| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百十五話 母子の和その三

「さもなければよいことにはならぬ」
「その通りかと」
 明智も信行のその言葉に応える。
「ですからここは」
「収めようぞ」
「しかし上様」 
 ここでだ、明智が信長に言って来た。
「お二人はです」
「それこそじゃな」
「梵天丸殿がご幼少の頃からです」
「あ奴の隻眼を嫌ってじゃな」
「はい」
 まさにだ、その為にというのだ。
「それで、です」
「嫌っておったな」
「何かと」
「それで顔の整っておる次男のな」
「小次郎殿をお可愛がりなので」
「それで母子の仲も悪い」
「その様です」
 信長にこのことを話すのだった。
「ですからこのことは」
「収めることはな」
「容易なことではないかと、また噂では」
 さらに話す明智だった。
「あの方は梵天丸殿を殺めようとされたとか」
「あれは兄である最上義光のものではなかったのだ」
「そうも言われていますが」
「噂ではか」
「あの方が仕組まれたともです」
 言われているというのだ。
「奥羽ではそちらの方が信じられているとか」
「そうか、しかしな」
「それでもですか」
「これ以上母でいがみ合うべきではない」 
 信長は確かな声で言い切った。
「間違ってもな」
「では」
「二人をここに呼ぶ」
 この安土にというのだ。
「そうしよう」
「それでは」
「その様にな」
 こうしてだった、信長は二人を安土に呼ぶことにした。だが家臣達にこのことを話してそれから今度はだった。
 帰蝶にだ、こう言ったのだった。
「さて、まずはな」
「伊達家のことですね」
「うむ、当の二人をこの安土に呼ぶことにしたが」
「それはまた」
「厄介じゃな」
「そう思います」
 帰蝶もこう信長に答えた。
「私も」
「やはりそうじゃな」
「はい、手打ちといいましても」
「それもな」
「容易でjはないかと」
「最上義光にも力を貸す様に言ったが」
 それもというのだ。
「これもな」
「あの方は」
「そうじゃ、こうしたことにはな」
「信用ができませんね」
「あ奴は常に伊達の乗っ取りを狙っておった」
「それを捨てたと仰言いましても」
「すぐには信じられぬ」 
 だからだというのだ。
「それでじゃ」
「迂闊にはですね」
「任せられぬ、しかしいてはもらう」
「そうされますか」
「そしてじゃ」
 そのうえでと言う信長だった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧