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ドリトル先生と森の狼達

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第六幕その十

「これまでずっと確かめていたんだ」
「そうだったんだ」
「あの山犬さんが本当にニホンオオカミかどうか」
「ずっと確かめていたんだ」
「これまで」
「そうだよ、彼はニホンオオカミだよ」
 先生のお顔はその山犬さんに向けたままです、ずっと後ろからついてきたその山犬さんを。
「間違いないよ」
「ああ、わかっていたんだね」
 ここで山犬さんも言ってきました。
「流石はドリトル先生だね」
「僕のことも知っているんだね」
「そうだよ」
 その山犬さん、狼さんからも答えが来ました。
「僕はニホンオオカミだよ」
「うわ、本当に狼だったなんて」
「ニホンオオカミだったんだ」
「まだいたんだ、日本に」
「絶滅したと思ったいたら」
「そうだよ、この辺りにはね」
 狼さんは皆のところに来ました、ティータイムでお茶を飲みながらティーセットを囲んでいるその皆のところにです。
「僕達がまだいるんだよ」
「いや、驚いたよ」
 トミーも驚愕の顔のままです、そのうえで狼さんに言うのです。
「いなくなったって思ったら」
「ははは、そうだろうね」
「そうだろうって」
「もう数も少ないからね」
「それでもいるんだよね」
「そう、この辺りにはね」 
 奈良県の奥にというのです。
「僕達がまだいるんだ」
「何て言ったらいいか」
 トミーは言葉を失う感じにもなりました、驚きのあまり。
「確かにこれは世紀の大発見だね」
「全くだね」
 トミーも驚きのお顔のままトミーの言葉に頷きます。
「このことはね」
「本当にそうだよ」
「けれどずっといるってことは」
「僕以外にもね」
 その狼さんの言葉です。
「いるよ」
「少し見せてもらっていいかな」
 ただ一人落ち着いている先生が狼さんに尋ねました。
「君達の暮らしとかを」
「うん、いいよ」
 狼さんはにこりとしてです、先生のお願いに応えました。
「それじゃあね」
「今からね」
「僕の巣に来てくれるかな」
「その前に君もどうかな」
 先生はカップの一つに紅茶を入れてでした、そのうえで。
 狼さんの前にそっと置いてです、こう言いました。
「一杯ね」
「飲んでいいのかな」
「うん、いいよ」
 微笑んで狼さんに言うのでした。
「遠慮なくね」
「有り難う、じゃあね」
「お砂糖とかは入っていないから」
「虫歯になるからだね」
「うん、皆のお茶にも入っていないよ」
 お砂糖はというのです。
「勿論僕のもにもね」
「こうした時は歯を磨かないですから」
 トミーがお茶にお砂糖を入れない理由をお話します。
「ですから」
「ガムを噛むけれどね」
「はい、ガムがです」
「歯の汚れを取るね」
「ガムも使えますね」
 トミーはここでしみじみとして言いました。 
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