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吉田 松陽がいる世界

作者:クシャル
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子供と子鬼と化物と

 
前書き
ー人が鬼が出たと騒ぎ立てたところで真偽のほどは分からないものである、噂は尾ひれがつくものだ。(by白夜)









 

 
江戸城を出てあちらこちらさまよう白夜だったが••••、現在大変な目にあっていた。

「ねぇ救世主様あ〜私達の店にも寄っていってよ〜。」

「ずる〜い、私達が先でしょ〜?ね〜、白様〜。」

白「は〜な〜せ〜!我は積極的な女性は好まん!

というか店とはなんだ店とは!そもそも何でこんなに早く情報が出回っておるのだ⁉︎」

そう、地球の救世主としてもてはやされていたのだ、••••主に女性に。

てんやわんやしながらやっとの思いで町の外へと出られた白夜は、すでに疲れ果てている。

白「なっ、何なのだ••••あの情報の出回るスピードは••••、おかげで酷い目にあったぞ••••••、!」

少し離れた場所で声がする、白夜はその声を聞き取り顔を上げた。

何やら怪しい雰囲気である。

白夜は声のした場所へと面倒ながらも足を運ぶ、そこには一人の肥えた男と二人の小さな子供がいた。

その子供のうち一人は縄で縛られ騒ぎ立てている、もう一人は静かに男を睨みつけているだけである。

白(あれが世に言うろりこんというやつか?いや、しょたこん?)

その様子をひきながら木の陰で見ている白夜がいた、おそらく白夜が聞いた声の主は今騒いでいる子供のものだろう。

白(••••だが誘拐はいけないことだ、助けるわけではない、そう助けるわけではない。

我に害が及ばぬように芽を摘み取るだけだ。)

自分で納得するかわいそうなツンデレ疑惑浮上者だった。

早速白夜は地面にある石を拾い、男の近くに高速で投げた。

尋常ではない力が地面に叩きつけられて、爆発したようになる。

白夜は勘で適当に蹴りを放つと、呆然としていた男の腹に直撃して男は意識を失った。

土煙が晴れて、周りに敵がいないことを確認した白夜は呆然としていた子供二人の縄を引きちぎった。

白「••••そういえばこいつはどうしようか、誘拐犯は縄で縛って罪状を貼り付けて町の中にでも転がしておけば良いか。」

思い立ったが吉日、白夜は早速どこからか縄を出し縛り付ける。

そして、これまたどこからか紙とペンを取り出し『私が誘拐犯です』と書き、男の額に貼り付けて、投げた。

そう、男を投げたのだ、まるでボールを投げるかのように。

メタい話、ギャグパートなため男は死なない、ギャグパートはある意味最強だった。

結局、その男は捕まり牢に入れられたそうだ。

捕まっていた二人の子供、察しの良い方は気付いただろう。

この二人こそ、高杉 晋助と桂 小太郎である。




またもやふらふらとさまよい歩く白夜。

白「もう夜か••••、今宵は満月、力が出んし••••••、野宿は覚悟の上だ、慣れれば結構住み心地が良いかもしれん。

うむ、今日のところは木の上で休むとしよう、誰も来ないだろうしな。」

白夜は近くにあった大木に跳び移る、なかなか頑丈で平らなため、布団を敷けばなかなか快適に眠れそうである。

いざ寝ようと白夜が眠りに入ろうとしたとき、下の方からガサガサと草の揺れる音がした。

白夜が下を見てみると、一人の小さな子供が現れた。

銀色の髪に、身丈もある大きな刀を持った子供。

木の周りをうろうろと見回り、きょろきょろと辺りを見回す。

白夜は気配を消しながらその様子を木の上から眺めていた。

その子供はここが気に入ったのか、枝を伝って登って来ようとした。

そのときー

「いたぞ‼︎こっちだ‼︎」

一人の人間がやって来た、そしてそれに続いて松明を持った人間が数人やってくる。

白(ふむ••••、やはりあの小童は鬼子と呼ばれるものであったか••••。

どうりで人間が追いかけてくるはずだ。)

白夜はやれやれとため息を吐く。

白「人間、その小童は何か罪を犯したか?」

木の上から呼びかける、しかしどこにいるかわかっていないようだ。

白夜は木の上から飛び降りる、月明かりに照らされた白夜の白銀色の髪はキラキラと反射した。

白「問おう人間、この小童は何か罪を犯したか?」

「なっ、なんだお前は‼︎」

白「我が名は禍 白夜。」

「まが••••⁉︎おいやべぇよ••••、まがって言やぁ世界を救ったとかで今騒がれてる••••••。」

「なっ何言ってやがる!そんな大物がこんなところで野宿なんてしてるわけないだろ!」

白「お前失礼だな、世の中には世界を救っても嫌悪される勇者だっているのだぞ、救世主が野宿していても問題はなかろう?」

「「「色々問題だよ‼︎」」」

白「そんなこと言われても事実は変わらんだろうが、さっ、帰れ帰れ。

ここは妖怪たちの住む森、たかが人間数人で太刀打ちできるほど弱い妖怪はおらん、喰われたくなければ帰れ。」

人間たちは一応納得したのか渋々帰っていった。

白「まったく••••、ここにも人間の足が及ぶか••••••、場所を考えねば殺されかねんな。

満月の夜ではあるが移動するとしよう、川のある場所がいいな、魚が取れる。

小童、」

刀を持った子供がびくりと震え警戒した素振りを見せる。

白「小童、何に怯える、その刀は己を守るためにあるのではないのか?」

しかし何も答えない、おそらく言葉を知らないのだろう。

白「••••まあいい、自分を守るために他者を傷つける力(けん)など捨ててしまえ。」

白夜の手には刀が握られていた、その刀を子供に向かって放り投げた。

子供は驚きながらもその刀をキャッチする。

白「これからはその刀を使え、弱き己を守るためではなく、弱き仲間を守るために。

弱き他者を殺すのではなく、弱き己を殺すために。

いずれお前は、一人の男と出会い、その力の使い方を学ぶだろう。

着いて来たくば着いてくればいい、そこは我が決めることではない。」

白夜は子供に背を向けて歩き出した、子供は戸惑うも少し距離を開けて着いて行くことにしたようだ。

この子供が、後に坂田 銀時と呼ばれる人物である。 
 

 
後書き
故意的に改行を多くしています。

感想&評価ありがとうございます!

これからもこの不定期更新小説をよろしくお願いいたします。

時間があればイラストも載せたいと思います〜。 
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