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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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1~2期/啓編
  K3 侍系アイドル歌手

 えー、現状。
 クラブ終わって帰ろうとしたとこを、昨日と同じにーちゃんに手錠かけられて車で拉致られ、本部とやらに連行されマシタ。


 案内された先には、休憩スペースみたいなとこが……響ちゃん!?

「あれ、啓じゃん」
「響ちゃんも連れて来られたのか?」
「うーん、まあ、そうなるね」

 あたし呪われてるかも。
 ――ぼそっと呟いた響ちゃんの声をおれが聞き逃すと思うなよ。

 櫻井サンと司令サンがあれやこれやと説明を始めた。

 聖遺物。シンフォギア。歌。適合者。櫻井理論。

 ふう。とりあえず。響ちゃんの心臓近くにある、ガングニールとかいう物騒なもんのせいで、響ちゃんがあのトンデモ変身をやらかしたことは分かった。

「俺たちが守りたいのは機密などではない。人の命だ。そのためにも、この力のことは隠し通してもらえないだろうか」

 秘密じゃなくて、人の命。
 ……くそ。不覚にも「いい人じゃん」と思っちまった。

 司令サンが改めて真面目な顔して、響ちゃんに協力を迫った。

「わたしの力で、誰かを助けられるんですよね? 分かりました。わたし、やります!」

 分かってた。分かってたよ、響ちゃんがそう言い出すこと。だってそれが響ちゃんだ。立花響って女の子だ。

「質問。その場合、おれはどういう扱いになるんすか」
「響君の日常生活のサポート要員といったところか。希望するなら、緒川のようにエージェントとしても迎えよう。その場合は緒川にみっちり鍛えてもらってからだがな」

 サポートでいいや。

 なんて思った直後、部屋中の電気が赤く明滅して、アラートが鳴り響いた。






 オペレーションルームに駆け込むと、オペレーターがすぐノイズの位置を特定してくれた。まさかの、このリディアン音楽院から200メートル。人間だったら不法侵入一歩手前の位置だ。

 風鳴サンが「迎え撃ちます」と言って出てった。

 ふり返った響ちゃんの、手を掴んだ。

「行こうとしたろ。ノイズ退治」
「わたしの力が誰かのためになるんなら、シンフォギアでないとノイズは倒せないんなら、だったらわたしは絶対行くから」

 ひっでえよなあ、神様。守りたい女の子に守られる展開とか。おれと響ちゃんの立場が逆ならよかったのに。

「うん。じゃあ行こう」

 響ちゃんはきょとんとおれを見上げて、すっげえいい笑顔を浮かべてくれた。

 おれなんか付いて行ったって戦えるわけじゃないし、お荷物だってわかってるけど、はいどーぞって送り出せるほどおれ、大人じゃないんで。

 響ちゃんと手を繋いで、オペレーションルームから駆け出した。




 現場に着くなり、響ちゃんが例の歌を詠って変身して、大ジャンプ。風鳴サンが戦ってたノイズにキック。ナイスアシスト。

 響ちゃんが落ちてくるであろう場所に急いで走る。姫抱っこならぬ姫キャッチ…………失敗~!

「啓? なんかすごい凹んでるけど、だいじょぶ?」
「男のロマンは障害が多いなあって思っただけだから。それよりさ。上行って風鳴サンと合流しようよ。今のであの人も認めざるをえねえだろ。響ちゃんと一緒に戦うの」
「うんっ! 行こう!」

 といってもこの高さなんで、響ちゃんにおんぶされる形で、上へ飛び上がった。すげえなシンフォギア。
 あとこの2回目の男女逆転シチュのショックで凹まなかったおれもタフになったもんだ。

「翼さーんっ」

 おれが離れるなり、親鳥見つけた雛みたいに、響ちゃんは風鳴サンに一直線に走ってった。

「わたし、今は足手まといかもしれませんけど、一生懸命頑張りますッ! だから、わたしと一緒に戦ってください!」
「――そうね」

 ま、なっちまったもんはしょーがない。その辺くらい風鳴サンも分かってるだろ。

 チャキ

 分かって……あれ? おねーさん、何で響ちゃんに刀向けてんの?

「あなたと私、戦いましょうか」

 おいおいおいちょっとちょっと。目がいい感じにイッちまってんぞこの人。

「う、うえ、そ、そういう意味じゃありませんっ。わたしは、翼さんと力を合わせ――」
「分かってるわ、そんなこと」
「だ、だったらどうして」
「私があなたと戦いたいからよ」

 何ヲ言イ出スンダコノ女ハ。

「私はあなたを受け入れられない。力を合わせあなたと共に戦うことなど、風鳴翼が許せるはずがない」

 一人称がフルネームの時点で処置なし。かゆい。かゆくてイタい。

「あなたもアームドギアを構えなさい。それは常在戦場の意志の体現。あなたが何物をも貫き徹す無双の一振り、ガングニールのシンフォギアを纏うのであれば――胸の覚悟を構えてごらんなさいッ!」

 さっきまでの現代女子口調どこ行った!? ブリッジ並みに仰け反って頭抱えてますよこっちは!

「わたし、アームドギアなんて分かりません……分かってないのに構えろだなんて、それこそ全然分かりませんッ!」

 よく言った、響ちゃん。そうそう。分からんものは分からんってちゃんと申告しないと。

「――――覚悟を持たずに、のこのこと遊び半分でいくさ場に立つあなたが、奏の……奏の何を受け継いでいると言うのッ!!」

 風鳴サンが高くジャンプ。投げた刀が巨人が持つサイズの剣に化けた。風鳴サンはそのどでかい剣の先端を蹴って、こっちに、響ちゃんに向けて迫ってくる。

「……やめろ…」

 あんなどでかい剣、食らえば死ぬってことくらいおれにも分かる。なのにあの人は躊躇わず、むしろ望む所と言わんばかりで。

 おれは走って響ちゃんの前に立った。
 響ちゃんを庇って両腕を広げ、どでかい剣に立ちはだかった。


「おれの響ちゃんをいじめんなぁあああッ!!」


 その時、変化は起きた。


            「 ――Ezehyte Prytwen tron―― 」


 キュピィイイイイイイイイン!!!!


「そんな!? ――ああっ!」
「翼さんッ!」
「…んだよ、コレ…」

 盾? バリア? 広げた両腕がちょうど直径サイズの、乙女の顔や十字架を刻んだサークルが輝いてる。

 あの人はどでかい剣ごとこのサークルに吹っ飛ばされたんだ。10メートルは飛んだ。間違いない。

「…って、え!? ええ!?」

 ブレザーのポケット、その中にある物が布地越しにクリーム色の光を放っている。急いでポケットからそれを取り出した。

 去年の修学旅行中、イギリスでとある人から譲られた、紅く細長い、結晶。

 サークルがぐにゃりと歪み、網みたいにおれの手に貼りついた。手だけじゃない、腕から肩へ、肩から胴へ。べったりとサークルがまとわりついてくる。おれの意見は聞いちゃくれねえ。

 凄まじい光とソニックブーム。
 響ちゃんの時と同じ現象が今、おれの肉体に起きてる。


 ガッ…シュウウウウゥゥゥ……


 お、終わった…のか?

 グレイのラバースーツの上から、手足と胸部には黒いアーマード。同じく黒いヘッドホンと、頬まで届く「コ」の字の額当て。腰からは妙に長い青のヒラヒラとファーがあって、その上なんかあちこちにガ〇〇ムのユニットっぽい円盤とかが引っ付いてる。

「啓も…わたしたちと、同じ…?」
「また新しいシンフォギア装者…だと…」

 響ちゃんと同じ。シンフォギア。
 響ちゃんと並び立てるだけの力。響ちゃんを護ってあげられる力。
 おれにも力があったんだ! 
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