ともだち
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第四章
「あの子達もです」
「私を友人としてですか」
「思っていますので」
だからだというのだ。
「これからも宜しくお願いします」
「私でよければ」
「はい、お願いします」
こうした話をしてだ、そのうえで。
グラッドは笑顔で孤児院を後にした、それはこの時だけでなく。
何度も時間があれば足しげく通って子供達と遊んだ、それはこの孤児院だけでなく他の場所でもサンタになったりピエロになったりしてだ。子供達の友人となった。
しかしだ、彼は海兵隊ではだ。極めて生真面目で無表情だった。
その彼にだ、同僚達は言うのだった。
「本当に真面目だな」
「格闘技に射撃にな」
「訓練も真面目で」
「戦場でも強いな」
「まるで機械だよ」
こうしたことを言う者もいた。
「趣味はトレーニングに読書か」
「ギャンブルも女遊びもしない」
「私生活でもそんなのか?」
「真面目なままか」
「そう思ってくれるのなら思ってくれればいい」
グラッドは淡々と返すだけだった。
「それでな」
「そうか、じゃあな」
「そう思わせてもらうな」
「真面目で寡黙だってな」
「それでいい」
こう冷静に言うだけだった、そしてだった。
彼は海兵隊では寡黙で無表情なままだった、だが友人達と会う時はだ。別の顔で彼等を笑顔にするのだった。海兵隊では知られていない笑顔で。
その中でだ、彼は牧師に言った。
「友人はこの上ない宝です」
「あの子達はですか」
「はい、そう思います」
「あの子達はやがてこの孤児院から旅立ち」
「そしてですね」
「はい、合衆国市民として生きます」
「そうなってからも幸せであって欲しいですね」
グラッドは微笑み、海兵隊では誰にも見せない顔で述べた。
「是非」
「その通りですね」
「私はやがて海兵隊を除隊しますが」
「それからはどうされますか」
「私も牧師になりたいです」
是非にというのだった。
「そしてです」
「あの子達をですか」
「導けたらと思っています、友人達を」
友人として、というのだ。
「合衆国市民として迷っている時は」
「そうされたいのですか」
「一度友人となれば永遠に友人ですから、最後の審判の時まで」
こうも言うのだった。
「ですから」
「そうですか、それでは」
「はい、お願いします」
そうしたことを話してだ、そしてだった。
グラッドはピエロになりサンタにもなり共に遊び続けた、そうしたことを続けながらだった。海兵隊を除隊した後は牧師として孤児院を出て大人になった友人達と共にいた。そして彼等を友人として導くのだった。
ともだち 完
2015・4・18
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