に残ったのは闘技場からトボトボと帰っていくミストガンさんとミラさん。
「なんだったんださっきのレオンの魔法!!」
「闘技場どころか空の雲まで凍らせてしまうなんて・・・」
ナツさんと俺がレオンのあまりの魔力の高い魔法に驚いている。てかあんなのがいてなんで去年まで2位だったんだよ!!
「ん?」
ナツさんが足音がしたため後ろを向く。
「ルーシィ!!」
そこにはシャワーを浴びにいっていたルーシィさんが戻ってきていた。
「ルーシィさん!!」
「大丈夫か?」
「うん!!もう平気!!」
ウェンディとエルザさんが声をかけるとルーシィさんがそう答える。
ルーシィさんは闘技場に映し出される順位表をじっと見つめる。
「最下位か・・・」
ガッカリと項垂れるルーシィさん、まぁ0Pなんて逆に難しいことのような気がするし、いいんじゃないかな。
「心配するなルーシィ!!明日は俺が出る!!必ず逆転したやるからなぁ!!」
ナツさんがそう言う。そうだ、くよくよしてても意味はない。明日からの大会で逆転すればいいんだ。俺たちは明日以降の逆転を誓い、ドムス・フラウを後にした。
その頃、魔女の罪では・・・カミューニside
「もうジェラール何やってるの!!」
「レオンが強かったから魔法が発動できなかったからよかったものの、下手したら正体バレるとこだったじゃない!!」
魔水晶を使って大魔闘演舞の戦いを見ていたメルディとウルティアがすごく怒っている。もちろん、先のジェラールの戦いであいつが星崩しを使おうとしたからだ。
「あとでウルとお兄ちゃんで説教してよ!!」
「はいはい」
「カミューニ!!返事は一回よ!!」
メルディもウルティアも興奮しちゃって手がつけられないな。しかし、俺の今気になっているのはそんなことではない。
「なんであいつがこの大会に出てるんだ?」
俺はノーランのことを思い出す。あいつがこの大会に出てくること事態がおかしいことだし、あそこまでインチキイカサマで勝つとうとするのがすげぇ気になる。
もしかしたら勝たなきゃいけない理由でもあるのか?それとも、俺たちが感じている謎の魔力を勘づいて何か調べているのを誤魔化すためのカモフラージュか?
「まぁ、どうにかなるか」
大会に出場している以上下手な動きはできないし、俺がマークするほどでもないか。
俺はそう思い、深く考えることをしなかった。
医務室にて・・・第三者side
「!!」
何かに驚くように飛び起きるシャルル。その隣ではセシリーがいまだに目を閉じている。
「な・・・何!?今の予知・・・」
シャルルは夢の中で見た未来に震え、恐怖していた。
後書き
いかがだったでしょうか。
原作だとミストガンがしょうもない負け方をしたわけですがここではレオンが頭角を現すために圧倒的な魔法でミストガンの魔法を氷漬けにしてみました。
次回もよろしくお願いします。
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