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デート・ア・ラタトスク

作者:エミル
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ダブルデート





「な……何だこの人の数は!総力戦か!?」
「いや、違うって……」

街中での大量な人数に十香はそう叫ぶ。現在、士道は十香とデートをしていた。ただ、デートにはデートだが………

「なんでエミルとマルタまでいるんだよ!?」
「フッフッフ♪恋愛のことなら私に任せて!」
「マルタ…あまり街中で叫ばないでよ……」

士道と十香の隣にはエミルとマルタがいた。四人でデートする、つまり世に言うダブルデートである

「普通、ここは俺と十香が二人でデートした方がいいんじゃないか?わざわざダブルデートじゃなくても……」
「士道。その考え甘いよ。まるで熟されたアマンゴようにね!」

ビッ!とマルタは指を士道の鼻先に突きつける。というより……アマンゴとは一体何なのだろうかと一瞬、士道は疑問に思った

「十香と士道はデート初めてなんだし、私達はそのサポート役。まぁ、カップルとしての基本を見せるみたいな感じだね」

確かに士道は訓練したといっても、主にギャルゲーをやってただけであるし、こういう場面はマルタが訓練したのでまぁ……頼りにはしておこうと士道はそう思った

「さ、十香。早速デートしに行くよ♪」
「うむ!デェトだ!……ところでデェトとはどういう意味なのだ?」

疑問符を浮かべる十香以外の3人は同時にズッコケた。………前途多難だが、こうしてダブルデートが始まった

















「む………?何やら良い匂いがするぞ?」

十香が最初に目をつけたのは焼きたてのパンの匂いがするパン屋だった。十香は興味津々そうにパン屋を見つめる

「あー……十香…入りたいか?」
「入りたい。ちょー入りたい」
「確かに少し小腹も空いたしね」
「じゃ、入ろっか♪」

四人はパン屋に入るとその瞬間、ぐぎゅるるる──と十香のお腹が鳴る。十香は恥ずかしそうにお腹を押さえると、3人は十香は食いしん坊だなと心の中で思った





……それから十香はパン屋にあるきなこパンを気に入り、ほぼ完食した後、残ったきなこパンを紙袋いっぱいに詰めて歩きながらまた食べるのであった























それから一時間後。昼時になり、士道達は天宮大通りにあるカフェに入店した。メニューから料理を選び、それらが士道達のテーブルに運ばれ、食事をする

「うまいっ!パンもうまいがこっちもうまいなシドー!」
「はは……そりゃよかった」

既に十香以外は食事をを終わらせ、十香の気持ちいい食いっぷりを見ながらコーヒーを飲んでいた

「ぬ?シドー達はもう食べないのか?少食なのだな」
「まぁ……普通に1食分で足りるけどね」
「十香なんて凄いよね。5食分もう少しで完食だもん♪」

十香が頼んだ料理はオムライスにチーズインハンバーグ、マルゲリータにチキングリルにステーキがどんどん十香の口に運ばれていく

「あ、十香。ちょっと耳貸して」
「ぬ?マルタ何なのだ?」

マルタは士道とエミルには聞こえない声量で十香に耳打ちをする。それが終わると十香はフォークを手に取り、ステーキを刺して士道に差し出す

「ほら、シドー。あーんをしろ」
「ヘ!?あ、あーん……」

士道は差し出されたステーキをもぐもぐと食べる。さっきのあーんはマルタの入れ知恵したことを実行したのだろう。すると十香はニコッと笑うと

「一緒に食事するとは楽しいものだな」

士道に向かってそう言う。そんな十香の笑顔に士道も自然に笑顔になった。一方のエミルとマルタは二人を見ていてニヤニヤしていた

「何とか足りそうだな……」

伝票に書かれている代金を見ながら、レジに向かうとそこには女性店員のウェイトレスを着ている令音がいた。そしてコミカルなぬいぐるみもポケットから覗かせていた。なぜここにいるのかと思いながら代金を払うと、お釣りとレシートと一緒にメモのような紙があった

『こちらでサポートする。自然にダブルデートを続けたまえ』

メモにはそう書かれており、士道とエミルとマルタは頷くと令音も返すようにコクンと頷く

「……こちら商店街の福引き券です。当店を出て、右手道路沿いに行きますと福引き所があります。よろしければご利用ください」
「ど………どうも」

絶対に行けという感じがすごいした

「福引き?なんだそれは?おいしいのか?」
「いや……食べるもんじゃないからな……まぁ、運試しみたいなのができるんだよ」
「こっからだと少し近いし行ってみる?」
「よし!それじゃレッツゴー!」

四人は店を出て福引き所に向かっていった




















福引き所に着くと、そこにはハッピを着た〈早過ぎた倦怠期(バッドマリッジ)〉川越に〈社長(シャチョサン)〉幹本が士道達が来るのを確認すると親指をグッと立てる。フラクシナスのクルーも大変だと3人は思った

「これを回せばいいのだな?シドー」
「おう!良いのを当てろよ!!」
「うむ!では……当たれ────!!!!」
「十香!回しすぎ回しすぎ!!」

そして抽選機からは赤い玉がコロンと出た

「あーこれはハズ───」
「残念だけどポケットティ───」

エミルとマルタがそう言いかけた時、幹本が手に持つ鐘をカランカランと鳴らした

「おめでとうございます!大当たりです!」
「「「………はぁ!?」」」

十香以外の3人はハモるように驚きの声をあげる。すると、幹本の後ろで後ろに貼っている賞品ボードの1位の隣には金と書かれているが、それを黒のマジックペンで塗りつぶし、赤に変えられていたのを見て声を出すのをやめる

「一等はなんと!アカツキランドの完全無料ペアチケットです!裏に地図も書いてあるので是非行ってみてください!」
「おお!シドー達!!早速行ってみるぞ!!」

十香が乗り気なので四人はとりあえずアカツキランドに向かっていった























「凄いぞ!シドー!!城があるぞ!!」

四人はアカツキランドに着くと、士道はその場で凍りついた。確かに西洋風のお城で、看板にはアカツキランドと書いてある。その下には『ご休憩・2時間4500円〜ご宿泊・9000円』と書かれている

…………つまり、ここは大人しか入れないいわゆるラ○ホというやつだ

「さて、中に入ってみるぞ!」
「どんなのがあるんだろう……」

十香とエミルは何の躊躇いもなく入ろうとするが、その進行を士道が阻む

「ふ、二人共!……ここはやめとこう!?エミルに十香!!なっ!?」
「エミルがいいなら………私はいいけど……」
「マルタも行かないでくれー!」

士道は何とか3人を説得して事なきを得た。十香には悪いが、さすがにそこまでは無理である。士道は上空で一部始終を眺めてる琴里に睨みつけて来た道を戻った









 
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