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吉田 松陽がいる世界

作者:クシャル
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真選組との出会い

 
前書き
ーお前を殺そうとする者がいるのなら、そいつを殺せばいい、誰も咎めはせん。

だが、そいつを殺したら人として見てもらえなくなるだろうよ。(by白夜)









 

 
「鬼だ‼︎鬼が出たぞ‼︎」

「恐ろしい、あんなのが人間なわけないわ!」

「出て行け‼︎災いを呼ぶ忌み子め‼︎」

白「何をしている!」

「やべぇ、来たぞ。」

白「石を投げるという行為が、小童相手にいい歳した大人のすることか!」

「うるせぇ‼︎救世主だかなんだかしらねぇけど、てめぇらみてぇな鬼は出て行け!化物がッ‼︎」

白「••••貴様、その言葉忘れるなよ。行こう、銀、ここに用はない。」

銀「••••うん••••。」

銀時は白夜の裾をぎゅっと握る。

少し悲しそうな顔をする銀時とは逆に、白夜は特に何も思っていないような顔をしている。

幼い時から纏わり付いて離れなかった言葉に、白夜は慣れてしまっているのだろう。

当たり前だ、だがそれがどうした、とでも言うような雰囲気を醸し出していた。

村から出て行き、歩き歩くこと3日。

白「銀、疲れてはいないか?さっき水の流れる音が聞こえた、川があるのだろう、見つけたらそこで少し休むとしよう。」

銀「••••ねぇ、はくはかなしくないの?」

白「何がだ?」

銀「その••••おにとかばけものとかっていわれて、いしをなげられるの••••••。」

白「今更どうとも思わんな、化物であることは事実だし、石を投げたとて我が気にかけている無駄な時間はない。

銀、もしお前に鬼だのなんだの言って虐めてくる連中がいたら、だからどうしたと言ってやれ。

きっと連中は驚いてマヌケ面を晒すだろう。

そしてお前が村に災いを呼ぶと言ったら、どこにそんな証拠があると返してやれ。

銀、お前は鬼の子だ。だがな、鬼というのは嘘が嫌いな生き物だ。

嘘を常に吐き、時には怯えて生きている滑稽な人間と違い、鬼という妖は美しいのだ。」

銀「うつく••••しい?」

白「そう、潔いというか素直というか••••、鬼は悪者だと思われがちだが案外そうでもない、善い鬼もいる。

力の使い方次第でお前が善い鬼か悪い鬼か決まる、そこはお前次第だ。

それに、鬼がいるからといってそこの村に災いが呼び込まれることは少ない。

偏見••••とでも言うのだろうな、鬼が嫌われるのは仕方がない。

人間というのは悪いところばかりを大きく広めていく、だからお前が嫌われる。

だが、そんなの今更だろう?人の悪口なぞ、幼稚なものよ。」

銀「よく、わからない。」

白「わからなくともよい、お前はまだ幼いからな。

銀、お前は強いが感情というものがある。お前の信じるものに助けを請い、お前の信じるものを頼れ。

お前は我と違い、何でもかんでも出来るわけではない。

泣きたい時には泣け、笑いたい時には笑え、時には冷静に物事を考えろ、感情を殺すのは戦の時ぐらいでいい。

日常の中では自然でいればいい、お前には人を惹きつける魅力があるからきっと一人ではなくなる。」

銀「••••うん。」

銀時は嬉しそうな顔をする、そして、ヒュンッと音が聞こえた、白夜が木に向かってナイフを投げた音だった。

ドサリと何者かが落ちてくる。

白「••••見覚えのある制服だな、真選組••••と言ったか?こんな深い森にごくろうだな、何の用だ?」

?「いやあの、覗き見してたことは謝ります、その••••しっ、仕事で!」

白「そうか仕事か、邪魔してすまなんだな、続けてくれ。」

?(あっ、あれ?聞いていた話と違う••••、なんかすっごく優しいんだけど••••。)

白「••••どうした銀、行かないのか?」

銀時はじっと落ちてきた真選組の者を見つめている。

銀「••••ん、さかた ぎんとき、なまえなんていうの?」

山「え••••っと、山崎 退、です?」

白「ほう、真選組の中で密偵を得意とする影の薄いあの!」

山「••••泣いていいですか?」

キラキラした笑顔の白夜と、泣きそうな山崎。

白「銀、仕事の内容を聞いてしまうのは流石に不味い、放っておいても害はない、一応お前よりは弱いからな。

それに隠密行動となれば攻撃するような真似はしない、というかこいつにはそういう度胸もないだろう、行くぞ。」

銀「うん、ばいばいさがる。」

白夜は笑って、銀時は手を振って山崎に別れを告げた。

山(なんか••••副長から酷い扱いしか受けてこなかったから嬉しい••••!それよりも副長に報告しなきゃ!)

山崎は無線機を取り出して現状を報告し、再度見張りに戻った。




山崎は真選組ソーセージ(持ち歩き可・非常食)を食べながら銀時の様子を見張っていた。

そんな様子を自分の背後で白夜がニヤニヤしながら見ているとも気がつかずに。

白「そんな食べ物で大丈夫か?(腹持ち的な意味で)」

山「この真選組ソーセージは結構腹持ちがいいんです、非常食だし、それにまだまだたくさんあるから大丈夫です。」

白「仮にも隠密行動しているやつが声を発したら終わりではないか?」

山「ん?わあああああああ⁉︎ぐえっ!」

白夜が背後にいたことに気がつかず、ようやく誰かがいると自覚たのはいいものの驚いて落っこちた山崎。

白「あ、落ちた。」

銀時は鞘に収まった刀で山崎をツンツンと突っつき生存確認をしていた。

白「驚かしてすまない、ただ背後ががら空きだったので、気づいたらどうなるのかという個人的好奇心の故あそこにいた。」

山「いつつつつ••••高くなくてよかった••••••。」

銀「ん、さがるいきてる。」

白「死んだらザオるから大丈夫だろう、一応ベホマるがな。」

山「ドラ◯エはいいです••••、ああ助かった••••••。」

突如白夜が顔を上げる、そして何を思ったのか山崎と銀時を抱えて木の上に飛び移った、••••外見は子供である。

銀「はく、どうした?」

白「三人の足音が聞こえた、だいぶ音を消しているようだ、それにタバコの匂いと気配もした、もう時期ここに来る。」

少しの間待っていると、山崎と同じ服を着た男が三人、白夜は双眸を細める。

白「••••血の匂い••••••。」

山「あぁ、えーと左から近藤局長、土方副長、沖田一番隊隊長です。」

白「ゴリラが近藤 勲、瞳孔開きっぱなしが土方 十四郎、美少年くんが沖田 総悟だな。」

銀「いちばんみぎのひと、おんなのこにみえる。」

白「まあ分からなくもない。」

何を思いついたのか、黒い笑みを浮かべる白夜。

土「山崎のやつどこに行きやがったんだ••••。」

沖「たしかこの辺りのはずですよねぃ。」

キョロキョロと見回す三人の元に、白夜たちが降りてくる。

山「局長〜助けて下さ〜い!」

何故か縄でぐるぐる巻きにされた山崎、その横に銀時、その前に立ちはだかるように白夜が立つ。

土「山崎••••てめぇ何やってんだ?」

山「捕まったんですよ!」

白「はっはっはっ!返して欲しくばかかって来い!」

ガッキイイイン‼︎と金属音が響く。

何も持っていなかったはずの白夜は刀をいつの間にか持っていた、そして鞘に収まった状態で沖田の迅速な攻撃を防いでいた。

最高速の攻撃を余裕で止められた沖田に冷や汗が伝い、近藤と土方は目を剥いていた。

不敵な笑みを浮かべる白夜に対し、沖田は刀を鞘に収め、キラキラした目で白夜の手を握った。

沖「すごいでさぁ‼︎一体どこの剣術家の子供なんですかぃ⁉︎」

白「お、おぅ?我流だが••••、そもそも我に親はいない。」

何だか犬を彷彿とさせるような態度である。

幻覚が見えてきたらしい白夜はポンポンと沖田の頭を撫でる、まるで飼い主(子供)と中型犬(わんこ)。

白「総一郎くんには癒されるなぁ、銀とはまた違った癒し••••。」

沖「総悟でさぁ、姉御。」

白「む••••、女子(おなご)だということを知っていたのか。」

沖「あれ、マジですかぃ、こりゃびっくりでさぁ。」

白「なんだ、カマかけられていただけか。」

山「うんしょっと。」

自力で縄を解いた山崎。

白「何はともあれ作戦成功、やったな。」

銀時、白夜、山崎は三人でハイタッチをする。

白「ジミーくんのおかげで総一郎くんの実力もなんとなく見極められた、実にいい収穫だった。」

土「結局何がしたかったんだ••••?」

土方は呆れたようにため息を吐く。

白「我はただ、お前らの実力を見たかっただけだ、総一郎くんがかかってきてくれたから目的は達成された。

それ以外の目的は全くない。」

沖「総悟でさぁ。」

白「うむすまぬ、お前たちは何の用でジミーくんに我らを偵察させた?」

土「••••言えねぇな。」

白「そうか、銀と我を捕らえに来たか。」

沖「その通りでさぁ。」

土方はピクリと眉を上げる。

白「つまらないな、おそらく天人の皇子あたりか?我に負けたくせに偉そうな、また負かしてやろうか。」

土「••••••なんでもお前らのその容姿が気に入ったんだと。」

白「そして我らの意思は無視、と。今すぐ殺したい、あのバカ皇子。

あのバカのことだ、どうせ自分が一番偉いとでも思っているのだろう、バカだし。」

近「バカだけど皇子だから!バカだけど‼︎」

白「出番がないくせにここぞとばかりに出てくるな、驚くだろうが、声が大きくて。」

近「お、おうすまん••••、じゃなくてエエエエエ‼︎皇子もう来てるんだよオオオオオ‼︎」

白「銀、暗殺の基本はだな••••。」

近「ちょっとオオオオオ⁉︎幼い子供に何教えてんのオオオオオ⁉︎

そうじゃなくて、とりあえず一緒に来てくれるだけでいいからアアアアア‼︎」

白「うるさい、仕方ないからついて行ってやる、が、我らは物ではない、よく覚えておけ。

銀、我の後ろに隠れているのだぞ。」

銀「うん。」

銀時は白夜の背後に隠れて裾を握る、姉が弟を迷子にならないようにしているようにしか見えない。

白「近藤、我らをその場所へ案内しろ。」

外見は子供だがカリスマがある、口調のせいでもあるかもしれないが。

六人は森の中を歩く。

土「しっかし深い森だな、お前らどこまで来てるんだよ。」

白「我らはこの容姿であるから人前には出られん、だからここまで来ているのだ。

ここは獣たちがたくさんいて賑やかだぞ、人間もいないから安心できる。

人間は自分たちとは違うものを嫌い、蔑み、妬んで、殺しにくるからな、我らだってマゾではない。」

土「いや食いもんとかどうすんだよ。」

白「木の実とか虫とかいるだろうそんじょそこらに、それで生きていける。

それに鴉が死体のある戦場跡に連れて行ってくれるから飢えることはほとんどない。」

土「そうか。」

土方は相槌を打ち、タバコを吸う。

土(こいつら何つう生活してるんだ?俺でもしたことねぇよ、んなハードな生活。

しかもそれがさも当然のように言ってやがる、一体なんなんだこいつら••••。)

白夜と銀時を横目に見て、土方は煙を吐き出した。




ハ「おお!これこそ妾が求めていたものじゃ‼︎うむ、ご苦労であった!」

白夜と警戒する銀時をみて興奮する幼いハタ皇子。

白「気色悪いんだよ宇宙に船ごと蹴り返すぞバカ皇子が。」

白夜が口調を崩すほどの効果があったようだ、これはハタ皇子とその付き人以外びっくりである。

「皇子になんて口の利き方を‼︎」

白「煩い、貴様ら我に負けただろう。天人を絶滅させてほしくなかったらさっさと帰れ。

貴様らのような連中が来てはこの星がもっと汚れる。」

白夜がピンポイントに殺気を放ち睨みつける、銀時はその殺気を感じ取ったのかギュッと刀を握る。

ハタ皇子は顔を青くしてそそくさと撤退した、しかし、それで終わらないのが天人である。

船で帰るのだろうと思った矢先、砲撃をしてきたのだ、土煙が舞い上がる。

幸い、銀時は白夜にくっついていたため離れ離れになることはなかった。

白「銀、危ないから木の陰に隠れていろ。」

銀は嫌だ嫌だと首を横に振って悲しそうな顔をする、白夜は銀時の頭を撫でて優しく微笑む。

白「これくらいで死ぬ命(たま)ではない、大丈夫、あんなものを壊すなど、赤子の手をひねるより容易い。」

銀時は渋々納得し、木の陰へと隠れた。

土煙が完全に晴れる、そこで見た光景は白夜が何かを放とうとしている姿だった。

赤黒く輝く巨槍は、遠くに離れていても放電している音が聞こえる。

魔法陣が三重に現れ、白夜がその巨槍をやり投げの容量で投げた。

巨槍は三重の魔法陣の中を通り抜け加速する、そして船にあたり、船はバラバラに砕け散った。

そしてその衝撃波で、乗員は全員遥か彼方へと飛ばされていった。

白夜の周りには深く広いクレーター、その中心で白夜は呼吸を整えていた。

白「帰ったか。」

山「帰ったか••••、じゃないよぉぉぉ‼︎どうすんのこれぇ⁉︎皇子吹っ飛んじゃったよ⁉︎それにこのクレーター‼︎」

白「なに、すぐに直す。」

白夜が一回手を叩く、すると何事もなかったかのように修復されていた。

銀「はくぅ〜••••。」

銀時は今にも泣きそうな顔でちょこちょこと駆け寄ってきた、そして力一杯白夜を抱きしめる。

白「うむ、心配かけてすまない。もう大丈夫だ、いなくなった。」

銀「うん••••。」

土「何はともあれこれで一件落着だな。」

白「そういえば聞きたいのだが、ここはどこだ?」

土「ここ?萩だ。」

白「そうか!ここが萩か!長かったな••••。お前たちの仕事場は何処にある?」

土「あ〜••••萩の村はずれだな。」

白「そうなのか!ならいつでも会いに行けるな!」

白夜の本当に嬉しそうな笑顔に、土方は目を見開く。

土(こいつもこんな嬉しそうな笑顔を浮かべるんだな••••。)

真選組の四人が、白夜の笑顔に見惚れていたのを白夜(ほんにん)は知る由もないのであった。 
 

 
後書き
今回は長い!頑張りましたよ僕!

本当に遅くなり申し訳ございませんでした、なんかリクエストがあったらコメントしていただければ幸いです。

質問とか受付中。

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