転生者は英雄の力とリリカルな世界へ
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4話
「りょーくん。朝だよ、学校行かないとっ」
「……ん。おはよ。起きたからそこを退いてくれ、すずか。」
わかったよ、と言いながら俺の上に馬乗りになっていたすずかはベッドから降りる。
こんなやりとりも板について来たと思う。
原作キャラになるべく関わらずに此処まで来た。
そう、俺は小学3年生になっていた。
リリカルなのは無印編の開始時期だ。
とは言っても、関わりを持たないのは此処迄だ。
これから、俺は原作をブレイクしていくスタイルをとっていくと決めていた。
さてさて、どうなることやら。
………ん?何か視線を感じる。
「なぁ、すずか。出て行ってもらわないと着替えられないんだけど」
「え……、ああっ!ごめんね!!」
じっと俺の半脱ぎ状態の背中を見ていたすずかは慌てて退出していった。
いや、まあ気持ちはわかるよ。
一見したら男か女かわからない、中性的な顔立ち。
うん、見た目は両儀式まんまだもんなぁ。
髪の色だけは違って、真っ白なんだけど腰まで伸ばしてるからちょっと女の子寄りだし。
そんな姿を見て、すずかも興味が沸くのだろうがやはり分別をつき始める年頃。
言えばわかってくれるし、良い子だよな。
こう、守ってあげたくなるようなタイプ。
いつものように着物に着替えを済ませ、支度をする。
朝食もちゃんと食べ、学校へ向かう。
余談だが、すずかのお願いをちゃんと全うすることを伝えたときは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていた。
そりゃそうだよな。
今までずっと、原作キャラとの関わりを避けるために一緒に登校するの断ってたのを、今日になって突然オッケーしたのだから。
「えへへ、嬉しいな。りょーくんと一緒に登校するの。」
「そうか?俺はこんな格好だし目立つだろ。
正直迷惑じゃないか?」
「もう!そんなことないから!
私、さみしかったんだよ…?」
「あーもう、そうやってすぐ泣きそうになるなよ。よしよし」
段々と涙目になるすずかの頭を撫で、宥める。
それだけでふにゃっとした笑顔になるのだから、楽なものだ。
お兄さんはこの子が将来チョロインにならないか心配です。
「あ、すずかちゃーん!!おはよー!」
「おはよう、すずか。」
「なのはちゃん、アリサちゃん。おはよう。」
話している間にバス停に着いた。
そこにいた2人の女の子にすずかは自然に話しかけられていた。
高町なのはと、アリサ・バニングスだ。
と、俺に気が付いたのかアリサが話しかけてきた。
「あら?アンタは…瀬戸亮介!?
何で此処にいるのよ!」
「別に俺が何処にいようと俺の勝手だろ?
だいたいオマエ、俺とは初対面だろ。
なんなんだよ、その話し方は」
なんでそんなに喧嘩腰なんだよ。
俺、なんかしたか?
「アンタいつも私とトップ争いしてるじゃない!
そんな相手の事くらい覚えて起きなさいよ!!」
「オマエ、テストは100点満点とるのが当たり前なんだろ?
じゃあトップ争いなんて意味ないだろ」
「!! …ぐぬぬっ!」
顔を真っ赤にして俺を睨むアリサ。
本当になんなんだよ…、と呆れているとアリサが視界から消えた。
………え?
「ねぇねぇ!わたしのこと覚えてる!?」
ああ、なのはが割り込んで来たのか。
アリサがその割り込みで吹き飛んだのな。
すずかにしっかり受け止められてるけど、もう少し力加減とか覚えた方がいいぞなのはよ。
「ああ、いつぞやの」
「お名前を聞いてなかったの!」
「いや、今アリサが言ってたじゃん……」
「お名前を! 聞いて! なかったの!!」
「せ、瀬戸亮介です…。」
おお、怖。
思わず敬語になってしまった。
既に魔王の片鱗は持ち合わせていたのか。
本編まだ始まってないのに。
「ちょ!ちょっとなのは!!
いきなり突き飛ばさないでよ!もう!!」
「あ、にゃはははは。ごめん、アリサちゃん…。」
じゃれつく2人を横目にすずかにアイコンタクトを送る。
折角だし、ちゃんと紹介してほしいところだ。
「2人とも知ってるみたいだけど、瀬戸亮介くん。
昔から私のお家に住んでるんだけど、訳あって今まで紹介出来なかったの。ごめんね」
「すずかちゃんのお家にいたの!?全然気が付かなかった!というか男の子だったんだね!!」
「本当にいたの……?一度も会わないとか徹底し過ぎじゃない?」
なのはは質問ラッシュ。
アリサは不信感を露わにした。
そんな2人に対応するのは面倒なので、とりあえず自己紹介だけすることにした。
「知ってるみたいだけど、瀬戸亮介。
すずかの家に拾われて、それからずっと厄介になってる。
こんな見た目だけど男だ。
基本的に家では引きこもってるから、皆と会わなかったんだ。
とりあえず、このまますずかの友達と関わりが無いってのもどうかと思って顔合わせしとこうかと。
……よろしく」
「よろしくね!亮介くん!」
「仕方ないわね。よろしく、亮介」
「私は今まで通りよろしくね。りょーくん」
これから原作が始まっていく。
この3人とは長い付き合いになりそうだが、皆を幸せに出来るといいななんて、夢を抱きながら。
俺は今後の動き方を考えるのだった。
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