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転生者は英雄の力とリリカルな世界へ

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3話

 
 
「お使い…か。いや、年齢的には良いとは思うけど。こう記憶的にはアレだよなぁ…」

 俺は今、初めてのお使い中だった。
忍姉さんから電池を買ってくるように言われた。
お釣りはおやつに使って良いと言うことなので、新発売のポテチを買ってみた。
帰ってからが楽しみで少しテンション高めなう。

 例の番組のBGMを頭の中で流しながら、トトトと小走りで帰り道を急ぐ。
そんな折り、視界に入った公園を横切ればショートカット出来ると思い付く。


「ふむん。いつもは避けているけど、(たま)には良いか。」


 同年代の人間と関係を持つのは非常に疲れる。
精神年齢が全く異なるので当たり前の話だが。
だからこそ、こういった遊び場には近付かないようにしていた。
すずかには少し(いぶか)しむような目を向けられることもあったが、これに関してはどうにもならない。
いや、ほんとつらいんだよ。
ただでさえ大学生までの記憶がある上に衛宮士郎の全ての記憶とか、人生を数百通り繰り返したのと同じだぞ。
それで年齢5歳に合わせるなど、多大な負荷に決まってる。

 しかし、この時の俺はテンションが高かった。
重ねて言うが、高かったのだ。
だからこそ、俺はこの公園を通過しようとし、あまつさえそこで出会った何処かで見たような少女と会話をしてしまうのだった。




▽▼▽ Interlude ▽▼▽




 お父さんが入院してから、家族は大変になっちゃった。
家に誰もいないことも増えた。
そんなわたしは今日もひとりで公園にいました。
いい子でいるために、外で友達と遊んでる振りをしてなるべく家にいないようにしています。
その方が、みんなわたしに余計な気を回さなくていい。
迷惑かけない、いい子でいなきゃ。
 そんなことを思いながらブランコで揺られていたわたしは、いつの間にか目の前に立っている子に気が付いた。


「あ、やっと気が付いた?
こんにちは…じゃないか、もう夕方だし。こんばんは、かな?」


 上から下まで真っ白な女の子がそこにいた。
肩まで伸ばした白い髪に、華の簪を着けている。
淡いピンク桜の華が散りばめられた白い着物姿。
ぱっと見わたしと同じくらいの歳じゃないかな…?


「もしもーし?大丈夫?そろそろお家に帰らないとお母さんとかお父さんが心配するよ?」

「あ……、だめなの。」

「???」


 わたしはその真っ白な女の子に今のわたしを説明した。
なるべく、わたしがいい子でいるようにしていることが伝わるように話したつもりだった。
でも、話している途中から気付くくらいに不機嫌さを増していく女の子。
な、何か悪いことを言っちゃったのかなと思いつつも全て話し終えた。
ずっと腕を組んで目を閉じながらわたしの話を聞いていた女の子は頭をガシガシ掻きながら半目で此方を見やる。


「アンタさ。本当にそれでいいの?
俺にはアンタが寂しいと聞こえたんだけど。
なら、そうやって家族に言えばいい。
そう伝えるのが一番いい子になるってことだと思うけどな」


 それはだめなの。
そんな我が儘を言えば、みんなに迷惑がかかってしまう。


「…はぁ。馬鹿馬鹿しい。
仕方ないな。俺がアンタを助けてやるよ。
これも何かの縁だし」


 そう言うと、その女の子はわたしの手を取り公園を出た。
どうやらわたしのおうちに来るらしい。
一緒に行って、本当に駄目か一緒に確認してやるなんて言って。
それは困ると感じながらも、少しの暖かさを感じた。

 わたし、本当にさみしかったんだなぁ。

なんて今更気付く。
それと同時に視界に入ったのはわたしのおうち、『翠屋』。
そこで女の子は、ピタリと止まり後ろにいるわたしを振り返る。
あれ、なんでそんなに焦った顔をしているの?


「そ、そういえばアンタの名前。聞いてなかったな。
………名前は?」

「あ!高町なのは!!5さいなの!」


わたしが名前を言った途端、女の子はその場で崩れ落ちた。




△▲△ Interlude out △▲△




 おいおい、まじか。
どこぞの正義の味方の影響か、柄にもなく人助けしようとか考えたら相手が主人公とは。
いや、俺も気付けよ。
ポテチでテンション上がりすぎてとか言い訳にすらならねーよ。
しかし、さっきの話を聞いて馬鹿馬鹿しいと思ったのは本当のことだ。
それに、この子の家族はそんな薄情じゃないのは知っている。
本当に記憶があるってのはズルだよな。
………ア、チョットマッテ。
今凄く思い出したらマズい記憶が蘇った。
確かこの子の家族って、あの戦闘民族じゃ。


「なのは!こんな遅くまでどこに行ってたんだ!!心配したんだぞ!」

「あ、ご、ごめんなさいっ…!」

「遅くなる前にちゃんと帰ってこないとだめじゃないか!
……ん?君は誰だ?見覚えがない子だが、この辺の子か?
君も早く帰りなさい」


 いの一番になのはに声を上げて近付いてきたイケメン。
………うへー。一番遭遇(エンカウント)したくない奴だろ、コイツ。
高町恭也。
忍姉さんの彼氏だよな。
確かにこっちは姿見せたことないけど、俺は知ってるんだよな。
よく家に来るわけだし。
 とりあえず、その陰に隠れてこっちを心配そうに涙目で見つめる女の子もいるし手っ取り早くヘイト稼いで退散しますかね。


「悪いんだけど、この子の家族に言いたいことがあるんだ。
それを言わないことには帰ることは出来ないな」

「……俺はこの子の兄だ。用件を聞こう。」

「そうか。なら結論だけ言う。
ソイツが、さみしがっている。
これで気付けないほど察しが悪いのか?オマエ」

「……何の話だ」


 俺の話し方が鼻につくのか顔をしかめながら、それでもわからないのか俺に聞き返す。
これはすれ違い方が重症みたいだな。


「ソイツ、オマエらが忙しいから我が儘を言わないように、迷惑をかけないように溜め込んでたよ。
思い当たる節あるだろう。
ああ、何故言わなかったとかソイツを責めるのは止めとけ。
オマエの兄としての尊厳が丸々無くなるぜ。
そんな(ヤツ)をそのままにしておく(オマエ)じゃないだろ?」

「!! ほ、本当なのかなのは」


 バッと振り向きなのはに確認するも、俯いたまま頷くなのは。
真っ青な顔になる恭也。


「すまない、なのは。俺は兄失格だ…。
そんなこと一番に気付かなきゃならないのに……。」

「お、おにいちゃ~んっ!!」


 泣きと笑いが入り交じったような顔で恭也にしがみつくなのは。
うんうん、俺、良いことしたな。
とと、早々に立ち去らないとラスボス共(ご両親)に遭遇してしまう。
というわけで此処は、三十六計逃げるに如かずっと。
あ、そうそう。


「おい、オマエ。
あんまりシスコン拗らせすぎて、彼女をほったらかしにして悲しませるなよ?
そんなことしてみろ、捻じ切るからな」

「!! なにをだ!?…何なんだ、いったい」


 振り返る前に視界から掻き消える。
本格的に絡みたくないけど、忍姉さんは大事な家族だ。
悲しませるようなら、ユルサナイ。絶対に。
 
 
 
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