魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
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第二十一話 任務
前書き
短いですが、投稿。
季節は冬。
吐く息が白い色になる季節だ。
当然、屋上で昼食を食べるには寒すぎて誰も食べに来ない。
それ故に、今屋上で食べている全達四人だけの貸切状態になっていた。
「はい、全。あーん」
そんな中、アリサは全の弁当の中からから揚げを箸で取り出し、全の口元に運ぶ。
「……な、なぁ。もういいんじゃないか?」
「ダメよ、まだ完治したとは言えないんだから」
そんな風に言うのはるいだ。
るいの言うとおり、つい先日まで全の両手には包帯が巻かれていた。
そしてそれを見たアリサとすずかは物凄く慌てた。
何とか落ち着かせて説明はしたが、「それなら看病する!」と言って聞かなかったのだ。
全自身はあまり日常生活に支障はないのだが……いかんせん、ご飯が食べられない。
茶碗や箸を掴むと痛みがピリっと走るのだ。
それを見たるいが
「全、あーん」
はい、あーんをしたのが切っ掛けだった。
それから一日毎に変わって全にはい、あーんで食べさせ続けたのだ。
その日から全にとって昼休みは地獄の時間となった事だろう。
しかし、それも今日で終わり。包帯が取れて普通に生活出来るようになったからである。
しかし、それでもアリサは止めなかった。
理由として。るいが言った通りまだ完治していないからである。
全からしたら包帯が取れた時点で普通に生活出来るのではた迷惑だったのだが……アリサ達は善意でやってくれているので無柄にもできないのだ。
そして、今日も全は食べさせてもらう一日を過ごした。
「任務?」
「ああ、君にも引き受けてもらいたいんだが」
怪我が完治してから数日後。全はクロノに呼び出されアースラにやってきた。
そして呼び出された用件は何だ?と聞いたら先ほどの返事が返ってきたのである。
「その任務の内容次第だな」
「そうだな。強制はしない。内容を聞いて判断してもらって構わない」
それからクロノは任務の内容を全に話した。
今回の任務内容はある研究施設の調査。
何でもその研究所は今までも良くない噂などが立っていたらしく、今回管理局に調査してくれと依頼が来たらしい。
そして、その研究所がある世界に一番近い艦がアースラでありそこに依頼が来た。
「なるほど。同行者は?」
「今のところ、るいとフェイトとアリシアだ。ミサキ執務官にはバックアップをお願いしてある」
「高宮は?」
「聖はまだ静養中だ。君に負わせられた傷がまだ完治していないらしい」
「……大げさな」
全の言うとおりで、聖が負わせられた傷というのはあまり大きい物ではない。
恐らくだが、大体一週間程で普通の感覚に戻るだろうといった感じだろう。
あれから既に三週間は過ぎているのにまだ復帰出来ないとは……鍛え方が悪いなと全は思った。
「危険性はあるのか?」
「いや、そこまで危険性はないと踏んでいる。といってもあくまで予想だ。危険性がないとは言い切れない」
「それで、俺に声がかかったというわけか……」
「ああ、僕は当日ミッドチルダに出向しないといけなくてね」
「なるほど……わかった、引き受けよう」
全はこの依頼を受け入れた。
というのも全の脳裏にある可能性が出てきたからである。
「それじゃ、当日は頼む」
「了解した」
全はそれだけ言うとクロノの部屋を出て行った。
『マイスター。どうかされたので?』
「ん?何がだ?」
今は夜。シンは気になっていた事を主に聞いていた。
『いえ。今まではあまり関わってこなかったのに、その……依頼を引き受けられていたので……』
「ああ、その事な……」
と、全は寝返りをうって机の上に置いてあるシンと向かい合うようにする。
「まず疑問に思ったのはなぜ、本局の方で調べないのかだ」
『?それのどこがおかしいので?』
「おかしすぎる。これが届けられたのは本局だぞ。なぜ本局ではなく、その近場にいたというだけのアースラに依頼を解決するように言われた?」
『それこそ、他にも案件があって、とかではないですか?』
「それだけなら納得したが、もう一つ疑問が出た。実行される日にクロノが本局に出向になった件だ」
『偶然ではないですか?』
「確かに偶然でも片付けられるが、クロノはアースラの中心人物の一人だぞ。そんな奴が出向に行く日に実行される……明らかにクロノをアースラから遠ざけるのが目的としか思えん」
『な、なるほど……』
「以上の観点から、少しだけ嫌な予感がしたから依頼を引き受けたんだ」
そう、それこそが全が依頼を引き受けた理由。
選考された人物達の件でもだ。
るいは別に構わない。しかし、フェイトとアリシアが同時に任務に同行し、その場所が研究所。
「ホント、嫌な予感が拭えないな……」
全はそんな嫌な予感が消えないまま、当日を迎える事になった。
後書き
前半イチャイチャ。後半は……シリアス?どうなんでしょう?
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