ケスケミトル
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第六章
娘の両親、打ち合わせの時は急用で来られなかった二人にもだった。
いいと言われた、その後も打ち合わせをしたがだ。
そのデザインでいいとなった、仕事は無事に終わった。それでだった。
イーコは自宅でだ、ニキータに笑顔で言った。
「今回の仕事はな」
「無事に終わったわね」
「無事に終わっただけじゃなくてな」
それに加えてというのだ。
「いい発見になったよ」
「これまでのスランプがなのね」
「抜け出られたよ」
苦しんでいたそれからというのだ。
「無事にな」
「それはいいことね」
「本当にな。未完成に見えるデザインもな」
「いいのね」
「それに斬新な、な」
ペヨーテを食べて獲られるウィチョール族の伝説を、というのだ。
「それが得られたからな」
「よかったのね」
「本当にな、あとケスケミトルはな」
ウィチョール族のその服はというと。
「プレゼントするよ」
「私になのね」
「着てくれよ、是非」
「そうさせてもらうわ」
ニキータは夫の言葉ににこりと笑って答えた。
「その未完成な模様も見てよね」
「ああ、俺は変われたからな」
「完璧じゃなくてもいいのね」
「そのこともわかったよ、未完成な感じにしておくのもな」
「またいいのね」
「ああ、四角ばらずにな」
そうしたものも入れるといいこともだ、イーコは知ったのだった。それでこんなことも言った。
「インディオの文化もいいな」
「そうね、馬鹿に出来ないわね」
「また行きたいな、あそこに」
「けれど奥さんは私一人よ」
「ははは、わかってるさ」
このことは笑ってやり取りをした、そしてテキーラを一杯飲んでだった。妻にもそのテキーラを勧めるのだった。
ケスケミトル 完
2015・7・26
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