戦国異伝
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第二百十九話 九州に入りその十二
「相当に難しい」
「では」
「勝てぬと思うことだ」
「それでは九州は」
「いや、勝てぬでもだ」
それでもだというのだ。
「互角には持ち込める」
「互角ですか」
「必死に勝とうと戦えばな」
その時はというのだ。
「引き分けに持ち込める」
「左様ですか」
「兄者、ここはです」
義弘はあえてだ、義久に言った。
「我等が一丸となり」
「そしてじゃな」
「織田家に挑み」
「そのうえで」
「戦いです」
「互角に持ち込みじゃな」
「そこからです」
義弘は義久にあえて言った、さらに。
「再び信長公と交渉し」
「九州全土をじゃな」
「認めてもらいましょう」
「それしかないな」
「はい、では」
「うむ、我等四人で出陣してじゃ」
そしてとだ、義久は弟達に告げた。
「織田家と引き分けに持ち込むぞ」
「畏まりました」
「島津は九州を手に入れる」
それ故にというのだ。
「織田家に我等の力を見せよう」
「さすれば」
「全てを賭けて戦うぞ」
弟達に告げてだった、義久は自ら立った。弟達も続いた。島津家はまさに九州の覇者となることを目指していた。
島津家は織田家との戦をはじめることを明らかにさせた、それを見てだった。
信長もだ、諸将に言った。
「ではじゃ」
「はい、これより」
「いよいよですな」
「島津家との戦」
「それに入りますな」
「そうじゃ」
こう言うのだった。
「天下を収める戦じゃ」
「さすれば上様」
竹中がその信長に言う。
「最初の戦の場ですが」
「何処になるかじゃな」
「おそらくですが」
この前置きからだ、竹中はその場所のことを言った。
「戸次川かと」
「その場所か」
「はい、まずはあの地面においてです」
「一戦交えてじゃな」
「島津の軍勢はそこに来ます」
「そうか、では」
「はい、戸次川に兵を向けましょう」
是非にというのだ。
「そうしましょう」
「わかった、ではな」
「ここはどうされますか」
「まず兵は大きく二つに分ける」
こう言うのだった。
「一つは奇妙が率いわしが続く」
「それがしがですか」
名を言われた信忠が応えた。
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