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ケスケミトル

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第五章

 興味を持ってだ、娘にさらに尋ねた。
「あの、若しよければ」
「この服のことをですか」
「もっと教えて下さい、それに」
「それに?」
「どうしてウィチョール族の人がそんなお考えなのかも」
「もっとですね」
「詳しく教えて下さい、仕事の話の前に」
 こう言ったのだった。
「お願いします」
「わかりました、それでは」
 娘もイーコの言葉に頷いてだった、自分達のことを話した。ここでだ。
 イーコ達は娘の話すペヨーテというものについてだ、怪訝な顔で尋ねた。
「サボテンとのことですが」
「それを食べて見たものを、ですか」
「装飾等にしていますか」
「そうなんですか」
「そうです」
 その通りだとだ、娘も答えた。
「それもまた私達独自のもので」
「その服と同じく」
「ケスケミトルと、ですね」
「同じなんですね」
「ウィチョール族独自のものなんですね」
「そうです、ではそうしたものも」
「見せてくれますか」 
 是非にとだ、イーコは娘に頼み込んだ。
「その装飾品も、あとケスケミトルも」
「この服も」
「売っているお店を紹介して下さい」
 身を乗り出してだ、娘に頼み込んだ。娘も彼の申し出を微笑んで受けた。そうして実際にそのウィチョール族の装飾を見てケスケミトルも買った、全員でペヨーテを食べて幻覚作用で見えるものも見た。そうしてからだった。
 仕事の話をした、そこで出たものは。
 彼がこれまで考えたデザインとは一線を画していた、それでだった。 
 イーコ自身だ、驚を隠せない顔で言った。
「いや、これは」
「意外ですね」
「思いも寄らないことになりましたね」
「凄いことになりましたね」
「本当に」
「全くだな」
 完成されたそのインテリアデザインを見つつだ、彼はスタッフ達に言った。
「ウィチョール族の文化の影響がな」
「出て」
「所長のこれまでのデザインとですね」
「全然違いますね」
「それこそ」
「そうだな、それでなんですが」
 彼は娘にあらためて問うた。
「こうしたのでいいですか?」
「インテリアデザインですね」
「これでいいでしょうか」
「はい、父と母にも見せてみますが」
「貴女としてはですね」
「非常にいいデザインなので」
 彼女から見てだ。
「これでお願いします」
「わかりました、では」
「はい、これで」
 イーコも微笑んで応えた、そしてだった。  
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