魔法科高校の有能な劣等生
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番外編 とあるウィードの調査官
表裏一体
前書き
今回から番外編です! 主人公も番外編主人公です!
あれ? 会話全然ないような?
ま、まぁ、気にしない(笑)気にしない(笑)
読みにくいと思いますが、ご了承下さい!
感想が聞きたいのでコメント下さい!
『無月 零』観察レポート3
以前、『無月 零』観察レポート1と同様変化は見られない。
変化する前の変化に比べれば別人・・・偽物に見える。言動の変化、口調の変化は決定的な変化と言えるが完全に別人と証明する事を目的とする私から見れば駄目だ。無月 零の同行を探っても、彼の生活は変化する事は無かった。『口調』『言動』が変わっても、生活が変わる事が無かったのだ。
生活週間は変わった。でも、無月 零の生活は変わらない。
最初の変化は私を魅了する程の変化・・・今現在は特に目立った変化は見られず、時間の浪費と考える。
なので、『無月 零』観察レポートnumber4を最後に無月 零の調査を終えたいと思う。
最後の監視だ、無月 零―――貴様を見定めるぞ。
とある小柄な少女は、『問題児』を監視する。
約1km離れた『問題児』を大きな瞳でマジマジと監視対象を監視するが、少女が望んだ結果は訪れる気配は感じられず、無駄な時間の浪費と考え始めた。
小柄な少女の名前は傘彌 麻花奈。魔法科高校一年生『ウィード』だ。
問題児を監視する雑用―――重大な任務を任された『ウィード』なのだ。
任務対象『無月 零』
魔法科高校一年生『ウィード』二科生・・・の筈だ。
監視対象の少年は二科生の立場で、九校戦に参加する権限を得た。一科生の生徒でも、優秀で一部の生徒のみ参加を許される九校戦出場メンバーに選べれたのだ。
特殊系統魔法『ベクトル変換』『重力変化&重力変換』を得意とする劣等生。
出場メンバーに選ばれる程の実力者・・・劣等生に見合わない実力者は何故、『劣等生』として魔法科高校に入学したのか?
疑問は膨らむ・・・その疑問の終着点を結論を出すのが、麻花奈の任務だ。
任務―――大袈裟な言葉で、自分を過剰評価するが。
実は部活の先輩に強制的に命令された事で、麻花奈自身、本当は結構どうでもいい。
が、魔法科目新聞部の存続が掛かった重要なスクープ! 無理矢理やる気スイッチをオン!
魔法科高校新聞部。
新聞―――現在では死語。
そもそも新聞を知ってる人間が現在の地球上に残ってれば良いね♪ 程度で、魔法科高校に新聞部が存在する事自体疑問に思っている。その新聞部は今、最大のピンチが迫っている。
そのピンチとは『廃部』魔法科高校新聞は二週間後に廃部が決定しているのだ。
廃部理由は至ってシンプル。部活の活動内容&部員の減少&変人集団・・・まぁ、妥当な結論だ。
逆に今迄、何故、廃部にならなかったのか? 新聞部の麻花奈ですら、不思議に思っている。
新聞部部員は抗った。廃部反対! 廃部反対! と何度も、何度も、生徒会と交渉・・・結果、三週間以内に魔法科高校生徒をアット言わせるスクープをゲットする事が出来れば廃部を取り消しましょう『生徒会長の言葉』
最後のニッコリ笑顔は人を怒らせる才能の持ち主で、と言いたくなる程の破壊力。
それでも新聞部は、その勝負に乗った。三週間以内に、正確に言えば二週間以内に魔法科高校全生徒をオォォォォ!と言わせるネタをゲットすれば新聞部の勝利。逆に二週間以内に特大スクープをゲット出来なければ生徒会の勝利、新聞部の敗北だ。
「はぁ〜なんで・・・私が、」
実際どうでもいい事をすると疲れる、毎日毎日『無月 零』を監視する事を誰が、好き好んで・・・。
麻花奈の視界に、別の『黒』
『千里眼』傘繭の家系が唯一発症する『病気』の一種だ。
分類的に『魔法』と『病気』の中間的な存在で、視界に映った人間のサイオンを色で識別する事が可能なのだ。サイオンは魔法師が感覚的に、直感的に見える特別な物。色で判断するのは不可能だ。
それを可能にするのが『傘繭』の眼。
「誰? あの『黒』色?」
1km離れた地点で、無月そっくりな『色』を発見した。
『黒色』のサイオンが身体の隅々まで流れている。身体に張り巡らされている波動も『黒』色。
無月の親戚? そう考えるのが妥当だ。
だが、『黒』色は無月を尾行する様に接近している。建物の物陰に隠れても、麻花奈の眼は誤魔化せない。全てを見通す、魔眼『千里眼』で『黒』色の同行を探るが・・・無月 零を尾行している様だ。
兄弟? 親戚? 『黒』の正体は不明だ。
麻花奈は更に『千里眼』の倍率を上げる。
サイオンのレンズ。サイオンの眼鏡とも言える『千里眼』は把握能力に優れている。千里眼はサイオンの濃度を操作する事で、効果を変える未知の『魔法』
網膜のサイオン濃度を濃くすれば視力が倍増。網膜のサイオン濃度を下げれば『物質』を『色』で把握する事が可能だ。普通の一般人の色は『無』魔法師は『白&青』
無月 零は人生初めての『黒』サイオンを色で判断する麻花奈から見れば不可解極まりない。
多分、国立魔法大学付属第一高校の生徒は感覚の『目』で無月 零のサイオンは黒色と知っている。魔法師は感覚でサイオンが見えるので、その点は問題ない。問題なのは無月 零の『波動』が見えている特別な魔法師達だ。
無月 零のサイオンは黒色。
元々『イレギュラー』的な存在の無月 零だ、別にサイオンの色が黒でも青でも、誰も構わない。
だが、『体内』の波動は別だ。
波動が見える側も見える側で『イレギュラー』
魔法師の中でも、特殊な人材と言える。
が、無月 零は―――それを上回る『イレギュラー』問題児のレベルを超えたイレギュラーだ。
「特大・・・超特大のビックスクープ!!」
自然と麻花奈のテンションは上がった。
謎の二科生 無月 零。
謎を秘めた謎が、麻花奈の探求心を擽る。手元のタブレットPCに無月 零の調査報告を纏めあげ、次の予測ポイントに走る。下校途中のルートは大方、調べ上げた。友達と一緒に帰った後、スーパに寄って買物。
その後、適当に時間を潰して夕食。監視生活で解った意外な事実・・・無月 零は料理が出来る。特売セールを狙って色んなスーパに出向き、目的の食材を確保する無月 零の生活を一週間見続けた麻花奈の一言。
「主婦ですか!!」
生徒の半数はオォォォォオオオオオォォと驚きそうなネタだ。
一応、観察レポートに記録しているが、誰得情報?
現在、無月 零は友人達と帰宅中。
すると最近営業を開始したショッピングモールに入っていった。
不規則な行動・・・予想の範囲内だ。
麻花奈はショッピングモールから約300m離れた喫茶店に入店。珈琲を注文後、無月 零の監視を続行する。
珈琲を一口含み、千里眼の倍率を下げる。
千里眼の倍率を上げた状態を続けると目に疲れが溜まる。長時間の発動は抑え、適度に休憩を挟みつつ監視を続け、休憩を終えると千里眼の倍率を上げ、無月 零を監視する。
監視対象『無月 零』の行動パターンは至って『普通』だ。
一般の男子高校生と変わらない。普通の生活を送っていた。友達とショッピングを楽しむ無月 零の姿は『普通』で目立った行動は見当たらない。常識外れの問題児『無月 零』の姿は見当たらない。
無月 零の姿でも、問題児『無月 零』は見当たらないのだ。問題児は問題を起こしてこそ問題児、今の無月 零を問題児と見るのは違和感を感じる以前に『優等生』に見える。『劣等生』が『優等生』に見える・・・矛盾だ。
監視ポイント『違和感』
その違和感の正体を突き止めるのも、麻花奈の役目だ。
依然、『黒』色は無月 零を尾行している。無月 零と重なる『黒』は一定の距離を置いて、地道に無月 零を監視している様で、正体を掴める程の行動はせず。
無月 零を監視すれば自然と『黒』の正体を掴めるかも?
最重要監視対象は無月 零だ。
が、無月を尾行する『黒』の正体・・・何者なのか?
一応、無月 零観察レポートに『黒』の項目欄を作る。『黒』色の観察レポートnumber1で保存。保存先を観察レポートと共同、無月&黒調査報告書が完成した。
ショッピングモール内をグルグルと回っている無月達は服屋で服を見ていた。
今年の流行ファッションを調べる無月達、その後方で監視を続ける『黒』
その更に無月 零を『黒』を監視する麻花奈。タブレットPCの無月&黒調査報告書に次々と詳細を打ち込む。無月の行動を記録する、無月 零の行動を全て記録する。どうでもいい事も、無月 零に関する事ならば全部記録する。
「ふぅ〜〜〜〜」
流石に一週間も、無月 零を監視するのは疲れる。
適度に休憩を取っても、ずっと監視するのは骨が折れる。
千里眼は網膜内のサイオンをレンズの様に眼鏡の様に使って発動する魔法だ。『病気』と『魔法』の中間的な存在は手間が掛かるし、負担も掛かるが―――誰かの為に成るのは嬉しい。
麻花奈は新聞部の事は実際どうでもいいと思っている。
でも、新聞部部員として。困った人を私の魔法で、救えるのなら。
そう考えると余計にやる気が出る。結果的に無月 零の情報が晒されるが、麻花奈自身も『問題児』の変化に興味が有るので、熱心に監視を取り組む。
新聞部は一週間に一度。校内に『魔法科高校新聞』を掲示板に貼っている。
魔法科高校の七不思議や、事件。活動行事や部員募集等を記した新聞。ネットで見ればよくね? と結構言われるが無調法曰く「新聞には、新聞の良さがある」と言っている。
残り二週間以内に全校生徒を漠然とさせるネタ・・・そのネタこそ『問題児』の変化だ。
全校生徒が知っている『問題児』無月 零。
入学当時、入学式で爆睡。
特別演習室を無断で入室&特別演習室を大破。当分の間、使い物に成らない程に特別演習室は破壊されていた。これがキッカケで無月 零の名前は校内に響き渡った。特別演習室は魔法の演習を想定して造られた特別な演習室だ。その特別な演習室を『劣等生』が壊した。実際の所は『問題児』が壊した、のではなく『破壊』に関わった。『濡れ着』を着せられた等様々で、真実はベールに包まれている。
数えれば様々で、一部のみ。
とある『劣等生』は無月 零を、こう詠んでいる。
『魔法科高校の有能な劣等生』と
「は〜は〜ツ〜はックシュン」
無月の鼻から鼻水が垂れる。
「誰か、俺を噂してるな」
麻花奈は追加でカプチーノを注文した。
長丁場に備え、飲物確保は当然。ケーキ・・・食べたいなぁ。
誘惑が、麻花奈の心を揺さぶる。
チラチラ、チラチラっとメニューに視線が向けられる。
我慢、我慢と数回、心の中で連呼するが誘惑に勝てず・・・
「すいません。
追加で、チーズケーキを下さい」
結局、注文してしまった。
まぁ、一週間頑張ったご褒美に。と考えれば自然と右手にフォークを持っていた。完全に誘惑に負けてるな、と思いつつ麻花奈はチーズケーキに手を付けるのであった。
『黒』色は無月 零を追尾する。
その追尾は『プロ』
無月 零の意識の外を完全に付いて追っている。
何者? と考えても無駄と解っているが・・・『黒』色の正体が知りたい。
無月 零を監視する事を目的とする麻花奈からすればライバル? と勝手に思い込むが案外、それが正解なのかも知れない。
会計を済ませ喫茶店を出る。
時間は夕方の5時。そろそろ予定時刻だ。
麻花奈の推測通りに無月 零は友人達に別れを告げ、小走りで目的地に向かった。麻花奈も、それを追う様に走る。無月 零は推測通りに近所のスーパに入っていた。
この時間はタイムセール。一定以内の商品が半額になる、それを狙って無月は入店したのだろう。
一週間に渡る監視生活で、実を結んだ結果・・・まぁ、微妙だが。監視対象の生活週間を知る事は良い事だ。
タイムセール―――それは修羅場の様な光景。
猛者は猛者を威嚇。狙った商品を逃さず、買物袋に入れて会計に向かう。何度も、見慣れると古典的な光景だと思ってしまうが結構、見てる側は熱中する。
例えると野球をする事は苦手、.或いは嫌い。
でも、見る事は好きだ。その迫力は見てる側の人間を熱中させる程に激しく、熱々しい。
実を言うと、麻花奈もその一人だ。
清々しい程、無月 零はタイムセール対象外商品を次々に次々に買物カゴに入れる。
タイムセールの猛者共を圧倒する動き、パシパシ!と猛者が狙っていた商品を無月は先取り、奪う。
猛者を回避すると同時に手元の財布のチャックを開き、小銭を準備する。
無月 零は計算しているのだ。脳内で、必要な金額を。計算尽くされた行動に麻花奈は魅了された。
会計を済ませ、無月 零はスーパマーケットを後にする。
自宅に真っ直ぐ帰って、夕食の準備。無月 零は普段通りの生活を演じている。
その生活は『問題児』の生活なのか?
その生活は『偽物』の生活なのか?
傘繭 麻花奈は疑問を膨らませ、今日の監視を終えた。
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