魔法少女リリカルなのは strikers~銀拳の魔導師~
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第四話
前書き
主人公の原作キャラへの呼び方は
同僚・上官:○○(階級or役職)←基本名字
下官:呼び捨て←基本名字
と言った感じです。親しくなれば呼び方も変わります
~機動六課 食堂~
「………………ふむ、成る程」
食堂の一角、駿樹はテーブル席で一人……午前中に見れ無かった訓練の映像を見ながら昼食を食べていた
〈危ない所は多々ありますが、皆さんなかなか良い動きをしますね〉
「磨けば輝くものばかりだ。これは俺もうかうかしてられんな」
〈マスターは、戦技教導は初めてなんですよね?〉
「今までは座学の集団教習しかしたこと無かったし、これを期に色々覚えないとなぁ…………にしても」
駿樹は横目で自分の周りを見渡す。昼時の食堂は人でいっぱいになっているのだが、駿樹の周りのテーブルは誰も座ってはいない。皆、少し離れた所で食事をしている。中には頻りに此方をチラ見する者もいる
(予想はしてたけど、やっぱり慣れねぇな……これ)
駿樹が自身の措かれた状況に内心ため息を吐いていると…………
「あ、あの!!」
「ん?」
聞こえてきた呼び声に駿樹は映像を止め、後ろを振り向く。そこには新人のフォワードメンバー四人が自分の分の食事を持ったまま立っていた
「え~~と、確か…………"スバル・ナカジマ"二等陸士……だったか?」
「は、はい!そうです!あの……よろしかったら、一緒に食べても宜しいでしょうか?」
「まぁ……別にいいけど?」
特に断る理由も無いので、一緒に昼食を摂ることにする。五人用のテーブルなので、数は丁度だ。駿樹の両隣にスターズの二人が、その間にライトニングの二人が座っている
「…………すごい量だな」
「え?……そ、そうですか?」
まず駿樹が一番最初に注目したのはスバルともう一人、同じライトニング分隊の"エリオ・モンディアル三等陸士"。二人の昼食の量だ、どんなマジック使ったらそんなに盛れるんだよ、と言いたくなる程の量だ
(どう見ても、体の体積より多いだろ。何処に入るんだ?体内に小型のブラックホールでも有るのだろうか?)
などと、駿樹が下らない事を考えていると
「あの、ちょっと良いですか?」
「ん?どうした?」
(確かこの娘は、"ティアナ・ランスター"二等陸士……だったか)
自分に話を振ってきた少女の名を思い出しながら。駿樹は話を聞く
「さっき、私たちの訓練映像を見ていましたけど。檜森三尉から見て何か問題点はありましたか?」
「あ!それ、私も気になります!」
「ぼ、僕も気になります!」
「わ、私も…………」
ティアナの言葉にスバルやエリオ、そしてもう一人のライトニング分隊のメンバー、"キャロ・ル・ルシエ"三等陸士もその言葉にのってきた
(問題点か……正直、こんな初期段階での問題点なんて、多すぎてどれを挙げたら良いのか分からんのだが……)
「そうだな……まずは……」
駿樹は今日の訓練で特に多く見られたミスやチームや個人としての欠点など基本的な部分を挙げていった
「まぁ……今の所、俺が言えるのはこれくらいだ」
「「「「ありがとうございます!」」」」
(そんなに大したことは言って無いんだがな…………)
〈マスターにとっては大したことで無くても、この子達にとっては大したことあるかもしれませんよ?〉
(そうゆうもんかな?)
その後、昼食を終えた五人は午後の訓練へと赴くのであった
~機動六課 訓練スペース~
腹ごしらえも済んだところで午後の訓練が始まった。俺は午前中と同じ様に高町一尉やフィニーノと一緒にビルの上から訓練の様子を見ている。訓練内容は午前と少し変わって逃走するガジェットを追撃するのではなく、攻撃してくるガジェット撃墜すると言う内容だ
「拙い連携だが、結構うまくやるもんだな……」
「危なっかしくてドキドキだけどねぇ…………シャーリー、午後の分のデータも宜しくね」
「任せて下さい!四機ともいい子に仕上げて見せますよー!」
「仕上げる?…………何の話だフィニーノ?」
「あぁ……檜森さんにはまだ言って無かったけど。フォワードの皆には近いうちに新デバイスを渡す予定なんだ」
そいつはなんとも気前のいい話だな……
「……と言ってもエリオやキャロはデバイスに制限を掛けて最低限の機能と基礎フレームだけの状態で使っているだけで。本当に一からデバイスを新調するのはスバルとティアナの二人だけです」
そう言いながら、フィニーノは嬉々としてデータ収集に勤しんでいる。根っからの仕事人間なんだろう
な……
「…………やっぱり、苦戦してますね……」
「そうだね、午前中の訓練で何とか"AMF"の効果範囲を掴めるようになったのは良いけど。まだ、実際の戦闘でそこまで気を配る余裕は無いみたいだね」
AMF……"アンチ・マギリンク・フィールド"と呼ばれる魔力結合を阻害するフィールドの略称で。今回の敵、ガジェット・ドローンに標準的に備わっている機能だ。魔導士は攻撃するにも防御するにも移動するにも魔力を使うそれを邪魔されるってんだからたまったもんじゃない。具体的な解決方法は3つ、1つ目は午前中の訓練でランスターがやったような多重弾殻射撃……しかしこれはAAランク魔導士のスキルなのであまり現実的ではない。2つ目は魔力変換による攻撃、炎や電気に変換された魔力はAMF効果範囲外なので少量の魔力でも十分な威力が期待できる。しかしこれも1つ目同様できる人が限られている。3つ目は魔力を高密度に圧縮させること、AMFの範囲内で分解しきれないように魔力を一点に凝縮する方法だ。これは他の2つと違って高度な技術は必要ではないが、圧縮に時間が掛かる事と状況によっては大量の魔力を必要とされる。現状、一般的な管理局の約半数を占めるCやBランク魔導士では少々荷が重い相手なのだ
「はーい、皆そこまでー。一回休憩を挟んだ後にもう一度最初からやるよ」
「は………はーい…………」
ボロボロだな…………
「ほら、疲れただろ?これ飲め」
「「「「あ、ありがとうございます!」」」」
俺の渡したスポーツドリンクを四人は一気に飲み干す。そんなに急いで飲むと体に悪いぞ…………
「キュク、キュクルー!」
「ん?なんだ、お前も欲しいのか?」
俺の足下にいるこの小さな白い竜の名は"フリード・リヒ"ルシエが卵から育てた飛竜とのことだ。昼食の時には居なかったのだが、ルシエ曰くたまに勝手に散歩に出て少しすると戻ってくるらしい。なにやら飲み物が欲しいらしく俺の足下でピョンピョン跳ね回っている
「え~と…………ほら、これ飲め」
「キュクル~~♪」
俺は普段デイトナ用に持っている飲み物をフリードに渡した、どうやら気に入ったらしくとてもご満悦そうだ
「あの…………檜森……さん」
「?どうした?ルシエ?」
「その……フリードに飲ませてる物は一体なんですか?」
「あぁ~……これはな、俺の使い魔特製"ドラゴン専用ドリンク"だ」
「ドラゴン……専用?」
「おう、ドラゴンは基本的に人間と同じ雑食ではあるが。肉を好んで多く摂取する傾向がある。だからこのドリンクで足りない分の野菜、果物類を補給するんだよ。」
人間で言うところの偏食家と言う奴だ
「そうですか…………あの!もしよかったら私にもそのドリンクの作り方、教えてくれませんか?」
作ってんの俺じゃないんだけと…………
「じゃあ、今度レシピ聞いておくよ。」
「あ、ありがとうございます!」
深々とお辞儀をするルシエ、大袈裟だなぁ……
「キュクル~~♪」
「おかわりは無いぞ……」
「キュクル~…………」
こんな感じで今日の訓練は進んで行き、終わる頃には新人達は歩くのがやっとと言うくらいに疲れ果てていた
~機動六課 訓練スペース付近~
「初日からだいぶ飛ばしてな……」
〈さすがは本局の戦技教導隊のエースと言った所でしょうか〉
「そうだな……」
訓練が終わり辺りもすっかり夜になった頃、俺は一人で海を眺めていた
〈負けてられませんよね……〉
「あぁ……負けてらんねぇ」
俺は海に背を向け、隊舎の近いにある人気の無い林の中へと入って行った
~機動六課 隊舎付近~
「ふぅ………少し遅くなっちゃったかな」
私はついさっき、はやてと一緒に首都クラナガンの中央管理局から戻って来た所だ。はやては今から夜食らしいけど、私は空き時間に軽く済ませてしまったので、今日はもう部屋に戻って寝るだけだ
「そういえば今日、なのは……大丈夫だったのかなぁ……」
檜森駿樹三等空尉、特に目立った実績やキャリアは無いものの幅広い魔法適性と教導管資格を持っていることから機動六課に出向して来た空戦魔導士。しかし外形に少々問題があり、10人中8人は彼の事を危険人物と認識してしまうかもしれない
「エリオやキャロも怯えて無ければ良いけど…………ん?」
隊舎に近付くにつれ私はある違和感を覚えた
「…………寒い?」
隊舎に近付く程、周囲の気温が下がっている用に感じた。だが、気候が管理されているこのミッドチルダでその様な現象は十中八九人為的なものである可能性が高い。すると、隊舎の近くの林から小さな魔力反応を見つけた
「あれは…………」
林の中を覗いて見ると。そこには、ベルカ式の銀色の魔法陣を展開しひたすら魔力を冷気に変換させている檜森三等空尉の姿があった
「…………そんな所で覗いてないで、出てきたらどうだ?ハラオウン執務官?」
「……ばれてた?」
「そんだけ近けりゃ誰でも気付く」
一応、気配は消していたのだけと……
「ごめんね、別にあなたの訓練を邪魔しようってわけじゃ……」
「構わねぇよ、もうすぐ切り上げるところだったし…………なぁ?これから少し時間いいか?少し話したい事があるんだが……」
「えっと……うん、今日はもう寝るだけだし少し位なら」
「すまない、それじゃ場所を変えるか。確か近くに休憩所があったはずだ」
~機動六課 野外休憩所~
「ほら、ブラックでよかったか?」
「うん、ありがとう」
場所を移し俺とハラオウン執務官は休憩所のベンチに座っている。先程の冷気で身体を冷やしてしまってはいけないので自販機でホットコーヒーを買った
「それで、話ってなに?」
「まぁ……その……折り入ってハラオウン執務官に相談があるんだ……」
「相談に乗るのは別に構わないけど、その前にそのハラオウン"執務官"って呼びづらくない?私は別に呼び捨てでも大丈夫だよ?それによると私も貴方のこと檜森って呼ぶから」
「あぁ……今度からそうするよ。それで、相談なんだけど……」
「うん…………」
「どうやったら、フォワードの皆と仲良くなれると思う?」
「??つまり……どうゆうこと?」
ハラオウンが首を傾げる、言葉が足りなかったか……
「えっとだな、近いうちに俺も教導に参加するだろ?だから、今のうちにもう少し距離感を縮めようと思ってな…………フォワードの皆は俺よりだいぶ年下だし、どうしても距離感ができるのは解るんだけど……特にルシエとか…………」
「そ……そうなんだ…………」(言えない……歳の差よりも貴方の顔に問題があるかもしれないなんて言えない…………)
「やっぱり……難しいか…………」
ため息を吐きながら俺はポケットからタバコを取り出し火を点けた
「タバコ……吸うの?」
「ん?あぁ、悪い。苦手だったか?」
「ううん別に、でも体に悪いよ?」
「家の使い魔にも散々言われたよ。だからこうゆう時くらいしか吸わないんだ」
「へぇ、檜森にも使い魔がいるんだ……」
「あぁ、狐が素体の使い魔で…………今、檜森"も"って言ったか?」
「うん、私にも使い魔がいるんだ。今はお互いに別々の所で頑張っているんだけど……」
「そうなのか……にしても、俺以外で使い魔を持っている魔導師は初めてだよ。ハラオウンの使い魔はどんな感じなんだ?」
「えっとね、名前は"アルフ"って言って狼が素体なんだけど…………」
いつの間にか俺達は使い魔の話で盛り上がっていた。使い魔といて楽しかった事、嬉しかった事、悲しかった事、辛かった事。気が付けば、結構な時間が経っていた。
「あ!いけない、もうこんな時間!」
「うわマジか!すまんハラオウン!少しだけのつもりだったんだが…………」
「いいよ、話し込んじゃったのは私も同じだから。それに、フォワードの皆ともさっきの私たちみたいに共通の話題で話し合えばきっと距離も縮まると思うよ」
「共通の話題か…………ありがとう。こんな時間まで悪かったな……それじゃ、おやすみ」
「うん、おやすみなさい。」
そう言って、俺とハラオウンはそれぞれの部屋に戻っていった
後書き
はい、そろそろ前置きなげぇよとか思っている人も居ると思いますが、次回からちゃんとアニメ本編に触れていきますのでよろしくお願いします
後、出来れば感想なども有ればお願いします
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