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ドリトル先生と森の狼達

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第七幕その四

「やっぱりね」
「ここは特別なのかな」
「狼さん達のことを言っても問題なし?」
「殆ど誰も来ない?」
「そうなのかな」
「そうも思うけれどね、僕も」
 先生は動物の皆にも答えました。
「人は交通の便で行き来するしね、例えばね」
「例えば?」
「例えばっていうと?」
「遠い場所には人はあまり行きたがらないね」
 このことをです、先生は皆にお話しました。
「そうだね」
「確かに、遠いとね」
「いい場所でもね」
「あまり行こうとは思わないね」
「それだけで」
「そう、交通の便も大事なんだよ」 
 このこともというのです。
「何かとね、ここはそれはよくないからね」
「そういえば日本から。イギリスもだけれど」
 ここで、です。王子が言うことはといいますと。
「日本から北朝鮮に行く人滅多にいないね」
「ああ、あの国だね」
「よくわからない国だよね」
「おかしな将軍様がおかしなことしてるみたいだけれど」
「とんでもないことを一杯しててね」
「けれどよね」
「普通に酷い国だけれど」
 それでもです、動物の皆も言うのでした。
「日本やイギリスからあの国に行こうって思ったら」
「ちょっとやそっとじゃいけないよね」
「滅多に出ない船に乗るかね」
「一旦他の国に入ってから行くとか」
「そんな方法しかないみたいだね」
「滅多に行けないよね」
「まああの国に行って見る価値のあるものがあるのか僕は知らないよ」
 王子はいささかジョーク混じりにお話していきます。
「けれどね」
「それでもだよね」
「あの国には滅多に行けないから」
「そのこともあって日本やイギリスからは行く人が少ない」
「その面もあるよね」
「まああそこは入国審査も厳しいしね」
 王子はこのことも言いました。
「どっちにしても行きにくいことは大きいね」
「うん、あとあの国のよくない噂は多いしね」 
 トミーも北朝鮮について言います。
「というか悪い噂しかない?」
「何か日本の昔の特撮の悪役みたいだよね」
「そのままだよね」
 こうまで言うトミーでした。
「東映のね」
「ああ、円谷プロよりもね」
「そっちだよね」
「あの国は東映の悪役だね」
「特撮のね」
「ううん、交通の便が悪くて」
 それにと言う先生でした。
「あと入る為のチェックが厳しい、それと悪い噂」
「うん、北朝鮮はそうだよね」
「この三つが問題ですよね」
「僕もあの国には入ったことがないけれど」
 世界中を冒険している先生でもです。
「それでもね」
「先生も聞いてるよね、あの国のことは」
「何かと」
「聞いてるよ、お世辞にもいい国じゃないよ」
 先生から見てもです。
「どうしたものかと思うよ。ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「何かあるの、先生」
「一体」
「いやね、若しかしたら」
 先生は王子とトミーがお話した北朝鮮のことから思うのでした。
「あの国のことが狼君達に使えるかな」
「僕達のことで?」
 暫く沈黙していた狼さんが応えました。 
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