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詩集「棘」

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陽炎の日々



縁なんていつかは薄れ
時が刃となって切れるもの…
この現し世に信じられるもの
どれ程あると言うのでしょう?

雨雲を透した淡い陽射し
待つことに慣れる侘しさは
言い表すことなど出来ず…

儚き夢はいずれ
優しさへと昇華され
心にそぼ降ることでしょう…

陽炎の日々 気紛れに
愛しい影を創り出す
手の届かない幻を
見せては胸を焦がさせた…


定めなぞありようもなく
ただ諦めるための言い訳で
摩耗してゆく意識の只中
棄ても出来ずに抱くでしょう?

通り抜けた風は樹々を揺らし
休む木陰をざわめかせ
憩う間もなく追い立てる…

哀しき願い いつか
叶わずに流れ逝きて
瞳から落ちることでしょう…

陽炎の日々 過ぎ去りて
触れることさえ儘ならず
恋しく想い祈りしも
遠く翳りて涙する…

陽炎の日々 気紛れに
愛しい影を創り出す
手の届かない幻を
見せては胸を焦がさせた…



 
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