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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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1~2期/啓編
  K2 特異災害対策機動部二課

 ノイズが片付いた後、おれたちがいた場所は封鎖された。

 今は女の子も飲み物を貰って、座ってそれを飲んでる。


「あったかいもの、どうぞ」

 響ちゃんにもココアっぽい紙コップが渡された。

「あ、あったかいもの、どうも」

 響ちゃんは紙コップを受け取ると、中身に軽く口を付ける。そして「なっはー」という極楽な声。銭湯上がりのオッサンか、とツッコもうとして――

 響ちゃんの全身が金色に光り、着ていたスーツが弾けて消えた。

「うわ、あわわわわわっ」
「おっとぉ!」

 おれはとっさに、ふらつく響ちゃんを後ろから支えた。
 響ちゃんはため息をつくと、ふり返り、おれを見上げて笑った。

「ごめん。啓」
「いいって。響ちゃん、軽いし」

 うん、マジ、色んな意味で。
 いやいいんだ。おれは女を体格で選ぶ男じゃない。響ちゃんなら何でもいいんだ何でも。

「あなたたち」
「は、はい! ――あ」

 おーっと、ここで噂の風鳴翼のお出ましだ。
 ついでに後ろにずらっと、いかにもその筋っぽい黒服連中もお出ましだ。
 だってのに、響ちゃんは生風鳴サンに目をキラキラさせるもんだから。かわいいぞちくしょう。

「今日はありがとうございました! 実は翼さんに助けられたのは、これで2回目なんです!」

 風鳴サンは険しく眉根を寄せただけ。覚えてないってことかな。まあいくら生存者つっても、10万人いた内の一人でしかない。これが普通の反応っちゃあそうなんだけど。

()()()()。そろそろ帰らねえと、寮の門限とっくに過ぎてんじゃね?」
「うわあ! やっば」
「――あなたをこのまま帰すわけにはいきません。特異災害対策機動部二課まで、同行していただきます」

 出たー。なんか知っちゃいけないコトを知っちゃった的なドラマにありがちな台詞。てかどこだよその特異ナンチャラっての。これ確実にヤバいフラグですよね。

 人の良さそうなにーちゃんがゴツイ手錠を出した時点で、さりげなく響ちゃんを後ろに押しやる。

 来るなら来やがれ。こちとらケンカは慣れてんだ。イマドキの中学生ナメんなよ。

「すみません。あなたのお姉さんの身柄を拘束させていただきたいんですが」

 睨む。手錠持ってこられたら抵抗するだろ普通。おれ悪くないもんね。響ちゃんはもっと悪くない。

「け、啓」
「さっきのお子さんは書類で、何で姉は連れてかれなきゃいけないんすか? あの変なバトルスーツっぽいのに変身したからすか?」

 あの女の子のお母さんらしい人に説明してんの、バッチシ見てたもんね。

「この場では申し上げかねます」
「んじゃおれも拘束して同じとこ連れてってくださいよ」

 手錠持ったにーちゃんも、後ろの風鳴サンも、目をぱちくり。

「おれもバッチリ姉に起きたこと見たんで。もし連れてってもらえなかったら、ネットに今日のことすんげえ詳しく細かく書いて拡散します」
「――そこまでおっしゃるのでしたらしょうがありませんね」

 にーちゃんが、おれが差し出した両手に手錠をかけた。

 よし。これで響ちゃんだけを得体の知れねえ連中に連れてかれるのは回避だ。グッジョブ、おれ。





 車で連れてかれたのは、まさに響ちゃんが通う、リディアン音楽院だった。

 別々の車に乗ってた響ちゃんが降りて来たので、速攻そっちへ合流。

 さっきのにーちゃんと風鳴サンに付いて、学院の中に入った。へえ、響ちゃんと未来ちゃん、普段こんなとこで勉強してんのかあ。

 んで、世界中の絶叫マシンフリークもおそらくビックリな垂直落下のエレベーターへ乗せられて、このオペレーションルーム的な明るい部屋に来たわけですが。

「ようこそ! 人類守護の砦、特異災害対策機動部二課へ!」

 めっちゃみんなワロてますけど? 「微笑みなど必要ない」とか仰った風鳴翼サン? あ、本人も困ってる。常識人ポジなんすかね。

「まずはお近づきの印にツーショット写真~」

 髪を頭の上でぐるぐる巻きにした、おば……じゃなくて女の人が響ちゃんの肩を抱いてスマホで自撮りしようとしてる。

「や、やですよ~! 手錠を嵌めたままの写真なんてきっと悲しい思い出として残っちゃいます!」

 んだんだ。

 響ちゃんの言葉が効いたか知らないが、響ちゃんとおれの手錠は、ここまでおれたちを連れて来たにーちゃんが外してくれた。あー。重かった。

「では改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている」
「そしてアタシはぁ、できる女と評判の櫻井了子。ヨロシクね」
「こちらこそっ。よろしくお願いします」

 ここで頭下げちゃうのが響ちゃんのお人好し成分だよなー。
 おれ? おれは会釈だーけ。まだここの人たちの目的とか正体とか1コも分かってねえから。

「君をここへ呼んだのは他でもない。協力を要請したいことがあるのだ」
「協力って……」
「その前に」

 響ちゃんより一歩前へ。

「教えてくれるんでしょうね? 姉が使ったアレのこと。アレ、一体何なんすか」
「それを教えるためにも、二つほど約束してほしいことがあるの。一つは、今日のことは誰にもナイショ♪ もう一つはぁ、とりあえず脱いでもらいましょっか」

 脱ぐ…………脱ぐぅ!? 
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