魔法科高校の有能な劣等生
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その魔法は・・・誰の為?
前書き
前回の続きです!
感想が聞きたいのでコメント下さい!
無月 零の魔法は『振動』『ベクトル』『記憶』の三原則。
重力変換は『振動』『ベクトル』二種類の魔法を応用する事で、重力を変換する魔法。
魔法相殺は魔法式・起動式に含まれる微弱な粒子を無月家特有の『サイオン』で破壊する魔法だ。
魔法を破壊する。魔法を発動する前に無力化する。
特殊系統魔法師『無月家』
その存在は『魔法師』を愚弄する存在。
魔法は『兵器』その兵器を『無月家』は指一本で『無力化』する。
「助ける―――必ず、助ける。
だから―――待っててくれ」
無限の軍兵。
駆逐する、駆逐する、駆逐する、駆逐する、駆逐する。
『記憶』を消失する前の『無月 零』は一掃するのだ。
瞬時の魔法相殺。
瞬時の重力変換魔法『グラビティ』
奴等を一掃する。
奴等を一掃する。
奴等を一掃する。
奴等を一掃する。
奴等を一掃する。
「―――殺す」
邪魔する奴等を、妨害する奴等を。
「―――全員・・・殺す」
無敵の魔法師『無月 零』は『ZERO』の発動を繰り返す。
記憶の崩壊は悪化する。ジジの与えた『ZERO』その発動代償は脳内数式演算補助装置『記憶』だ。
とある少女を護る。記憶は消えた、記憶の数式は解読不能な程にバラバラになった。
でも、それでも。
「――――俺が―――護る」
不確かな記憶・・・嘘の記憶・・・曖昧な記憶。
過去の記憶は全部消えた。自分の存在が消えた。全て失った少年は霞む視界に映った物全部を破壊する。
『the,zero.onend,fate』
俺の為に―――俺達の為に―――ありがとう。
「誰、だ」
次の、お前に―――託す。
俺の『魔法』を『可能性』を『未来』を。
「お前、は――――」
さぁ、君の運命だ。
君の『人生』だ。
「『ZERO』」
少年の泣いた笑顔・・・何故、泣いてるんだ?
光の粒が、少年を覆い。存在を隠す。
君は、僕だ。
僕は―――君だ、無月 『零』
その言葉と同時に少年は―――消えた。
言葉の意味を理解できず困惑する『二人目』は『original』の残した言葉を意味を考え、一歩前に進んだ。
二歩―――三歩―――四歩―――五歩。
『original』の残骸を、少年は掴み。触れると同時に消失する。
「俺は、お前だ・・・お前は、俺だ」
自然と零れる雫を抑えられない。
『二人目』は、その場で立ち止まった。
少年の残した涙は雫は誰の為に流れた・・・その涙は誰の為に、その涙は守るべき者達に。
『二人目』が残された理由を『無月 零』は理解する。
理解を終え、無月 零は立ち上がる。
『original』の為に『罪』の為に『約束』を果たす為に。
「theend,final」
脳内空間は消えた。
瞳を開ければ謎の大軍。
数える事を忘れる程の大群は一斉に攻撃を開始した。
爆炎
火炎
氷結
吹雪
雷
疾風
暴風
爆音
光
基本的な魔法の基準だ。
それらを組み合わせる事で、新たな魔法を創世する。
カの者は『無』カの者は『零』カの者は『善』
魔法の意味を―――『ZERO』は知った。魔法の価値を―――『零』は知った。
些細な事だ、一人の少年の人生は波乱そのもの。
その少年は『無自覚』『無計画』
『original』無月 零は繊細な少年。
『fast』無月 零は無知な少年。
『second』無月 零は傲慢な少年。
『third』無月 零は、無数の無月を合わせた『ZERO』
記憶改変は少年の記憶を書換えた。
その度に、無月 零の人格は増えた。
『theend』は無月 零の記憶を削除。増える度に無月 零は消失する。
何度も、何度も、無月 零は現れた。
望まれた無月 零。
望まれなかった無月 零。
愛された無月 零。
愛されなかった無月 零。
現実を、自分の存在を認めた『無月 零』
無月 零は『無月 零』を重ねる度に知るのだ。無月 零の存在価値を無月 零の意味を無月 零の正体を無月 零の生涯を。知れば絶望すると解って、彼は『パンドラ』の箱を開けるのだ。
生涯は波乱―――唯一無二の魔法師。
無月 零は生涯名乗るのだ、『ZERO』を憎んだ最後の魔法師は名乗るのだ。
『zero.wizard』無月 零は忘れない、忘れる事を許されない。
あの瞬間を、あの一瞬を、あの刹那を。
無月 零の運命が変わる迄『3747時間54秒』
国立魔法大学付属第一高校。
通称『魔法科高校』の生徒達はバスの車内で、それぞれの時間を満喫していた。
ある生徒は昼寝。
ある生徒は外の風景を眺め。
ある生徒は昼寝。
ある生徒は車酔いに頭を悩まされ、吐くのを堪えている。
そんな状況下、その状況下で、無月 零はとある『生徒会長』に自由な時間を奪われていた。
「無月君って達也君と、どうやって知り合ったの?
何故、選抜戦決勝戦の時に達也君を態と負けたの?
納得する事は出来ても、貴方の敬意を知りたいわ」
「あ、あの〜そのですね」
色々と面倒な女性だ、会話のキャッチボールが成り立たない。
一方的に言葉『ボール』を投げ、無月の言い分を話させないのだ。
無月的に苦手ジャンルと判断するも、その会話は避ける事を許さない。
避ける前に当てる!そのスタイルはドッジボールで最強のスタイルと思われるが、そのスタイルを『生徒会長』
は言葉で実践するのだ。
「―――――生徒会長」
突然、一方的な会話のキャッチボールに割込むバッターの姿が。
「藤宮・・・君?」
「会話が一方的ですよ、無月が困ってます」
藤宮 介―――魔法科高校で唯一『優等生』と『劣等生』の中間的存在だ。
得意魔法は特殊系統魔法『術式改変』
起動式・魔法式の術式を文字通り、改変する事ができる魔法だ。
「あ、ごめんなさい」
「いぇ、まぁ、」
――――対応に、困るんだが。
無月はチラッと藤宮に視線を向ける。
「では、失礼します」
そう言って自分の席に戻っていた。
外の景色を眺め、静かに。
助かった、藤宮のお陰で生徒会長は黙ってくれた。
非常に助かる。外の景色を長め、優雅なひと時を――――
「無月さん、お茶はいかがですか?」
司波 達也の妹 司馬 美雪の攻撃。
生徒会長に比べれば攻撃力は低いので、ゆっくりと対処しよう。
「頂こうかな」
ニコッと笑って紙コップにお茶を注ぎ。
「はい、どうぞ」
と言って手渡してくる。
「ありがとう」
お茶が注がれた紙コップを受け取り、一口飲む。
良い感じに冷えていてクールダウン。精神的に疲れてたので、凄く美味く感じる。
「・・・無月さん」
「なに?」
「お聞きしたい事が有りまして、良いですか?」
「ああ、良いよ」
なんだ、改まって?
真剣な表情で、真剣な眼差しで、一体何を聞きたいんだ?
「無月さんは最近、変わった事が有りませんでしたか?」
「何も、無いよ。
最近、その質問は聞き飽きた」
「例え、ば」
「・・・?」
「例え、ば―――心境の変化、とか」
聞き飽きたんだよ、その話は。
最近ずっと言われた。人が変わった・別人・偽物・偽者・『本物』聞き飽きたんだよ。
俺は、俺だ。そう言って何度も、その質問を断った。でも、断っても断っても、俺は質問される。
「俺は、俺だ」
キッパリと言って会話を終わらせた。
その瞬間、異変が起きた。
爆発音―――生徒達は爆発音の方向に目を向ける。
「オイ!アレ!」
一人の生徒が悲鳴の混じった声で、窓の外を指指した。
指の先には炎上した車。
車の中の運転手は――――死んでるな。しかもこのままだと衝突する!?
バス内はパニック状態。
悲鳴が響き渡る。
が、今の無月 零には『丁度』良いタイミングだった。
絶賛炎上スリップ中の車に手を向け、魔法を発動する。
CADの演算処理に頼らず、自らの義力のみで魔法を発動したのだ。別にCADを使わずとも魔法の発動は可能だ。
だが、発動時間が掛かる。CADの演算処理を使えば数秒・CADに頼らずに魔法を発動する場合数十秒の差が有るのだ。その差を無視、無月は頭の中に車の座標軸とバスの位置を計算・・・魔法式を展開する。
「喰らえ、カス」
魔法は炎上スリップ中の車の上に魔法式を展開させ地面に埋め込ませた。
同時に炎は消え、車の残骸だけが残った。無月の気遣い、可能性に掛けたのだ。
もしかしたら、もしかしたら、車の運転手は生きているかも・・・絶望的な可能性に無月は掛けた。地面に車は埋め込んでいるが、人一人分が生きるスペースは計算済み。生存確率は多少、上がったよな?
「だ、誰の魔法だ?」
また一人が騒ぎを呼ぶ。
騒ぎに値しない程の騒ぎ、生徒同士で「さっきの魔法は誰が?」と言い、先程の魔法発動者を探す。
無月は狸寝入り、場が収まるまで目を閉じるのであった。
「僕は――――強く、ないから」
『魔法改変』
魔法の起動式・魔法式の組み換・魔法式の構築の源を組み替える魔法。
破壊力は皆無。
防御力は皆無。
現代の魔法に比べれば特化する点も、特質する点も見当たらない。
攻撃力は必要皆無。
突破力は必要皆無。
無残な魔法だ、無惨な魔法だ。
藤宮 介は、そんな魔法を憎んだ。
『魔法改変』は魔法を改変する魔法。
とある少年の記憶は魔法式と融合する事で、生命を保たれている。
藤宮 介は、そんな『とある』少年の記憶を三度消去した。繰り返された因縁を建前で、少年を殺したのだ。
使用方法で、どんな魔法も最高クラスに引き上げる魔法。
そんな魔法で、少年の記憶を改変した。
攻撃力は皆無。
防御力は皆無。
突破力は皆無。
破壊力は皆無。
藤宮 介は知っている。
『魔法改変』は最強の魔法だと、唯我独尊の魔法だと、そして友人殺しの魔法だと。
彼に、敗北は許されず―――彼に勝利は許されない。
相対する相応を許されぬ事を知って、少年は魔法の存在を肯定するのだ。自分の魔法の存在価値を自分の意義を運命に抗って抵抗を重ね。その罪を認め、その罪を浄化する。役目を終えれば少年に価値を与えた『零』は消え、別の『零』を生成するのが、彼の役目だった。
「魔法式―――改変」
対象の魔法式を改変。簡単に説明すると魔法の効果を書き換えた・・・要するにチート魔法だ。
本来の発動効果を上書き、書き換える事で、魔法自体の効果を変えるのだ。
例えば、爆発系統魔法の魔法式に組込まれた『酸素』『炎』『爆発に必要な要素』それらを改変する。
魔法に必要な要素を一つでも書換えれば魔法は現象を失う。魔法式に組込まれたアルファベット記号2万文字の一つを別の数字・アルファベットに変えるのだけで魔法は無力化されるのだ。
藤宮 介にとって魔法は『現象』に過ぎない。
己の好きな様に創り換える事のできるただのゲームだ。
「お疲れサンマ〜」
憎たらしい笑顔が特徴的な少年 無月 影は言った。
「そっちは、終わったか?」
「先に労いの言葉を言えよ、俺がミスる訳ねぇじゃん」
って事は終わった様だ。
無月 零の魔法『シャドウ・ダウト』が有れば不可能は可能に変わるが、まぁ、無茶苦茶な魔法だ。
術者を構成する物質を変換する魔法師。
自身を構成する物質を変換する魔法?
疑問の一言で説明を受けねば魔法の効力さえ、不明な魔法『シャドウ・ダウト』
無月家特有の『粒子転換』を応用する魔法式を常時発動する事で、状況変化を把握する魔法と状況変化に適応する魔法をマルチキャストする。同時発動・同時展開で、別の魔法を発動後『魔法』の発動を更に繰り返す。
すると無月 影のみに起こる現象が起動する。
『シャドウ・ダウト』別名『影喰』
現在の科学力では解析不能な魔法、違うな。
将来『解明』されない魔法だ。影を構成する物質を解明する事が出来れば、まぁ、無月 影の魔法を解読する事も応用する事も魔法式化する事も可能だと思われるが、不可能を可能にするのは不可能のみ。
原理的に可能・・・物理的に不可能な魔法。
藤宮 介が『最強』の魔法師なら。
無月 零は『無敵』の魔法師だ。
決定的な違いも、存在価値も、曖昧な思想も、彼等の抱える悩みに比べれば容易い事だ。
彼等が、その気に成れば世界で勃発する世界を終わらせる事も可能だ。
さて、最後の『完璧』は―――だ〜れか〜な〜?
「あ、忘れてた」
影は、そう言って巨大な鞄を藤宮に投げ捨てた。
ガタガタ・コトコトと投げられた最中も、その鞄は揺れていた―――奇妙な鞄だと適当に思いつつ藤宮は避けた。
「お、オイ!その鞄の中身は!?」
「キャァアアァアァアアァアアァアアアァア!!」
女の子の悲鳴!? 鞄が地面に着地する2秒前。
鞄が空中で開けられた。勝手に空いたのだ。その中身、その物体は?
「お、女の子!?」
「バッか野郎!! 話を最後まで聞かないならだ!」
「え、あ、うん。
スマン・・・じゃねぇよ!
なんで、鞄の中身が女の子なんだよ!」
「それを説明する前にお前が避けたんだろうが!」
「ハッアアア?
馬鹿か!普通、急に鞄を投げれたら避けるだろ!」
当分乱闘が続いた。
鞄の中身の少女は、その乱闘をその喧嘩を見て思った。
「仲・・・良いんですね」
勿論、少女の声は届かない。
目の前の喧嘩は激しく、慌ただしい。
でも、その二人は仲良しに見えた。
不思議と・・・懐かしく・・・不思議と羨ましい程に。
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