原作に介入=生 不介入=死 何だ!この世界は!
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閑話5
前書き
次回からvivid本編に入ります。
休日の昼頃、ユウは生存報告のために家にやってきたジークに昼ご飯を出していた。
「昼ご飯は和風パスタだ」
「美味しそうやぁ。いただきます!」
「はいどうぞっと」
二人が食事をしているとユウのデバイスに通信が入る。相手は高町なのは。ユウはジークに一声かけてリビングから寝室に移動する。通信のホロウィンドウを開くと休日だというのに制服を着たなのはが映る。
「あっユウ君」
「どうかしたのか見たところ仕事中だろ?」
「うん。仕事が急遽はいったの。それでヴィヴィオはそっちについた?」
「はい?」
事情を聞くと急遽入った仕事でどうしても早く帰れそうになく。最悪仕事場に泊まりになる可能性もあるらしい。フェイトは長期任務中。剣も泊まり。ヴィヴィオにどうするか聞いたところ。
「ユウの家に泊まる!」と言って出かけたらしい。
「途中で連絡するって言ってたんだけど…」
「着てないし連絡一つない。まぁ、突然泊まりにくるのはいつものことだから、その内来るだろう」
そういうとなのはは苦笑する。
「あはは、ヴィヴィオは本当にユウ君に遠慮がないね」
「覚えてる限りではヴィヴィオが俺に遠慮した記憶がない」
六課時代からヴィヴィオはユウだけには遠慮していないのだった。これを信頼と考えていいのか迷うところである。
「とりあえずヴィヴィオ件は了解した。着いたらメールさせる」
「わかった。ヴィヴィオのことよろしくね」
通信を切ってリビングに戻ると食事を終えてテレビを見ているジークがいた。
「何やったん?」
「妹分が泊まりに来るらしい」
「ユウ君の妹分って確か……ヴィヴィオちゃんやね」
「ああ「ピンポーン」来たようだな」
ユウは玄関の扉を開けて「ユウ泊めっあいた!」入ろうとしたヴィヴィオの頭にチョップを入れる。
「来るなとは言わないからせめて連絡しろ」
「…でも「反論は許さん。ここは俺の家だ」う~はい」
「わかれば良い。今日は友人が「お邪魔しま~す」聞いてねぇよ」
ヴィヴィオを追ってリビングに入るとヴィヴィオがジークを見て固まっていた。
「ねぇ、ユウ………何でジークリンデ・エレミア選手…チャンピオンがいるの!」
「指差すな指を。いるのは俺の友達だからだ」
「初耳だよ!」
「言ってないからな」
「何で!私はユウの妹分でしょう!?」
「妹分だからと全ての交友関係を教える必要なし。それにそんなに驚くことか?」
「驚くよ!ジークリンデ・エレミア選手。インターミドルに参加する全ての人の憧れだよ!」
「チャンピオン。試合が終われば、ただの人」
「意味わかんないよ!」
二人の掛け合いを見ていると。
「ふふ。二人とも仲がええなぁ~」
ジークはコロコロ笑っていた。
「もう、ユウのせいで笑われちゃったよ!」
冷静になって急に恥ずかしくなったのか真っ赤になる。
「あっあのチャンピ「ストップだヴィヴィオ」
会話を邪魔をしたユウにヴィヴィオが文句を言おうとしたがユウが真面目顔を見て止める。
「人と接するときは肩書きや理想ではなく本人を見ろ。ジークはチャンピオンである前に一人の人間だからな」
言われたヴィヴィオもう一度ジークを見る。ジークはチャンピオンと呼ばれるのを少し恥ずかしがっているようであった。
「………うん!」
ヴィヴィオはユウの言いたいことを理解したのか一度、深呼吸してジークに近づく。
「ユウの妹分の高町ヴィヴィオです!」
「ウチはジークリンデ・エレミアや。話はユウ君から聞いとるよ。よろしくなぁ。ヴィヴィちゃんって呼んでええかな?ウチはジークでええから」
「はい!ジークさん」
人には自らの肩書きに誇りや価値を見いだし、肩書きで見られることを喜ぶ人と、自らの肩書きに意味を感じず肩書きで見られることを嫌がったり恥ずかしがったりする人がいる。見てわかるようにジークは後者に当たる。最初ヴィヴィオは興奮の余り、ジークをチャンピオンと言う肩書きでしか見ていなかったためユウに止められたのだった。
「それでジークさんはユウとどうやって知り合ったのか教えてください!」
「ええよ。ユウ君と会ったのは」
二人が和やかに話し始めたのを見てユウは飲みものを取りに台所に向かったのだった。
「へぇ~ジークさんはヴィクトーリア・ダールグリュン選手と友達なんですね」
「ユウ君とも知り合いや。よく二人で新しいトレーニング方法や器具の話で盛り上がっとるんよ。ウチもその恩恵を受けとるし」
「あっ私のトレーニングでもユウが持ってきたヘンテコな形の器具を使うことがあります。使ってみるとしっくりくるんですよね」
余談ではあるが二人の考えた器具は商品化されユウの懐を暖かくしたこともある。
二人のガールズトークは続き、時計は17時を過ぎる。
「それじゃあ、ウチはそろそろおいとまするわ」
「えっ!もうそうな時間!?もっとジークさんとお話したいのに……そうだ!」
ユウはヴィヴィオの思いついたことが予想できたが、止めても無駄だと思い静かに見ている。
「ジークさん、泊まっていってください」
「え!?」
予想外の提案に驚愕しいるジーク。
「ジークさんが泊まっていってくれればもっとお話しできます」
「でも、ウチは泊まりの用意なんてしてへんし」
「大丈夫です。全てあります」
ヴィヴィオは自信満々に胸を叩いてある部屋に入っていった。そして大きめのトランクを持ってくる。ジークもそれがユウの家に常備されているお泊まりセット一式であることを察する。
「ヴィヴィちゃん。気持ちは嬉しいけど、サイズが……下着も(ぼそ)」
「サイズも心配ありません。揃ってますから!」ヴィヴィオはトランクを開けると中には女性用の浴衣が入っていた。
「この服は確か……浴衣やね。でも何でサイズが揃っるん?」
浴衣は何サイズか入っており規格外でなければ問題ないようになっている。(男性用も別のトランクに)これらは、はやてが用意したもので以前にリィンとザフィーラが泊まりにきたときに今後も誰かが泊まりにくるかもしれないからと、ユウの家に置いていったものである。誰が泊まって良いようにサイズを揃えている。浴衣なのは少しくらいサイズが違っていても着れるからで、下着はベルトの様なものでサイズをある程度調整できるものが何種類(サイズも複数)か置いてある。実際にヴィヴィオ以外にも酔ったはやてや剣、エリオ、家出してきたリィンなどが泊まりにきたことがある。(下着類は使った人間が持ち帰ることになっている)
「問題なのは前もって連絡する人間より、突然くる人間が多いことだな」
「……大変やな」
事情を説明してジークに同情されるユウであった。
「ユウの苦労話はいつものことです」
「お前が言うな主な原因」
「着替えは揃ってますから泊まっていってください「スルーするな」あぅ」
スルーしたヴィヴィオには本日二回目のチョップ。
「ええっとユウ君はええの?」
ヴィヴィオの勢いに押されながらもジークは通常なら始めに聞く家主を見る。
「俺はいいぞ。その我が侭娘の相手をしてくれるなら大歓迎だ」
「お願いしますジークさん」
家主の許可もおり、目の前少女にお願いされる。
「それじゃあ、お世話になってええかな?」
「はい!」
ヴィヴィオは余程嬉しいのかジークに抱きつく。 ジークも抱きつかれて顔を少し赤くしながなも笑顔でヴィヴィオを撫でる。こうして見ると姉妹に見える。
「そら、喜ぶのはいいけど夕飯の用意するから手伝ってくれ」
「うん!」
「あっウチも手伝う」
その後、風呂の順番などですこし揉めたが概ね平和に時間は過ぎていった。だが、その日はそのままでは終わらなかった。問題は寝る前に発生する。
「だから言っただろ、あれは見ない方がいいって」
現在の時刻は23時42分。ユウの布団は普段自分の寝ている部屋ではなく、家でもっとも広い客間に敷かれている。両隣にはヴィヴィオとジークの布団が敷いてある。
「だってだって前にパパと見たホラーは大丈夫だったんだもん!」
「うっうん。あれは恐すぎや」
話しからわかるように二人はホラー映画を見て眠れなくなっていたのだ。
だが、二人が特別恐がりなわけではない。見た作品が悪かったのだ。その映画は先日遊びに来たホラー好きのニードが忘れていったもので社会現象とまでなった映画である。この作品が厄介なのは恐いと同時に面白いのだ。そのため一度見ると恐いとわかっていても途中で止められなくなってしまうのだ
因みにユウはホラーは得意でも苦手でもないが、初見のときは見たのが昼間でよかったと心から思ったそうだ。
「気持ちはわかるが俺まで一緒に寝る必要あるか?」
「必要!絶対必要!」
「うちらを見捨てんといて!」
二人はユウの両腕を抱え込むようにロックする。ヴィヴィオはともかく普段のジークなら恥ずかしがって絶対に取れない行動だが、今は恐怖が羞恥心を完全に上回っているらしい。
この状態で放置すると二人の恐怖が増幅し合いそうであると考えたユウは自分の部屋に戻るのを諦めた。
「わかった。この部屋で寝るから腕を放してくれ。この体勢だと寝れない」
二人に腕を解放してもらいユウは寝る体勢に入る。しかし、電気を消して20秒程でユウの腕は再ロックされる。暗がりは恐怖を増大させたようだ。いくらユウでもこう密着されたら眠ずらい。だが、これだけ恐がっている二人を 無理矢理引き剥がすのも気が引ける。考えた末にとにかくこの二人をとっとと寝かしつけることにした。ユウは一度、自分の部屋に戻り(二人もついてきた)何かを持ってきた。
「ユウ君、それって」
「ヴィクターからもらったアロマランプだ」
リラックス効果のある香りで二人の精神を落ち着かせることにしたのだ。アロマランプの電源を入れるとリラックス効果のある香りが部屋に充満する。その少し後に腕のロックが緩む。
「…寝てくれたか。俺も寝るか」
しかし、腕のロックは緩みはしても外れないのでユウはその体勢で寝ることになったのだった。
次の日の朝になって冷静になったジークは恥ずかしさで悶え、ヴィヴィオはまたこうして寝たいと言うのだった。
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