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4.神無異がクトゥルフ神話舞台に行くよ!

作者:クシャル
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食人鬼(ラミアー)

白(••••••えっ••••••ちょ、何これ、どうしてこうなった?)

ようやく退院できた白夜は、久々の我が家でゆったりと過ごしていた。

外が騒がしく扉を少し開け覗き見る、白夜の家の前にはたくさんの人間、警察、マスコミ、ファン(?)、一般人ー

白(そうだ、脱走しよう。)

白夜は静かに扉を閉め鍵をかけて、とりあえず二階に避難した。

下は扉を叩く音やチャイムの音でやかましい。

白(脱走するにしても情報が少ないからな••••••、どこに行けば人がいないんだろう、墓場とか?

まあたしかに人はいないな、人は、人間じゃないやつがはびこってるだろうなぁ••••••。)

悠長に考え事をしている白夜の元に、電話がかかってくる。

白「はいもしもし死因は何がいい?関崎(せきざき)サンよぉ。」

関「あ、いや、その••••••大変申し訳ない、前回といい今回といい事を荒げてしまったのは詫びよう。」

白「••••••はぁ、んで、何の用だ?」

関「最近起こっている事件は知っているか?」

白「••••死体の見つからないやつのことか?」

関「そうだ、一般人(?)である君を巻き込みたくはないのだが••••••、こちらも詰んでしまってね、君の力を借りたい。」

白「••••••••高級甘味一万円相当でやってやる。」

関「本当か!これは助かる、実はいい店を知っているんだ。

っと、事件の場所は旧南地下鉄道だ。」

白「南鉄か••••、近いな、今すぐ向かう。」

白夜は電話を切ると私服に着替えて窓から飛び降り外に出て、南にある旧地下鉄道へと向かった。




白「••••こりゃひでぇや、ケチャップが散らばってる、しかも乾ききってないか。」

?「おお、君は白夜くんじゃないか!」

白「ん?あぁ、原木(はらき)サン、もしかして原木サンこの事件担当か?」

原「そうだよ、いや〜警視総監から強力な助っ人を送ったって聞いたからさ、君が来てくれるなんて心強いよ!」

白「(もう少し粘っておくべきだったか。)原木サン、調査はどこまで進んだんだ?」

原「ここの調査はあらかた終わったから、これから僕たちも奥に行くよ。」

白「僕たちも••••?他の誰かがすでに行っているのか?」

白夜に嫌な予感がよぎる、ここにはいったときからずっと奥の方からおかしな臭いが漂っていた。

••••••獣のような臭いが。

原「うん、二人ほど先に行かせたよ。」

白夜は目を見開き、踵を返し奥へと走っていく、原木が制止する声すら耳に入っていないようだ。

人間では明かりがないと見えないくらい真っ暗な闇の中、しかし白夜には関係のないことである。

白夜はただひたすら奥へ奥へと走っていく、そんなとき一発の銃声がかなり近くで聞こえた。

それに続き、何かが引き千切られる音も。

白夜は急いで音が聞こえたところへと向かう、が一足遅かった。

そこには一体の何かと、かつて人間だった二つの物。

白「チッ、間に合わなかった••••••!」

白夜に気がついたのか何かは体をゆっくり白夜の方に向ける。

「美味ソウナ匂イダ••••、オ前ノ肉食ワセロォォォ••••‼︎」

白「食屍鬼(グール)じゃなくて食人鬼(ラミアー)かよッ!」

ラミアーの飛びかかり攻撃をバックステップで避ける、しかしラミアーの追撃は止まない。

白「しつけぇ!」

すばしっこくラミアーの攻撃を避けていた白夜だったが、何かに足を取られて転ぶ。

白「血か••••、グッ‼︎」

その拍子にラミアーに捕まってしまった。

拘束から抜け出そうと抗うも、ラミアーの力は強すぎて話にならない。

白「くっそぉ••••••、こんなとこで••••死んで••••••、ッッッ‼︎」

ラミアーが白夜の肩の肉を食い千切る、動脈まで達していたようで、血が溢れ出てくる。

「美味イ••••美味イ••••‼︎一番美味イ肉ダァ‼︎」

白「••••••。」

突如、白夜を掴んでいたラミアーの腕が消える、すっぱりと消え丸見えになった肘からはボタボタと血らしきものが流れ出る。

落ちた白夜がむくりと起き上がる、開かれた眼は金色に輝いていた。

白夜は一瞬でラミアーを蹴り倒し、マウントポジションをとりただ無心に顔面を殴りつける。

鼻が潰れ歯が折れて、もはや跡形も無くなってしまった。

息を引き取ったのを確認すると、白夜はそのまま気を失い倒れてしまった。




白「••••••••ここは••••、い゛ッ••••‼︎」

?「目が覚めたかい?」

白「••••原木サン••••、俺はどうしてここに••••••?」

原「銃声が聞こえてね、急いで向かったら白夜くんが倒れていたんだ。

肩から酷い出血をしていて••••、ここは病院だよ。」

白「••••!警官二人とアイツはーッ゛‼︎」

原「まだ動いちゃダメだよ、しばらく安静にしていないと。」

白「••••••警官二人は••••?」

原「••••戻ってきていない、ただ••••、白夜くんが倒れていたところにあった血液が、二人のものと一致した。」

原木は俯き首を横に振る。

原「一体何があったんだい?」

白「••••••食人鬼••••アイツが人間を襲っていた••••。

けど、死体が残っていなかったのは食屍鬼が死体を片付けていてくれたからだ••••。」

原「食人鬼••••食屍鬼••••、どこかのファンタジーかい?」

白「奴らは裏側の住人だ••••、陰に住み闇に生きるもの••••。

奴らは決して人目に出ることはない、見たら最後••••生きて帰れる保証はない、ただでは済まないだろう••••。

今回の事件には手を出すな、これは警告だ••••、死にたくなければ手を出すな••••••。」

原「し、しかしだな••••ー」

白「原木サン、あんたはてめぇの命と仕事、どっちが大事なんだ••••?」

白夜は原木を睨みつける。

白「あんな裏の連中と殺りあったって警官ごときじゃ話にならない、奴らには警官の持つ銃なんてあまり効果がない••••。

そもそも食人鬼や食屍鬼なんて下位の中の下位、裏じゃ弱い方に入る••••、それでも奴らは人間にとっては脅威だろうよ••••••。」

白夜は一息ついてまた話し始める。

白「原木サン、俺は別に仕事熱心な奴は嫌いじゃない••••、けど仕事よりてめぇの命を大事にしない奴はちょっと嫌いだ。

働くってことは金を稼ぐのもあるがもっと簡単な理由があるのさ••••。

仕事ってのは社会をまわすためにある••••、働かなきゃ社会はまわらん••••、金ってのは働いた褒美みたいなもんだ••••。

アンタは、そんなもののために命をかけるのか••••?

そんなことのために、大切な人を泣かせるのか••••?

違うだろ、アンタには••••アンタのまわりには••••大切な人が••••アンタを大切に思ってくれる人がいる••••。

だから来ちゃいけない、【こっち側】は••••人間が来ていい世界じゃない••••。」

原「それってどういうー••••寝てるし••••。」

気持ちよさそうに眠っている白夜を見て、原木はため息をついて笑った。 
 

 
後書き
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