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戦国異伝

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第二百十六話 慶次と闇その八

「その様に」
「そうでござるか」
「はい、ではそれがしはこれで」
 ここまで話してだ、果心居士は。
 慶次に頭を下げてだ、弟子である飛騨者達にも笑って言った。
「またな」
「いや、ここでお会い出来るとは」
「お師匠に」
「思いも寄らなかったので」
「何というか」
「ほっほっほ、忍とは何か」
 ここでこうも言う果心居士だった。
「いつも言っておったな」
「風の様に隠れ風の様に出て来る」
「それがですな」
「忍ですな」
「そうですな」
「そうじゃ」
 まさにそうだというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「今もうこうしてですか」
「我等の前に出て来た」
「左様ですな」
「そうでもある、そして御主達に久し振りに会ったが」 
 こうも言うのだった。
「元気そうじゃな」
「はい、この通り」
「我等皆無事でござる」
「こうして織田家に仕え頑張っておりまする」
「禄も貰っております」
「そうじゃな、それは何よりじゃ」
 果心居士も笑って応える。
「御主達がすくすくとしておるならな」
「ですか、では」
「それではこれからも」
「我等も励み」
「そして織田家で仕えていきます」
「そうしてくれれば何よりじゃ。織田殿は天下を変えられる方」 
 それが信長だというのだ。
「まさにな」
「上様はですか」
「そうした方ですか」
「この天下をですか」
「変えられる方ですか」
「根本からな」
 ただ変えるだけではなくというのだ。
「そうされる方じゃ」
「そこまでの方と」
「師匠は言うんだね」
「ではわし等は」
「その上様を」
「御主達なら出来る」
 弟子達を信じる言葉だった、それも心から。
「織田殿に何があろうともな」
「お守り出来る」
「我等なら」
「そしてそれが天下を救うことになる」
 ひいては、というのだ。
「期待しておるぞ」
「わかったぜ、って言いたいけれどな」 
 煉獄がここで果心居士に対して言った。
「師匠、上様がそこまで大事な方ならな」
「御主達にというのか」
「わし等なら出来るっていうけれどな」
「実力のことは案ずるな」
 飛騨者達のそれはというのだ。
「御主達は確かにあるわ」
「そうか」
「うむ、御主達もおれば毛利殿、服部殿にそちらの慶次殿もおられ」
 慶次も見て言うのだった。 
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