僕のサーヴァントは魔力が「EX」です。
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子供のサーヴァント
「はぁ……。まさかあんなサーヴァントまで参加しているなんてな……」
屋上から場所を移してアリーナを歩きながら僕は思わず呟いた。
あんなサーヴァント、というのは言うまでもなく屋上で出会ったあの金色のサーヴァント、ギルガメッシュのことである。
幸いギルガメッシュとそのマスターである岸波白野は僕達の二回戦の対戦相手ではないが、それでも月の聖杯戦争での強力なライバルであることには違いがない。ただでさえ中途半端な霊子ハッカーの僕とピーキーな性能のアヴェンジャーでは聖杯戦争で勝ち残れる確率が低いのに、それが更に大きく下がった気分だ。
「僕達と戦う前にどこかの強いサーヴァント……、例えば剣からビームを放つ宝具を使う女騎士のサーヴァントとでも戦って、負けるか消耗するかしてくれないかな……」
「何、微妙に具体的でメタな事を言ってるの? そんなことよりマスター、あったよ」
僕が愚痴を言っていると前を歩いていたアヴェンジャーが目の前にあるアイテムフォルダを指差した。
「ん? ああ、そうか。……これか」
アイテムフォルダを開封して中身のデータを形にすると学校の教師が持つ出席簿となった。うん。これで間違いない。
「それにしてもあの藤村って先生、どうしてこんなアリーナで出席簿なんて落としたんだろ?」
出席簿を見ながらアヴェンジャーが首を傾げる。
今から少し前、屋上を後にして学校の一階の廊下を歩いていた僕達は「藤村大河」という名前の女性教諭NPCに呼び止められ、アリーナに忘れてきたというこの出席簿を探してほしいと頼まれていたのだった。
出席簿を見つけたらマイルームのインテリアに使えそうな物をくれるって言うし、元々アリーナで戦闘訓練をする予定だったので僕達は藤村先生の出席簿を探していたのだ。
「分からない。まあ、目的の物は見つかったんだし今日のところはここで帰……」
「あら? そこにいるのは平和さんですか?」
帰ろう、と言おうとした矢先に聞き覚えのある声に呼び止められた。声がした方を見ると曲がり角から喪服のような黒い服を着た一人の女性、僕達の二回戦の対戦相手であるフローラが姿を現した。
「こんにちわ、平和さん。『坊や』を遊ばせに来てみたら貴方と会えるなんて奇遇ですね?」
頬に手を当てて上品に微笑むフローラ。初めて会った時も思ったが、その姿はやはり普通の主婦のようでこのSE.RA.PH、聖杯戦争の戦場からはひどく場違いに見えた。
「……坊や?」
「ええ、そうです。坊や、出てきなさい。このお兄さんとお姉さんにご挨拶しなさい」
アヴェンジャーが呟くとそれに反応したフローラが上品に虚空に呼び掛ける。するとフローラの隣に小さな男の子が現れた。
「……」
フローラに呼ばれて現れ、無言でこちらを見てくる男の子。年齢は五歳か六歳くらいだろうか? 幼いながらも気品が感じられる顔立ちで、頭には烏帽子を被って昔の武士……というより公家が着ていそうな着物を着ており、その両手は布に包まれたなにか細長い物を抱えていた。
この子供がフローラのサーヴァントなのか?
「平和さん。そして平和さんのサーヴァントさん。この子が私の坊や。私の『息子』です。どうか仲良くしてくださいね?」
フローラはにこやかに笑いながらそんなことを言ってきたが……息子? サーヴァントが自分の子供ってどういうことだ?
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