FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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大魔闘演舞本選開幕!!
前書き
ウェンディの服装を想像しやすいようにその部分だけ変えてみました。
イメージは原作でエルフマンが持ってたあの服です。
大魔闘演舞当日・・・
会場から聞こえてくる歓声。その声は俺たち入場していない魔導士たちにも聞こえるほどの大きなものだった。
『さぁ今年もやってまいりました!!年に一度の魔法の祭典、大魔闘演舞!!』
おそらく解説だと思われる男のアナウンスが聞こえてくる。それによって俺の焦りはピークを迎える。
「ヤバイヤバイ!!」
俺はそう言いながらたくさんの人で埋め尽くされている売店の前を走り抜けていた。
まもなく開会式が始まろうとしているのにも関わらず俺がこんなところを走っているのには理由がある。それは・・・
「ひ・・・控え室どこだったっけ?」
自分たちが入場まで待機しているはずの部屋の場所がわからなくなってしまったからだった。
「ヤバイな・・・本当にどこがどこだがわかんないぞ?」
なぜ俺が道に迷っているかと言うと、実は昨日倒れてしまったシャルルとセシリーのお見舞いにこの大魔闘演舞名物のチョコバナナを持っていこうと思い買い出しにいった結果、道順など覚えずに売店まで行ったところ、人が多すぎてどこにいけばいいのかわからなくなってしまいこのようになってしまったのだった。
ちなみにシャルルとセシリーはこの大会に参加する俺たちを応援しに来てくれたポーリュシカさんに見てもらったところ、魔力欠乏症という診断を受けた。魔力欠乏症とは一度に大量の魔力を失ってしまったために体の筋力が低下してしまう症状らしい。でも、しばらくじっとしていれば回復すると聞いたので俺たちは一安心したのだった。
で、回復するには食べて寝るのが一番いいだろうという俺の勝手な解釈により、チョコバナナを買いに来て現在に至る。
「うーんと・・・こっちかな?」
俺は見覚えのあるようなないような道を曲がってみる。するとそこに1人の少年が立っているのが目に入った。
「あの人に聞いてみよ」
俺はちょうどいいのでその少年に道を聞くことにした。しかし、まさか大魔闘演舞にまで来て迷子になってしまうとは、俺は今後1人で出歩くのは控えた方がいいかもしれない。だって帰れなくなっちゃうから。
「すみません!!」
「はい?」
俺が声をかけると少年はこちらを振り向いた。少年は俺より少し背が高く、金髪の髪の毛はセットされることなくボサボサになっており、なぜかその手にはチョコバナナが握られていた。しかし、そこから見える顔はかなり整っており不思議と不快な感じにはならなかった。
「どうしたの?」
少年は俺を見てそう言う。
「実は道に迷ってしまって・・・」
「そうなの?観客席ならここを右に曲がって―――」
少年は俺が大魔闘演舞を見に来たお客さんだと思い観客席までの道を説明しようとしてくれていた。
「あ・・・俺大魔闘演舞の参加者なんです。控え室の場所がわからなくって・・・」
「ああ、そうなの?それは失礼」
少年は俺の話を聞くとチョイっと手を顔の前に持ってきて謝罪する。
「で・・・君のギルドは予選何位?」
「8位です・・・」
予選の通過順位を聞かれて恥ずかしくなって顔をうつむかせる俺。しかもあのカボチャに余裕での1位通過だと思って順位を聞いてたからそれを思い出すとなお恥ずかしくなってしまう。
「8位か。だったらそこの角を左に曲がってしばらく真っ直ぐいくと魔水晶ビジョンが見れる部屋があるからそこから2つ先の角を左に曲がると控え室に着くはずだよ」
少年はそう説明してくれる。すごいなこの人、道順とかほとんど覚えてるんだ。かっこいい!!
「ありがとうございます!!失礼します」
俺は一礼して控え室に戻ろうとした。すると、少年がそんな俺に話しかける。
「ねぇ、君っていくつ?」
「俺ですか?一応13歳です」
俺は立ち止まって少年の方を振り返って答える。ていうか俺らって実際何歳って答えればいいんだろうな?7年のブランクのせいで自分の年齢がよくわからない・・・
「ええ!?13歳!?マジかよ!!」
俺の年齢を聞くと少年はかなり驚いている。どうしてかな?まさか13歳に見えないとか言うんじゃないだろうな・・・
「てっきり俺が最年少参加だと思ってたのになぁ。まだ下の子がいたんだ」
「あなたはいくつなんですか?」
俺はその少年の年齢が気になって質問する。
「俺は14!!一歳俺の方が年上だな」
少年は右手の指を1本立て、左手の指を4本立てて14と自分の年齢を現す。一歳年上か。あと1年後には俺もこれくらい大きくなれるかな?
「そうなんですか。ちなみにどこのギルドなんですか?」
「俺はラミア、蛇姫の鱗の人間だ」
少年は親指を立てて自分の胸の前に置く。蛇姫の鱗っていうとリオンさんとジュラさんのいるギルドか。この子もその2人みたいに強いのかな?
「君は?」
「俺は妖精の尻尾です」
「妖精の尻尾?」
俺が自分のギルドを教えると少年は驚いた顔をする。どうしたのかな?
「じゃああれだ、リオンくんの弟弟子さんがいるギルドだ」
「グレイさんですか?はい、あの人もこの大会に出ますし」
「あぁ、リオンくんがすごい息巻いてたもん。「必ずあいつに勝ってジュビアは俺たちがいただく!!」ってさ」
「あははっ、なんか似てますね」
妙に似ている物真似をする少年はまるで本物のリオンさんと勘違いさせるぐらい似ていた。ていうか顔の感じも似てるかも。タレ目とつり目の違いはあるけど。
「まぁ似てて当然といえば当然かもね。俺、リオンくんといとこだし」
「え?」
リオンくんのいとこ?っていうと7年前の魔法コンテストについてきてたあの少女願望とやらがある金髪のロン毛の子しかイメージないけど、まさか・・・
「もしかして7年前の魔法コンテストでリオンさんと一緒についてきてた女の子みたいな男の子ですか?」
「っ!!」
少年はそれを聞いて顔をひきつらせる。正解だったのかな。
「もしかしてあの時いたの?」
「いたっていうか俺もあのコンテストに出てたっていうか・・・」
「え?でも7年前っていったら君6歳でしょ?そんな小さい子あの大会に出てたかな?」
少年は腕を組んで唸っている。そりゃあ思い出せるわけないよね、7年前も俺この姿だったわけだし。
「思い出せないと思いますよ?俺7年前もこの体だったから」
「もしかして、噂の天狼組?」
「はい」
俺がそう教えると「へぇ~!!」といったあと何かあることを思い出したように話し出す。
「でも7年前の妖精の尻尾の出てきた人ってグレイさんだよね?あともう片方の方は女の子だったと思うけど」
くっ・・・嫌な記憶を思い出させてくれますね。そりゃああの時は諸事情で女の子の格好してたけどわざわざ掘り起こさなくていいのに・・・
「この女の子が俺なんです・・・」
「え!?君女の子なの!?」
少年は俺を男だとわかってくれていたらしく驚愕していた。なんか嬉しいね、いつも女の子に間違えられるのが当たり前になってたから。
「男なんですけど色々あってドレス着て参加せざるをえなくなったんです」
「そ・・・それは大変だったね・・・」
同情してくれる金髪の少年。
「でもあなたも7年前も女の子の格好してましたよね?」
「あれはまぁ・・・色々あったんだよ・・・」
少年は少し顔を隠し気味にそう恥ずかしそうに言う。あれ?少女願望があってあんな格好してたんじゃないかな?違うのかな?
「レオーン!!リオンが呼んでるよぉ!!」
少年の後ろから赤紫色の髪をビックテールにした女の子が現れる。レオンさんっていうのか。ちゃんと覚えておかないとな。
「わかった、もう少ししたら行くって言っておいて」
「うん!!遅れないでね!!昨日も予選遅刻して怒られたんだから!!」
ビックテールの女の子はそう言うとさっき来た方向へと戻ってしまう。
「予選遅刻したって本当ですか?」
「うん、夜食食ってたら遅くなっちゃって」
レオンさんは悪びれた様子もなくそう言う。夜食食ってたって、それで深夜12時に遅刻するってどうなのよ?
「でもいいんだ。俺、お腹すくとすぐ動けなくなるし。それに予選は通過できたんだから問題ないと思うんだよなぁ」
レオンさんは食べ終わったチョコバナナの棒を袋に入れるとポケットからまたチョコバナナを出して食べ始める。
「さて、そろそろいこっかな。君ももう行かないとダメだよね?」
「あ!!そうだった!!」
俺はもうすぐ入場だということをすっかり忘れていた。予選通過8位から入場だから急がないと!!
「最後に名前教えてくれない?俺、レオン・バスティア」
「俺はシリル・アデナウアーです」
「シリルくんか。もし大会で当たることがあったらよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします、レオンさん」
俺とレオンさんはそう言って握手を交わす。
「あとタメ口でいいよ。それと呼び捨てで」
「え?いいんですか?」
「うん。だって実際は君の方が年上だろ?」
言われてみれば本当の俺の年齢は20歳なんだよなぁ。実感沸かないけど。
「じゃあよろしくね!!レオン!!」
「あぁ、また会場で会おう」
俺とレオンはそう言って手を振りながら別れる。俺は最初にレオンに教えてもらった通路を走り皆さんの待っている控え室へと向かった。
しばらく走ると・・・
「すみませ~ん!!お待たせしました!!」
俺は先に医務室にいるシャルルとセシリーにチョコバナナを渡しに行き、2人ともまだ眠ってたのでポーリュシカさんに渡してもらうようにお願いしてから控え室へと向かった。控え室の扉を開ける。そこにはすでに皆さん集まっていた。
「遅い!!」
「すみません!!道に迷っちゃってて」
エルザさんが遅れてきた俺を見て怒鳴るので俺は頭を下げて謝罪する。グレイさんが「またかよ」っていいながら大笑いしてたけど、そんなに笑わなくてもいいのに・・・
「シリル!!はいこれ!!」
そう言ってウェンディが俺に手渡してくれたのは紫色のパーカーだった。よく見ると皆さん同じ色の服を着ている。グレイさんは上半身裸だけど。
「何これ?」
「これ着て参加しろってマスターが渡してくれたの」
そう言うウェンディが着ているのは紫色をした左胸にギルドマークの刺繍が入ったノースリーブの服で、胸元に蝶々結びされたリボンがついており、下はフリルのついたミニスカとなっていた。可愛い、可愛いよウェンディ。
「つーか俺やっぱこの服やだ」
ナツさんはいつも着ている黒い服が紫になった衣装を身に纏っている。嫌だとか言ってるけどいつもとあまり変化はないような気がしますよ?
「今更グダグタ言わないの!!マスターがお揃いのチームカラーて出ろっていったでしょ!!」
ルーシィさんもいつもの服を紫色にしたみたいな服を着ている。てかうちのチームカラーって紫だったんだ。初めて知りましたよ。
「私は可愛くて気に入っているが」
エルザさんはノースリーブの襟のある衣装を身に付けている。髪型もポニーテールだし、いつもとイメージ違いますね。
「そうだな。俺も」
「服着てから言って!!」
グレイさんはエルザさん同様この紫の服を気に入っていると言うが自分が上に何も着ていないことに気づいてないようだ。ルーシィさんがそんなグレイさんに突っ込みを入れる。
「じゃあ俺も着替えるかな」
俺は上に着ているパーカーを脱ぎTシャツ姿になると、ウェンディからもらった紫のパーカーをその上から羽織る。そのパーカーには皆さんの衣装と同じ左胸のところに白いギルドマークが印刷されていた。
「どう?ウェンディ」
「似合ってるよ!!シリル」
ウェンディは俺の服装を見て褒めてくれる。俺もなんかこの服いいと思うし、マスター中々のセンスしてますね。特にウェンディの服が。
「よし!!そろそろ入場だ。みんな準備はいいな?」
「「「「「オオッ!!」」」」」
エルザさんの掛け声を受け俺たちは控え室から入場ゲートの方へと向かう。
「しかし、気になるのはノーランと名乗るシリルとウェンディを襲った犯人だな」
「そうね。「大魔闘演舞で会おう」って言ってたんでしょ?」
「はい、去り際にそう言ってました」
エルザさん、ルーシィさん、ウェンディがそう言う。
「シャルルとセシリーをキズつけた奴がこの大会に出てやがるのか」
「まだそうと決まった訳じゃねえが、そいつの言ったことが本当なら間違いなく出てくるだろうな」
ナツさんとグレイさんがそう言う。その声には少し怒りのようなものが感じられた。
「もし俺かウェンディがやられてたら予選通過できませんでしたもんね」
「それを狙いでやったのかどうかはわからないが、その可能性は高いだろうな」
俺の言葉にエルザさんがそう答える。
「だが、今はやるしかねぇよ」
「ああ!!もし見覚えがある奴がいたら教えろよ!!シリル!!ウェンディ!!」
「はい!!」
「でもやるなら大会中にやってくださいね?場外乱闘で失格なんて洒落になりませんから」
グレイさんとナツさんの言葉にウェンディと俺が返事する。
『まもなく大魔闘演舞の開幕です。実況は私チャパティ・ローラ。解説には元評議院のヤジマさんにお越しいただいております。ヤジマさん、よろしくお願いします』
『ヨロスク』
実況役の男の人と解説を担当すると言うおじいさんの声が待機している俺たちの元に聞こえてくる。
『そして、1日目のゲストにはミスフィオーレにも輝いた、青い天馬のジェニー・リアライトさんにお越しいただいております』
『今年はうちが優勝しちゃうぞぉ!!』
ジェニーというゲストのその声で会場の声がより一層大きくなる。主に男性陣の声が。
「さぁ、行くぞ」
ナツさんを先頭に俺たちは入場を開始する。
『さぁ!!いよいよ選手入場です!!』
実況のチャパティさんがそう言う。今ここに、大魔闘演舞本選の開幕、俺たちのフィオーレ一をかけた戦いの火蓋が切って落とされた。
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルとレオンはこの大会が始まる前にすでに仲のいい形にさせていただきました。
次は各ギルドの選手入場です。
次回もよろしくお願いします。
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