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ドリトル先生と森の狼達

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第七幕その三

「狼君達に」
「このことも問題ですよね」
「そうだよね、本当に」
「捕まえたりする人いますね」
「うん、そのことも問題なんだよね」
 先生は狼さん達のこのことも真剣に考えているのでした。
「一体どうしたらいいのかな」
「その辺りが本当にね」
「難しいですね」
「果たしてどうすべきか」
「そこが」
 王子とトミーは二人でお話するのでした。
「ちょっとね」
「世の中いい人ばかりじゃない」
「先生みたいないい人は滅多にいないから」
「そこをどう考えていくか」
「それが問題なんだよね」
「僕は自分をいい人とは思っていないよ」
 先生は二人のお話を聞いて言うのでした。
「けれど。狼君達のことを考えるとね」
「どうしてもだね」
「そこが気になるんですね」
「この森の自然のこと」
「狼さん達のことを」
「うん、まあここはあまり人が行き来出来る場所ではないよ」 
 このこともです、先生はわかっていました。
「実際にここに来るまでが大変だったね」
「うん、電車なかったしね」
「八条鉄道すら」
 全国を通っているこの鉄道でもです。
「何か奈良県は北の方だけだね」
「南の方は路線も電車の数も少なかったでsね」
「王寺位までで」
「十津川まではなかったですね」
「うん、とにかく奈良県は北部にね」 
 南ではなく、なのです。
「人も産業も集中していて」
「南はそうじゃない」
「だからなんですね」
「人はあまり来ない」
「そうなんですか」
「吉野は観光地でもあるけれど」
 奈良県南部のこの村の名前も出しますが。
「南でも入口でね、あそこも北よりもずっと人が少なくて観光客も来ないから」
「じゃあ僕達が入った村までは」
「とてもなんですね」
「人も来ない」
「そうなんですか」
「何しろ同じ奈良県の人でも滅多に来ない場所だよ」
 奈良県の人でも南部はというのです
「実際に行ったことのない人もいるから」
「じゃあここに狼さん達を見に来る人も」
「あまりいないですか」
「そうも思うけれどね、ここは交通の便が悪過ぎるよ」
 どれだけ悪いかといいますと。
「秘境って言ってもいい位だからね」
「日本にもそんな場所あるんだね」
 王子はしみじみとして言いました。
「まだまだ」
「だから。ここは山窩の人がいても不思議な場所じゃないんだよ」
 先生は王子にまたこの人達のことをお話しました。
「山が深くて。普通の人が滅多に来ないからね」
「車路も離れていますし」
 トミーはこのことに気付きました。
「じゃあ滅多にですか」
「狼君達のことが知れ渡っても来る人は少ないかな」
「そうも思われますか」
「うん、ここはね」
 どうしてもというのです。
「日本有数の秘境でもあるからね」
「そういえばここまで来るとね」
「人が入った形跡ないね」
「ちょっとね」
「ここまではなのかな」
 動物達もこのことについてそれぞれ言いました。 
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