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大統領の日常

作者:騎士猫
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本編
  第三十六話 首都戦4

 
前書き
本当に遅れて申し訳ないです(´;ω;`)
本当は適当に切り上げて艦娘宿舎のシーンを書きたかったんですが、思った以上に膨らんでしまったために艦娘宿舎のシーンは次回に持越しです。

1週間以上費やしたため、文字数が約8000字と過去最高(たぶん)となっています。
誤字達治などもチェックしているつもりですが、何せ長いので見落としているところもあるかもしれません。
なので感想などで指摘していただければ幸いです。

修正点
・平民派軍を皇帝派軍に修正
・貴族派軍の平民派軍という言葉をクーデター派軍に変更

以下今後の予定(仮)
読まなくてもOK

ある程度話が進んで、日常編に突入したらそこから番外編でいろんなアニメが参入してきたりする、【大統領の日常○○編】とかいうものを作ろうかと思っています。
仮ですが、「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」(原作の登場人物とかある程度の流れとか流用したりっていいのかな・・?知ってる人いたら教えて下さい)、「宇宙戦艦ヤマト(たぶん2199ver)」の二つをやろうかと思っています。それと艦これの世界に行っていた3か月間も、本編で出せればよいのですが、もし出せなかったらそれも番外編でやろうと思っています。

以上今後の予定(仮)でした。では本編どうぞ!
 

 
西暦2115年 11月 13日


ペルシャール率いる武装親衛隊が新無憂宮を制圧している頃、シヴァ、艦娘、深海棲艦の混成ロンディバルト軍は帝国側にいた艦娘たちを拘束し終えると、首都防衛についていた貴族派軍正規艦隊2個艦隊&守備艦隊を皇帝派軍とともにリンチしていた。

長門率いる戦艦部隊が貴族派軍に苛烈な砲撃を浴びせる。
「全主砲斉射!!」(長門
「第一第二主砲斉射、初め!!」(大和
「全砲門、Fire!!」(金剛
「気合、入れて、撃ちます!!」(比叡
「榛名、全力で参ります!!」(榛名
「さあ、砲撃戦開始するわよ~!!」(霧島

これに負けじと重巡、軽巡、駆逐が相次ぐ砲撃と雷撃を加え、赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴もF-14汎用戦闘攻撃機を発艦させ、貴族派軍の戦艦や空母に猛攻を加えた。
「馬鹿め・・と言って差し上げますわ!」(高雄
「ぱんぱかぱーーん!!」(愛宕
「10門の主砲は伊達じゃないのよ!」(足柄
「撃ち方、始めて下さーい!」(羽黒
「砲雷撃戦よーい!撃てー!」(川内
「撃ちます」(神通
「ロケ中はお肌が荒れちゃうなぁ」(那珂
「天竜の奴、艦を放って行くとは、はぁ・・・主砲斉射!」(天龍所属副艦長妖精
「龍田の笑い声が怖くて止められなかったorz・・・切り刻まれないためにも戦艦の1隻ぐらいは仕留めたいな。主砲撃ちまくれ!」(龍田所属副艦長妖精
「40門の酸素魚雷は伊達じゃないからねっと!」(北上
「海の藻屑となりなさいな!」(大井
「当たってー!!」(吹雪
「素敵なパーティーしましょ!」(夕立
「しまかぜ、砲雷撃戦入ります!」(島風
「攻撃するからね」(暁
「さて、やりますか」(響
「ってー!」(雷
「なのです!」(電
「第一次攻撃隊発艦!」(赤城
「ここは譲れません」(加賀
「行くわよ!全機、突撃!」(翔鶴
「アウトレンジで…決めたいわね!」(瑞鶴

そしてその艦娘たちの中に紛れ、破壊神がその絶対的火力をガルメチアス軍に放つべく、準備をしていた。
「上部全主砲副砲発射準備!弾頭は徹甲弾を装填!」
艦長のニコラフスキーが指示を下す。
「主砲一、二、三番及び副砲一、二番右90度旋回!同じく主砲四、五番及び副砲三番も左90度旋回!急げ!」
指示を聞いた砲雷長が艦橋にいる砲術員に怒鳴るように指示した。
「ディベル粒子の散布濃度中!一部機器に異常が発生する可能性あり!」
その報告を聞いた砲雷長が舌打ちをして手動操作で行うように再度指示した。手動といっても人力で回すのではなく、旋回をやめるタイミングや標準を合わせるときに人が予測計算をして合わせるだけである。
「全砲塔旋回完了!」
艦橋にいた砲術員の一人が砲雷長に報告した。それを聞いた砲雷長は再び怒鳴るような声で言った。
「各砲塔の目標ロック!照準合わせ!」
砲術員がパネルを操作してレーダーの目標に合わせて標準を合わせる。
「全砲塔発射準備完了!」
砲雷長のその報告を聞くと、ニコラフスキーに発射許可をもらうために目を向けた。ニコラフスキーが首を縦に傾けるのを確認して、号令を出した。
「第一斉射!撃て!!」
砲雷長の号令とともに、5基の主砲と3基の副砲から計24発の砲弾が、貴族派軍の艦隊に向かって放たれた。

DOGOOOMMMM!!

「斉射完了!」
「着弾まで10秒!9,8,7,6,5,4、3,2・・・」
「着弾!!」
その瞬間水平線上に十数本の水柱が立ち、6発の砲弾が敵艦に命中した。

「くそっ!クーデターが起きたと思ったら、反乱軍まできやがった!」
「回避運動!ディベル粒子で命中率は低くなっているはずだ!祈ればもっと低くなるぞ!」
士気を上げるために軽巡の艦長が言ったことを真に受けた乗員たちは手を動かしつつも心の中で祈り続け、それのおかげかどうかはわからないが、この艦はほとんど無傷のまま生き残ることが出来ていた。

「なんだよ、あのちっさい黒い奴らは!砲撃が全然当たらないぞ!」
シヴァと艦娘達が攻撃している頃、その対処に追われた貴族派軍の隙を突いて深海棲艦の水雷部隊がその小ささと機動力を生かした雷撃船を仕掛けていた。
「醜態を見せるな!ディーク少将!クーデター派はそちらで防いでくれ!こっちは反乱軍の奴らを抑える!」
皇帝派軍とロンディバルト軍に挟撃された貴族派軍では、両艦隊とも司令官である貴族が早々に逃げ出してしまったため、平民の副司令官が代わりに指揮を執っていたのだった。
第五艦隊副指令のフォートックが同じ首都に配備されていた第八艦隊の副指令ディークに無線で伝えた。
「了解した!守備隊の奴らも半分そっちに回す!」
ディークはフォートックの後輩であったので、指示はすぐに承諾した。これが仮に貴族であったならば、こうも簡単にはいかなかっただろう。
「頼んだ!」
無線を切るとフォートックは別の無線を手に取るとスイッチを入れてしゃべりだした。
「この際、あのちいさい奴らは後だ。まずはあの反乱軍の本体を殲滅する!」
彼はひとつの誤算をしていた。深海棲艦はとても小さく、その分火力も銃程度、あってもバズーカ程度だと考えていたのだ。

「水雷部隊ハ敵ノ戦艦ト空母ヲ始末セヨ。空母ハ制空権ノ確保、戦艦ト重巡ハ水雷部隊ノ掩護ヲスル」
戦艦水鬼の指示に従って、軽巡と駆逐艦で編成された水雷部隊が、艦娘たちを攻撃していた貴族派軍に無慈悲な雷撃を加えて行った。
「なっ、魚雷だ!回避!回避しろ!!」
気づいた時には時すでに遅く、水雷部隊の放った魚雷は吸い込まれるように命中し、船体を切り裂いた。
「あの小さい奴らにも一艦艇並の攻撃力が備わっているのか!?全艦、対空砲であの小さいハエどもを叩き潰せ!!」
すぐに対空砲での攻撃を命じた副司令官達であったが、深海棲艦は一艦艇と同様の攻撃力を備えているとともに、それに加えて装甲も備わっていた。対空砲程度ではかすり傷もできず、水雷部隊は見た目だけの弾幕をものともせずに、魚雷を無数にばらまいて行った。

水雷部隊に気を取られていた貴族派軍であったが、他にも敵がいることを思い出したのは空を覆い尽くすような砲弾の雨が頭上に降り注いだ時だった。
「くっ!しまった!各艦回避行動!!」
すぐに回避行動を開始した貴族派軍だったが、混乱してとっさに取った回避行動で味方艦同士の衝突が相次ぎ、そこに深海棲艦の雷撃や砲撃が襲い、小回りの利く駆逐艦や軽巡を除いたほぼ全艦が轟沈または大破した。

ただでさえ司令官である貴族が逃げ出していて、加えて届いた報告で皇帝が既に平民派によって保護されている報を聞き、もはや交戦の必要なしと判断した貴族派軍は、各自白旗をあげて降伏した。

海上戦力を殲滅したロンディバルト軍と皇帝派軍は戦艦を中心とした地上攻撃を開始した。

ただし、シヴァだけは地上攻撃には参加せず、戦いの場所を求めて空へと飛び立った。


変わって上空では、皇帝派軍とビッテンフェルト少将の第三独立艦隊の共同艦隊と貴族派軍の間で、激しい戦闘が繰り広げられていた。

      ロンディバルト軍  皇帝派軍        貴族派軍

参加兵力  138隻      750隻(2個艦隊)  1150隻(3個艦隊+守備隊)

「撃ちまくれ!!皇帝派軍と共同で敵を殲滅するのだ!!」
「貴族派軍をロンディバルト軍と挟撃する形を取りつつ前進!」
ロンディバルト軍と皇帝派軍は貴族派軍を包囲殲滅せんと陣を敷いていた。
「キルリデンの艦隊は反乱軍に当たれ!敵は艦隊の半分以下だ、殲滅後はクーデター派軍の側面か後方に回り込め!残りはクーデター派軍を攻撃する!」
貴族派飛空軍の司令官であるリーデント・フォン・ラーベック大将は貴族では珍しいまともで優秀な貴族司令官の一人である。
彼は平民派に参加するつもりだったが、貴族の二大勢力の一人であるリヒート・フォン・ケルベンライクに家族を殺すと脅され、やむを得ず貴族派に組しているのである。

彼以外にもこういった脅しで、仕方なく貴族派に身を寄せているものも多く、加えて平民派がこういった者たちの家族や親戚を優先的に保護しているため、貴族派を裏切る者も増えて来ていた。

「敵の一部、50隻ほどの艦隊がこちらへ向かってきます!その後方から約300隻の艦隊も接近中!」
「敵は手薄だ、動きも鈍い。一気に突破するぞ!」
ビッテンフェルト率いる第三独立艦隊は、ロンディバルト飛空軍内で、最も攻撃力の高い艦隊であり、その破壊力はすさまじいものであった。後にペルシャールは、自身の書いた本にこう記している。”彼らが通った後には敵艦の残骸だけが残り、彼らを目にした者は皆逃げ出すか降伏していた。彼らは味方であれば心強いが、もし敵であればまさに死神であっただろう”。
後に第一艦隊にビッテンフェルトが異動した際、この艦隊はそのまま第一艦隊第二分艦隊となって、ビッテンフェルトのもとで戦い続けることになる。彼らにとって、自分たちの司令官はビッテンフェルトただ一人なのである。

「撃て撃て!勝利の女神はお前たちに、下着をちらつかせているぞ!!」
艦娘たちが聞けば”この糞提督!”という言葉が飛ぶに違いないいわゆる”お下品”な言葉を使い、艦隊の士気をさらに高めると、ビッテンフェルトはさらに攻撃を強化するように命令し、前衛部隊50隻をを薙ぎ払うように突破すると、後方から迫った310隻のキルリデン艦隊の本体に突撃していった。

「前衛を突破した敵艦隊が突撃してきます!」
「半個艦隊程度の敵に何を手間取っている!前衛艦隊の状況は!?」
「中央突破をされたようで指揮系統が混乱しています!」
「巡洋艦ファイチェリーが戦艦ディーケットの撃沈を確認、脱出者はなし!第二分艦隊司令エディック少将は戦死の模様!」
「副司令官ウェーリック准将が指揮系統の統一を図っています!」
「くそっ、全艦両翼を伸ばして包囲陣形を取りつつ攻撃!」
「しかし、それでは中央突破をされてしまう恐れがっ・・」
「中央突破を仕掛けてきたら中央は後退して両翼で敵を側面から挟撃して殲滅すればよい!」
確かに俺が成功していればビッテンフェルトの艦隊は壊滅していただろう。しかし、ビッテンフェルトの突進速度は、キルリデンの予想を裏切った。

「て、敵艦隊が急速に突撃してきます!」
「よし!中央は後退!両翼はそれぞれ90度反転して敵を側面から攻撃!」
各部隊は命令通りに動いたが、ビッテンフェルトの艦隊の突進速度が中央の後退速度より速く、加えて両翼の艦隊が攻撃するころにはビッテンフェルトの艦隊はすでに中央の艦隊の際前衛と衝突していた。

「敵艦隊の突進速度が速すぎて後退間に合いません!」
「両翼の回頭間に合いません!」
「馬鹿な!」
「閣下、敵の艦隊は高速の艦艇のみで構成されております!戦艦や空母も配備されている我が艦隊では敵を振り切れません!」
「高速艦のみの編成だと!?ちぃっ、少しの間持たせろ!そうすれば両翼と敵を挟撃できる!」
キルリデンは必死に持ちこたえようとしたが、ビッテンフェルトの突進の前にはなすすべもなく粉砕された。
「だめです!敵の攻撃が激しく戦線維持不可能!」
「戦艦エリルデーン撃沈!空母ノイシュタット大破炎上中!」
「第一戦隊の損害7割!統制がとれない状態です!」
続々と悪い知らせが流れる艦橋に、この上ない最悪な知らせが飛んできたのは両翼が到着するであろう時間の6分前であった。

「両翼の艦隊が多数の敵艦載機と4000メートルを超える超巨大艦艇の攻撃を受けて足止めを食っている模様!」

「な・・なんだと・・!!?」

時は18分前にさかのぼる。


「全艦全速力で敵を追え!このままでは司令官の中央部隊が危ない!」
「多少の落伍艦を出しても構わん!全速で追うのだ!」
キルリデン艦隊の両翼はビッテンフェルトの艦隊を追うべく落伍艦覚悟で追撃していた。

「・・閣下、後方より大型艦艇接近中数1」
「なんだと?後衛の戦隊に敵か味方か調べさせろ。敵であれば即刻撃沈せよ」
「はっ」
指示を受けたオペレーターが後衛の戦隊に通信を送り、通信を受けた後衛が反転して大型艦を識別するために接近した。
そしてそれが敵か味方かの判別がついた瞬間に彼らは冥界の門をくぐった。


「主砲一、二、三、六、七番発射準備、弾頭はレーザーだ。副砲も同様に発射準備、弾頭は徹甲弾」
「レーダーに感、数20。戦隊かと思われます」
「ふむ、砲雷長」
「はっ、なんでしょうか」
「例の艦首の砲を試し打ちしてみないか?」
「あ^~いいっすね^~」
「よし、艦首波動砲発射準備!」
「全ブロックのエネルギーを全て波動砲に回せ!」
「エネルギー充填率40%!」
「第一安全装置解除!」
「充填率60%!」
「射程距離内到達まで2分!」
「充填率90%!」
「第二安全装置解除!」
「充填率100%を突破!」
「最終安全装置解除!」
「充填率120%!これ以上は危険です!」
「よし、発射10秒前!」
「全員対ショック対閃光防御!!」
各自席に備え付けられているゴーグルをつけ、いつもはつけないベルトを着けて発射を今か今かと待った。
「9,8,7,6」
「前方の敵艦隊から通信!」
「無視だ!どうせあと数秒で死ぬんだからほっとけ」
「3,2・1・・・・」

「発射!!」

BAN!
BOOOOOOOOOMMMM!!!
砲雷長がトリガーを引くと轟音と直視できないほどの光とともに青い龍が発射された。
この時の反動は、予備電源でエンジンを出力最大にしてどうにかその場に耐えれるほどである。
そして発射された龍はそのまままっすぐ進み、所属不明艦が反乱軍の艦だと判明し攻撃態勢に入ろうとしていた貴族派軍の後衛部隊を飲み込んでいった。

「後衛部隊との通信途絶!」
「所属不明艦から高エネルギー反応を確認!これまで見たことのない出力です!」
「所属不明艦の艦首に反乱軍の国旗を確認!敵艦です!」
「エリーデック少将を出せ」
オペレーターが機械を操作すると、メインパネルにエリーデックの姿が映った。
『リーデリック少将、後衛部隊が全滅したそうだが・・』
敬礼を終えるとすぐにエリーデックはリーデリックに信じられないような表情で聞いた。
「所属不明艦は反乱軍の艦だと判明した。我が艦隊は後方の敵艦を叩く、そちらに20隻ほど送るから本体の救援は任せたい」
リーデリックはエリーデックに質問の答えとともに提案をした。数秒考えるとエリーデックは口を開いた。
『了解した。速力の遅い空母を数隻そちらに送るか?」
リーデリックはすぐに答えた。
「後衛の部隊が全滅したといっても敵艦1隻に50隻でも多いというのにこの上空母を増やす必要もないだろう」
『確かにそうだな、では本体の救援は任せておけ』
リーデリックの言葉に相槌を打つとすぐに了承した。
「頼んだ」
エリーデック少将との通信が切れるとリーデリックは第三戦隊に右翼部隊に合流するように伝え、全艦に回頭命令を出した。

全艦が回頭を始めたのとそれが起きたのはほぼ同時であった。

「レーダ―に異常発生!恐らくディベル粒子と思われます!」
「来たか!全艦周辺警戒を厳にせよ!」
「直上より敵機多数!」
「なっ!対空戦闘!!」
貴族派軍に攻撃を仕掛けたのは戦闘を終えた赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴から発艦したF-8汎用戦闘攻撃機部隊であった。襲撃と同時に対艦ミサイル2基ずつ発射すると、戦艦や空母を優先的に攻撃してその半数を撃沈或いは大破させた。襲撃と同時に放った対艦ミサイルは半分ほどが迎撃されたが、突然の攻撃で対処が遅れて10隻ほどが轟沈し、20隻以上が損傷した。
「前方から敵艦接近!」
「第二戦隊に迎撃させろ!」
リーデリックがそう言った数秒後、旗艦フォルゲンにF-8汎用戦闘攻撃機の放った対艦ミサイルの1発が命中し、衝撃が走った。
「っ!空母は何をしている!早くうるさいハエどもを叩き落とせ!」
「空母の約半数が轟沈または大破、他の艦も少なからず損害を受けています!」
「発艦できる機はすべて出せ!それよりあの巨大戦艦を撃沈するのだ!足の速い駆逐と軽巡で叩け!」
「第一戦隊及び本体の駆逐艦と軽巡を向かわせます!」

突然の奇襲に混乱している左翼艦隊に、破壊神がその牙をむいた。

「!?前方から高エネルギー反応多数!!」
「なに!?後衛の部隊を殲滅したあれか!!?」
「先ほどのよりは低いですが・・・エネルギー量からして恐らくレーザー兵器かと・・・」
「レーザー兵器だと?あれは直線にしか撃てない所詮対空兵器ではないか!それに距離が離れればそれだけ威力がひくk・・・」
リーデリックが言い終わる前にすぐ近くにいた巡洋艦が青い光に飲み込まれて爆沈した。
「なっ・・レーザー・・ばかな!これだけ距離が離れているのだぞ!?巡洋艦を一撃で仕留めるほどの威力など・・」
ないと言おうとした瞬間再びすぐ横にいた駆逐艦が爆沈した。それに続くように艦橋には絶え間なく味方の損害報告が届いていた。
「巡洋艦クルーシェン撃沈!」
「戦艦ルイトポンド大破炎上中!現在退艦中とのこと!」
「空母シュラーケン撃沈!艦載機はほぼ全滅!」
「駆逐艦シュデリン撃沈!第二戦隊の損害7割!」
「本体の損害3割を突破!」
「第三戦隊はほぼ壊滅状態!」
「第二戦隊司令ポールデン准将戦死!」

シヴァの放つレーザーによって左翼艦隊はその数をどんどんと減らしていった。
それまで直線にしか撃てず、主に対空兵器にしか使用されていなかったレーザーが、艦砲兵器として使用されていることに驚いた将兵たちは、その思考を青い光によって復活させられ、何を考える暇もなく冥界の門をくぐって行った。
リーデリックは、数の上で圧倒的に有利なわが軍がなぜこれほど苦戦しているのかと半ば放心状態になったため、指揮系統は混乱して副司令官のミュデック准将がそれを回復させるまでに兵力の7割を失っていた。


実際は右翼艦隊は救援に駆けつけるためにこちらに向かっていたのだが、そんなことを知る由もないキリルデンは、もはや勝機なしとみて動力を停止して降伏した。

救援に駆け付けた右翼艦隊も、それを待ち構えていたビッテンフェルトの第三独立艦隊によって壊滅し、残った数隻は降伏した。最終的に左翼艦隊はリーデリック少将の旗艦と8隻の本体直属の護衛艦が残り、白旗あげて降伏した。

リーデント大将の本体は、新無宮殿がロンディバルト軍に制圧されたとの報告を聞き、皇帝が既にクーデター派に保護されているという情報も入ってきたため、皇帝陛下がクーデター派についている以上その配下である軍と戦うわけにはいかないと考え、全艦に砲撃を中止するように命令して皇帝派軍に合流した。最初は悩んでいたが、家族が皇帝派によって保護されたという知らせを聞いたことで決心がついたようである。
元々はハワイ諸島攻防戦で戦死(捕虜になって生きているが、公式には戦死扱いになっているため)したルーゲル大将の代わりとして、皇帝派からスカウトされていたこともあり、加えて脅迫されて参加させられていたため、すんなりと参加することを許された。

飛空軍を壊滅させた皇帝派軍は、地上部隊を支援しつつ帝都を制圧していった。


 
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