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ドリトル先生と森の狼達

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第七幕その十二

「もう一切気付かないんだから」
「全くねえ」
「どうしたものやら」
「先生の困ったところの一つよ」
「どうしてもね」
 こうお話する皆でした、とにかくです。
 狼さんも先生のこうしたことには気掛かりになるのでした。ですがここで何を言ってもはじまらないこともわかっていたので。
 それで、です。先生に話題を変えました。
「あと熊さんも近くにいるから」
「そうなんだ」
「熊さんもからだね」
「うん、お話を聞きたいね」
 先生はこのことには笑顔で答えました。
「熊君達からもね」
「それは何よりだよ」
「いや、ツキノワグマの生態も調べているけれど」
「面白いっていうんだね」
「そうなんだ、熊の中でもね」
 学者としてお話する先生でした。
「とてもね」
「あまり大きくないところがまた」
 トミーもツキノワグマについて言いました。
「興味深いですね」
「そうだね、それとね」
「それと?」
「いや、ツキノワグマは」
 それはというのです。
「羆と全然違うね」
「あの熊はまた別だから」
 先生がトミーに答えます。
「クマ科でもね」
「また違いますね」
「そうなんだよ、だからね」
「そのことを踏まえてですね」
「お話していくよ」
 そのつもりだというのです。
「僕もね」
「わかりました、やっぱりそうなりますね」
「しかし、日本って面白い生態系なんだね」
 王子はしみじみとなっていました。
「いや、本当に」
「この国に温帯、温暖湿潤気候の生態系がそのまま収まっているんだよ」
「そんな感じだね」
「動物も植物もね」
「イギリスより広くて実は結構広い国だけれど」
「生態系としては小さいね」
「その小さい中にまとまっているんだね」
 王子はこのことについても考えるのでした。
「いや、面白い国だね。そうした意味でも」
「うん、生物学的にもね」
 そして植物学的にもです。
「面白いね」
「そうなんだよ、だから学びがいがあるんだ」
 それ故にとです、先生はお話してでした。
 狼さんの群れに向かうのでした、そして群れ全体のお話を聞くことになりました。 
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