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ドリトル先生と森の狼達

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第六幕その七

「さもないと大変なことになるよ」
「その一本だたらに襲われて」
「血を吸われるんですね」
「そうなるからね」
 だからだというのです。
「絶対にね」
「その場所に昔からいる人のことを無闇に否定しないで」
「しっかりと聞いてですね」
「その言うことに従う」
「そうしないとよくないんですね」
「そう、これもまた学問なんだよ」 
 その場所に昔からいる人のお話をちゃんと聞いてです、そのことを無闇に否定せずに検証して考えることもというのです。
「西洋の科学文明を出して否定したりはね」
「キリスト教も」
「宗教も出して」
「否定すると何にもならないよ」
 これもまたです、先生が否定することです。
「例えキリスト教を深く信仰していても」
「それ以外のことは否定しない」
「それが先生の学問のあり方ですね」
「僕は神学も学んでいるけれど」
 こちらもです、先生は有名なのです。優れた論文も沢山書いています。
「神学以外のものを否定するのも神学じゃないんだ」
「むしろ他の学問も学んで」
「そのうえで神学を高めていく」
「それがだね」
「本当の神学なんですね」
「僕はそう考えているよ、だからね」
 そのこともあってというのです。
「村の人達のお話することもね」
「否定せずに」
「しっかりと学ばれるんですね」
「そしてその日にその山に入らなかったり」
「そうしたことも守られるんですね」
「確かに言い伝えの中にはおかしなものもあるよ」
 先生もそうした迷信の存在を否定しません。
「欧州にも多かったね、双子を忌み嫌ったりとかオッドアイを嫌ったり」
「ああ、左右の目の色が違う」
「そうした人だよね」
「いるよね、たまに」
「そうした人が」
 動物の皆もオッドアイと聞いて言います。
「日本ではいないけれどね」
「日本人の目は大抵鳶色だから」
「白人の人だとね」
「たまにいるよね」
「そうした人は昔訳もなく忌み嫌われていたし。ハンセン病の人やペストに対する偏見もあった」
 そうしたものが迷信だというのです。
「そうしたものがあったのは事実だよ」
「紛れもなく、だね」
「迷信があることも」
「言い伝えの中には」
「そうしたものもあるんだね」
「そう、日本でもあったしね」
 ここで先生が言う日本の迷信の一つはといいますと。
「鳥は食べてもドリは食べるなって言われていたしね」
「ドリ?」
「ドリって何?」
「鳥はわかるけれど」
「ドリは?」
「何かしら」
「ドリというのは内蔵のことなんだ」
 それのことだとです、先生はいぶかしむ皆に答えました。
「昔日本ではそう言って鳥の内蔵を食べなかったんだ」
「あっ、そうなんだ」
「日本では昔鳥の内蔵は食べなかったんだ」
「今はお店で普通に売ってるけれど」
「昔はそうだったんだ」
「意外ね」
「確かに内蔵は傷みやすくてすぐに食べないとよくないけれど」
 それでもというのです。 
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