ジャパニーズ＝ラップ

　この日から暫く考えた、それからだった。
　何日か考えた後岳の席まで来てだ、こう言った。
「考えたけれどな」
「ああ、どうしたんだ？」
「俺ちょっと作ってみるよ」
「インスタントラーメンか？」
「何でそんなの作るんだよ」
　岳のあまり上手とは言えないジョークにだ、笑わないで返した。
「違うyよ」
「じゃあ何作るんだよ」
「曲だよ、曲」
　それをというのだ。
「それを作るんだよ」
「ラップのか？」
「駅前の曲がよかったからな」
　だからだというのだ。
「日本語のな」
「そうか」
「作詞だけじゃなくてな」
「作曲もか」
「するぜ」　
　こう言うのだった。
「考えが変わったよ」
「ほう、そうなったか」
「いや、日本語のラップもな」
「中々いいものだろ」
「あの時まではそうは思ってなかったさ」
　俊介はこのことは自分から認めた。
「とてもな」
「けれど今はか」
「考えが変わったさ」
　完全にというのだ。
「やってやるさ」
「そうか、じゃあ頼むぜ」
「色々作ってみるな」
「社会問題の告発だけじゃないな」
「他のジャンルもな」
　それもというのだ。
「作ってみるな」
「恋愛とかもか」
「他もな」
「よし、それじゃあな」
　こう話してだ、そしてだった。
　俊介は作詞作曲をした、それから。
　岳にその曲を見せてだ、彼に問うた。
「どうだ？」
「ああ、いいんじゃないか？」
　岳は歌詞と楽譜を読みつつ答えた。
「これでな」
「あいつより上か？」
「いや、まだだな」
　岳は感じたことを正直に告げた。
「歌は」
「そうか、じゃあまた作るな」
「いやいや、これはこれでいいだろ」
　俊介が今作って来た曲はというのだ。
「これでな」
「歌っていいか」
「あいつはまた別だよ、プロ並だよ」
「じゃあ俺はそのプロ並を越えてやるさ」
　俊介は相当強い声で岳に答えた。
「楽しみにしてろよ」
「そこまで言うか」
「言ったからにはまた作るな」
「頼むな、実際のところな」
　岳は考える顔になって俊介に述べた。