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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
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第二十三話 戦闘と異能の解放

キメラと呼べる代物を前にフェイトとアリシアは呆然自失な状態になってしまっている。

このままでは、二人が危ないと全は腰を低く構え迫ってくるキメラの右腕をシンで受け止める。

「グオォォォォォォォ!!!!!」

「っ!?しまっ!?」

しかし、キメラはそれでは止まらず左腕で全を押しのけてフェイト達に迫る。

「私……私は……」

「違う……違う……!」

「フェイト、アリシア!しっかりして!」

フェイトとアリシアは俯いたまま動こうとせずるいはフェイトとアリシアの前に立ってキメラからフェイトとアリシアを守る。

「るい!待ってろ、すぐに……!」

と、全はるいの援護に向かおうとした瞬間、男の立っていた場所に写真を見つける。

「……?」

全は疑問に思ったが、今はるいを助けるのが先決だった為シンを握り締めてキメラの元へと駆ける。

「るいっ!」

「全っ!?」

「伏せろっ!」

暗殺妙技─────―閃軌

閃軌で一気にキメラの首元まで肉薄した全はそのままの勢いでシンを振るう。

「キアアァァァァァァァァァァ!!!!」

「なにっ!?」

しかし、寸前でキメラは首を動かして刃を避けた。

全はそのままの勢いでるい達の傍に着地する。

これぞ閃軌の真骨頂。攻撃した後というのは誰でも油断してしまう。それは戦いの達人でも変わりはしない。それが必中の技ならば尚更だ。

そこで全は考えた。ならば攻撃と同時に距離を取ればいい、と。

こうした事も考えて作られた暗殺妙技が閃軌なのだ。攻撃と同時に距離をとり、態勢を瞬時に立て直す。

今回はそれも功をそうしてか、キメラは不用意には近づかなくなった。

「るい、二人を守ってろ。ちょっと……無茶するから」

全はそう言うと、キメラへと向かっていく。

不意打ちをしても避けられるのなら真正面から戦うしかないと判断したのだろう。

るいはそんな全を心配そうな目で見つめる。

「全、無事でいてね……フェイト、アリシア、とにかく避難しよう?」

るいはフェイトとアリシアを無理やり立たせて、部屋の隅までやってくる。

「っ!あれ、は……」

フェイトはカプセルの中に入っている人を見る。

よく見ると何人かは同じ顔をしていたからだ。

「もしかして……ここにいる人全員、プロジェクトFで?」

フェイトがそこまで言うと

「っ、違う!お母さんはこんな事しない!」

アリシアは頭を抱えたままそう叫ぶ。

「アリシア……」

(やっぱり、お母さんの事を……)

その頃……全はキメラと戦っていた。

といっても、シンを振るってもキメラには当たらずキメラの攻撃は全の異常な聴覚や触角などによって避けられる。

どちらにもあと一歩が足りなかった。

「くそ……!」

(どうする……このままでは事態は好転しない……それどころか、あの男を逃がす事に……!?)

と、考え事をする全の目にありえない物が見えた。

()、である。

「なんだ……?」

すると、全は周囲の異変に気づいた。

至るところに色が見えるのである。しかも、それぞれ少しずつではあるが違う色だ。

そして、その色がある場所には……カプセルの中に入っている子供だった。

「なんだ、これは……?」

全は気づいてはいないがこの時、全はある能力を発現、使用していた。

それは、「人の記憶を色という形で視認する」という「花の野に咲くうたかたの」という作品の主人公、新堂道隆の異能である。

この能力により、全はその人物が持っている記憶を色という形で視認しているのだ。

そして、全はキメラを見る。

「うっ……!」

全は見た事を後悔してしまった。なぜならば、真っ黒だったからである。

一つの体にいくつもの記憶を持っているような存在であるキメラは、色々な色が混ざり合った黒色だったのだ。

そのような物を見てしまえば、誰だって気持ち悪くなるだろう。

「あんな物になってしまったのか……だったら、せめて苦しまないように……」

そして、全は色の多さに気持ち悪さを感じながらも奇妙な部分を見つけた。

薄く見える色があるのである。

そしてその時に今発動している能力の説明と応用の仕方が全の頭の中に流れ込んできた。

「なるほど……つまり、あの薄い色は誰かが触れて時間が経ったという事か……この研究所内にあいつ以外はいるとは思えないから、あいつの色か……」

全は縮地を使ってその色がある場所……脊髄の部分を見る。

そこには六角形の小さな機械が埋め込まれていた。中心が何かを受信しているのか赤色に点滅している。

「なるほど、そういう事か!」

「グアッ!!?ヴァァァァァァァ!!!!」

後ろにいる事に気づいたのかキメラが腕を振るってくる。が、既にそこに全の姿はなく、

「これで、終わりだ!」

全の姿は天井にあった。

暗殺妙技――――――星崩し

星崩しによって、起動していた機械がキメラの体から剥ぎ落とされその機能を停止させた。

「ヴァ……ヴァァァァァァ…………」

キメラは苦しみながらその体を溶けさせていく。

恐らくは、信号を受信しなくなった瞬間にその体を維持出来なくなってしまうのだろう。

「ヴァァァァ……………………」

溶けていくキメラの体。

「済まない……」

全はただ、それだけ言ってシンを鞘に収める。と、その時

「……………………」

「……っ!」

全はキメラの口が動いたのを見た、そしてそのその口の動きから何を言いたいのかを読唇術で読み取り涙が出そうになった。

キメラは最後にこう言ったのだ。

「ありがとう」と。

何でありがとうなのかは全にはわからない。それでも信じたかった。最後の最後で彼は人間に戻れたのだと。

「っと、そうだ……」

全は男のいた場所に走って向かい、その場に落ちていた写真を手に取る。

そして、その写真を見た瞬間に、全の顔に緊張が走った。

「っ、これって……」

全はその写真を持ったまま、るい達のいる場所に向かう。

フェイトとアリシアは未だに俯いたままだった。

「全、さっきの奴は」

「大丈夫だ、もう。な……お前達、どうする?」

「「…………」」

答えない事は分かりきっていたので全は無視して話しかける。

「俺はあいつを追いかける。お前達はどうする……この研究所が、なぜ設立されたのか知りたくはないか?」

「?全、どういう事?」

「これだ」

全は写真をるいに見せる。

「……えっ?これって……アリシア?」

「……え?」

この時、初めてアリシアが反応し立ち上がる。

そしてフェイトもよろよろとしたままではあるが、立ち上がりアリシアと一緒に写真を見る。

そこにいたのは、妙齢の女性と男性。そしてそんな二人に挟まれる形で微笑む二人の女の子。

そこには女の子を含めて笑顔があった。

「この男の人……さっきの人?」

「暗くて分からなかったけど、多分な。そしてここは多分だけど……プロジェクトFの為に設立された場所だ。この女の人……お前達の母親だろう?」

「そう、だけど……」

「あの男はお前達の母親の知人だ。そんな人がどうしてこんな事をしているのか……知りたくはないか?」

全は選択を迫る。このまま帰り、真実を知らぬままでいるか、それとも追いかけて真実を知るかを。

「ちょっと、全……」

るいが止めようとするが

「……行く」

アリシアが小さくだがそう言った。

「アリシア?大丈夫なの、キツイ真実が待ってるかもしれないんだよ?」

「お母さんの知っている人が、何でこんな事をしてるのか、知りたいもん……」

「私も……」

「フェイトまで……」

「いいのか?お前にとっては残酷な現実を知る事になるかもしれないぞ?」

「知りたい、の……」

「……わかった。ついてこい」

そう言って全は歩き出す。フェイト達もそれについて行く。

「ああ、もう!私も行くわよ!」

そう叫んでるいも全達に追いつこうと走って向かった。 
 

 
後書き
能力追加しときます。 
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