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ドリトル先生と森の狼達

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第六幕その十一

「こうした場合に」
「そうなんだ、だから軍隊の携帯食にも入っているよ」
「歯の汚れを取る為にも」
「お口の中は奇麗にしないとね」
 しかも奇麗にというのです。
「だからガムもね」
「噛むべきですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「だからね」
「先生はこうした時ガムを持って来られるんですね」
「皆の分もね」
 歯のあるジップやチーチー達の分もです。
「用意しているんだ」
「僕達の歯のことまで考えてくれているのがね」
「嬉しいね」
 その歯のある皆が先生に嬉しそうに言うのでした。
「お口の中も奇麗に」
「そこまでちゃんと考えてくれているのって嬉しいよ」
「確かに歯は大事だから」
「奇麗にしないとね」
「そうだよ、歯は奇麗にしないと」
 ひいてはお口の中をです、先生は言いました。
「駄目だからね」
「だからなんだ」
「ちゃんと奇麗にして」
「そしてなんだ」
「健康に暮らさない駄目なんだね」
 ジップやチーチーだけでなく他の皆も言うのでした、歯のある皆が。
 そして狼さんもです、先生のところに来てその紅茶を舌でぴちぴちと舐める様にして飲みつつこう言うのでした。
「美味しいよ」
「そう言ってくれるんだね」
「うん、これが人間の飲みものなんだ」
「紅茶というものだよ」
「そうなんだね」
「それで君達はどれ位いるのかな」
「ううん、百はいるよ」
 少し考えてからです、狼さんは先生に答えました。
「それ位はね」
「そうなんだ」
「そう、確かにかなり減ったけれど」
 それでもというのです。
「いるよ」
「それが本当にね」
「信じられないけれど」
 王子とトミーはまだ唖然となっています。
「ニホンオオカミね」
「絶滅していなかったんだ」
「こうしたことが本当にあって」
「僕達がその姿を見るなんて」
「夢みたいだよ」
「想像もしてなかったよ」
「そうだね、僕も最初はまさかと思ったけれど」
 とはいってもです、先生は穏やかな笑顔です。
 その笑顔で、です。皆にお話するのでした。
「世紀の再会だね」
「何か僕に会えたことが嬉しいみたいだね」
「うん、凄くね」
 とてもとです、先生は狼君にも答えました。
「とてもね、けれどお話を聞きたいね」
「是非共だね」
「うん、そうしたいよ」
 こう狼君に言うのでした。
「いいかな」
「いいよ、いや先生はね」
「僕は?」
「何か思ったよりもね」
「っていうと」
「太ってるね」
 先生の体型のことを言うのでした。
「太り過ぎはよくないから」
「うん、よく太ってるとは言われるよ」
「気をつけてね、そのことは」
「どうも日本に来てからね」 
 その時からとです、先生は言うのでした。
「食べるものが美味しくて」
「食べ過ぎているんだ」
「余計に太ったかも知れないですね」
「いえ、先生はむしろ」
 ここでトミーが先生に言いました。 
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