転生とらぶる
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マブラヴ
1017話
視線の先にあるのは、この前のオペレーション・ルシファーで攻略したハイヴの1つ、重慶ハイヴ。
中国にあるこのハイヴを攻略したのは、当然中国を保護国としている日本だ。
……まぁ、日本だけではなく、国連軍の方でも幾らか戦力を出したみたいだが、それでも主戦力が日本……帝国軍であるのは変わらない。
まぁ、国連軍は大東亜連合と共にウランバートルハイヴの方に戦力を集中していたしな。
「へぇ、中々に工事が進んでいるな」
「そうでしょう? 帝国軍と斯衛が協力してるからこその光景です。……まぁ、こういう光景が見られるのは現場だけなのですが」
俺の隣で笑みを浮かべていた恭子だったが、次の瞬間には憂鬱そうな溜息を吐く。
現場だけとなると、つまりは上の方……城内省か。
確かにあっちは色々と無駄に気位が高いせいで、帝国軍を見下している節すらあるって話だったな。それを思えば、確かに恭子がこんな表情を浮かべてもしょうがないか。
「まぁ、そっちは五摂家の方で何とかするしかないだろうな。それより、肝心の件はどうなっている?」
周囲に聞こえないように声を潜め、恭子の耳元に囁く。
その瞬間、顔を薄らと赤く染めた恭子だったが、これは別に俺に対してどうこうって訳じゃなくて、単純に男慣れしていないからだろう。
五摂家の人間としては色々と奔放な性格をしている恭子だが、それでも武家のお嬢様である事には変わりない。こうして男をすぐ近くまで寄せ付けた事は殆どない筈だ。
「え、ええ。密かに調査させましたが、恭順派の疑いがある者が数名程います。難民解放戦線の方も同じく」
「……やっぱりか」
アンバール基地を襲撃した際にも、当然だが内部から手引きしている者がいたと予想されている。そうでなければ、幾ら何でもあんなにあっさりと基地の占拠を許す筈がなかった。
それを心配して、ハイヴを有している国の中で最も親密に付き合っている国の日本へと密かに調査するように頼んだんだが……ここまで当たりとはな。
ちなみに、ハイヴを有している国の中で最も親しい国が日本であって、純粋に最も親しい国となると、やはりオーストラリアとなる。
「ええ。数名程度で済んだのは、日本の文化故でしょうね」
「文化? ……ああ、なるほど。恭順派の大本はキリスト教だったな」
勿論日本にもキリスト教徒はいるだろう。だが、日本は基本的に宗教に関してはチャランポランというか、適当というか、柔軟というか。
ともあれ、そんな状態だ。
何しろ、唯一神教のキリスト教に対して、日本は八百万の神々がいるって教えもあるし。
クリスマスが済んで1週間程度で大晦日を迎え、新年には初詣へと出向く。それ以外にもハロウィン、バレンタイン、お盆といった具合だったり、結婚式は教会でやるのに葬式は寺だったり……その、いい意味でも悪い意味でも宗教的な自由さというのは、日本ならではだろう。
マブラヴ世界の日本に関しても、同様だったらしい。
いや、この世界の場合は俺の知っている日本と比べると西洋の文化が入っているのはもっと少ない。クリスマスを知らない者まですらいるんだし。
この辺は第2次世界大戦で無条件降伏ではなかった影響だと思われる。
そんな中で、キリスト教から派生した恭順派がどう頑張ろうと、日本でその勢力を伸ばす事は難しい。
それだけではない。ただでさえここ暫くはBETAに対して連戦連勝といった感じなのを思えば、自殺願望でもない限りは恭順派に与する者はいないだろう。
「そういう意味では、恭順派に忍び込まれる危険性が一番少ないのは、日本なんだろうな」
「そうですね。ただ、国連軍がいるので……」
そっちがあったか。確かに国連軍が少なからず駐留する以上、その中に恭順派が混じっている可能性は否定出来ない。ただ、それでも数が限られている分だけ対処は可能だろう。
「その件に関してはもう少し注意するようにとしか言えないな。特にアンバール基地での奴等は、通信を傍受される事を警戒して伝令とかのアナログ的な手法を使っていた。これに関しての対処は、単純なだけに難しいからな」
まさか人が集まっている場所全てに手の者を派遣する訳にもいかないだろう。
更に言えば、伝令での連絡である以上は2人か3人程度で話している可能性が強い。それを思えば、対処するのは非常に難しい。
俺に思いつく対処法は、取りあえず何人かでもいいから恭順派を捕らえて自白させ、そこから芋づる式に捕らえていくという、ごく普通のものだけだ。
ただ、伝令である以上は必ず相手と接触をする必要がある訳で、そこから辿っていくというのは通信でやり取りしているのを傍受するよりは簡単かもしれないな。
「ええ、その辺の情報は聞いています。色々と厄介な真似をするようですね」
憂鬱そうな表情を浮かべる恭子。
ようやくBETAに対して対処出来るようになってきたというのに、人間からそれを邪魔するような者が活発に動き出したんだ。その気持ちは分からないでもない。
最悪、捕らえた奴を鵬法璽を使って対処するか? そんな風にも思うが、一旦鵬法璽に頼る事に慣れてしまったりしたら歯止めが利かなくなりそうなんだよな。
それと、鵬法璽の貴重性や重要性、危険性をマブラヴ世界の者達に知られるというのもなるべく避けたい。
「恭順派に関しては、頑張って行動してくれ。何かあったら要望してくれれば、こっちでも多少は手を貸す事が出来るかもしれないしな」
「ええ、お願いします。シャドウミラーの助けを……アクセルさんの助けを借りられれば、恭順派を相手にしてもどうにか出来るでしょうし」
「あまり買い被られても困るんだが」
そんな風に肩を竦めて重慶ハイヴ跡地――基地と呼ぶ程にはまだ設備が整っていない――を歩きながら、言葉を交わす。
現在はまだオペレーション・ルシファーからそれ程時間が経っていない事もあり、目につく場所のBETAの死骸を何とか排除できたところだったりする。
BETAの死骸の悪臭を考えれば、どうしてもドリフト内部にそのままって訳にはいかないよな。地下にあるという関係上、風で臭いをを薄れさせるという事も出来ないし。
寧ろ、その悪臭を辿ってBETAの死骸のある場所を発見して駆除してるんだろうが……さて、フェイズ3の半径4km、深さ700mのハイヴ内にあるBETAの死骸を全て見つけるにはどれくらい掛かるんだろうな。
日本には頑張って欲しいところだ。そのBETAの死骸は俺達シャドウミラーの資源になるのだから。
「基地化の作業は、具体的にどのくらい進んでいるんだ? ああ、勿論聞いてもいい情報ならだが」
「アクセルさんなら問題ありませんよ。そうですね……大体20%といったところですか」
「……なるほど」
微妙だな。それが俺の純粋な感想だった。
いやまぁ、この広さのハイヴを基本的には日本だけで基地化の作業をしているんだから、そこまで捗っていなくてもしょうがないのか。
国連軍の方もある程度の協力はしてるんだろうが……
それに、オペレーション・ルシファーが終わってからはまだそれ程経っている訳ではない、か。
自分に言い聞かせるように呟き、改めて周囲を見回す。
いたる所で重機が動いて土や砂を運び、あるいはBETAの死骸を運ぶ。
これだけ忙しいのは、嬉しい悲鳴という奴だろう。
日本は外国から来た難民がいる訳ではないが、その分人手が足りないとかもありそうだよな。
建設会社とかは大儲けしてそうではある。
「最優先はやっぱりBETAが攻めてきた時に使う防衛戦力を重要視しているらしいですね。格納庫は真っ先に整備されたとか」
「だろうな。戦術機は色々とデリケートな機械だから、その辺を軽く考えて野ざらしとかにしていれば、いざという時に機体が動かないとかもありそうだよな」
元々、この時代にあるのが不思議な程のオーバースペックの機体なのだ。当然何らかの機能とかが色々と犠牲になっており、PTとかに比べると整備性とかも含めて劣っているところが多い。
だからこそ、より進んだ世界の兵器でもあるリニアガン・タンクやガン・ルゥを積極的に採用しているのだろうが。
まぁ、その辺に関してはオーストラリア、日本、アメリカ、中東連合軍、アフリカ連合軍、イギリスのようにMSを研究、解析しているところもあるから、いずれ解決しそうではあるが。
「日本はMSの解析でも1歩も2歩も他の国よりも先に進んでるんだから、その辺を考えれば戦力の事はそれ程心配しなくてもよさそうだけどな」
「そんな……確かに他の国よりも劣っているというつもりはありませんが、その技術を一般の機体に反映させるにはまだまだ時間が必要です。崇継さんの協力している飛鳥計画でも、まだ試作機段階ですし」
……そう言えば、長いな。
この重慶ハイヴを攻略した時にもそれなりに活躍したとは聞いているし、崇継本人からも完成まで時間が掛かっている理由については聞いている。
EF-2000のようにシャドウミラーを始めとした技術の上澄みだけを掬って適用させるのではなく、その深いところまで技術を得ている為だと。
まぁ、ストライクダガーを研究しているんだから、それで得られる技術はシャドウミラーじゃなくてSEED世界の……それも大西洋連邦の技術なんだろうが。
ただ、ストライクの量産型の簡易型でもあるストライクダガーと言えども、この世界の技術レベルからすればかなりの先端技術だ。それこそ、下手をすれば技術的に解析出来ない程に。
そう考えると、寧ろその辺は頑張っていると言った方がいいのかもしれないな。
「防衛施設に関しては分かった。じゃあ、生活環境の方はどうなっている? そっちも重要だろ?」
「ええ。ですが、やはり最重要なのは防衛施設の方ですから、どうしても二の次になってしまっているようです」
「……生活環境を整えた方が、兵士や工事をしている者達にしても気持ちよく仕事が出来て、結果的に作業効率が上がりそうな気がするんだけどな」
「そうですね。私もそう思います。ですが、上の者にはその辺を理解していない者も多くて」
ここで出てくるのが、また城内省だったりするのか?
ぶっちゃけ、話を聞いている限りだと日本の邪魔をしているようにしか思えない。まぁ、自分の能力に自信がなくて、家柄とか血筋とかに縋るようになった奴が害悪になるってのは、どこの世界でも変わらない出来事なんだろう。
「そっちも色々と大変そうだな」
思わず同情の声を漏らすが、それに返ってきたのは予想外なことに苦笑だった。
てっきり恭子の性格なら問題はないという言葉が返ってくると思っていただけに、恭子がどれだけ苦労しているのかを察する事が出来る。
五摂家という立場にあっても……いや、寧ろそのような立場だからこそ、迂闊に手出しが出来ないのだろう。
今の日本は、色々な意味で制度的に硬直しているのだから。
寧ろ、首相の榊や崇継といった面々はよくもこの硬直した日本の舵取りを成功させていると、感心の溜息を漏らす事もある。
「ま、何かあったら言ってこい。愚痴くらいは聞いてやるよ」
「……いいんですか? レモンさん達のような恋人が大勢いるのに、私にそんな事を言っても」
「別に口説いてる訳じゃないんだから、問題ないだろ?」
そんな俺の言葉に、恭子は小さく口元に笑みを浮かべる。
先程の苦笑とは違い、どこか悪戯っぽい笑みだ。
「さて、どうでしょうか。アクセルさんがどう思って声を掛けているのかは分かりませんが、それをどう受け止めるのかはその人次第ですよ?」
「……妙な事を」
まぁ、それでも色々と気疲れがある恭子が少しでもリラックスできたのなら、それでもいいか。
……そんな風に思った時だ。
かろうじて整っているだろう基地施設が、けたたましく非常警報を鳴らす。
ヴィー、ヴィーという、どこか聞き覚えのあるその非常警報は、間違いなく何らかの不測の事態が起きた証。
いや、今のこの状況を思えば不測の事態が起きたとしても、それが示すのは2つしかない。
即ち、アンバール基地の時と同じようにテロリスト共が動いたか、あるいは……
「恭子様! BETAが連隊規模で重慶基地に向かって移動しているのが確認されました!」
近づいてきた斯衛が……恭子が俺を案内している時にも距離を置いて着いてきていた護衛の女が厳しい表情を浮かべながら告げる。
そう、この世界の人類の怨敵でもあるBETAが動いたかだ。
連隊規模となると、2000から3000といったところか。基地化が済んでいれば問題はないだろうが、幾ら防衛力重視で急速に基地化を進めるとしても、そして実際に戦えると自信を持っているとしても、それでもやはりいざ攻められるとなると、基地化が完了していないだけに心細いものがあるのだろう。
「何ですって!? 一体どこからそれだけの戦力を……オペレーション・ルシファーで敦煌ハイヴとマンダレーハイヴの戦力は大きく減らした筈なのに……」
「ボパールハイヴから、です」
斯衛の、苦々しげな呟きの声が周囲へと響き渡るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1179
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