FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
生きる者たちよ
「いったぁ~・・・」
「あい~・・・」
地上に降りた(落ちた?)グレイたちは伸びてしまっている。しかしすぐにルーシィはハッピーの顔を掴む。
「てか一人しか持ってないあんたがなんで落下するのよ!!」
「ルーシィが重「その場のノリって大事だもんねーー!!」」
「何をやっているのだお前らは・・・」
ルーシィは自分で質問したのにハッピーの言葉を遮るように顔を引っ張ったり縮ませたりする。あとからゆっくりと降りてきたエドシリルはそんな二人をあきれた表情で見ている。
「エルザは?」
「向こうのエルザのところね」
グレイが頭を押さえながら体を起こす。だが、すぐに全員を何かが襲ってくる。
「敵!?」
「どこだ!?」
シャルルとグレイがそういうと、グレイたちを囲むようにたくさんの王国軍が姿を現す。
「こいつらゾロゾロと・・・」
「まるで虫が湧いてきたかのようだな」
「みんな、もうやめてよう」
「やるしかないわね」
グレイたちは立ち上がり、王国軍に向かい合う。だが、王国軍の撃った攻撃は、四人にではなく、ハッピー、シャルル、セシリーを襲う。
「うわぁ!!」
「きゃあ!!」
「ひゃあ!!」
「ヤロウ・・・」
辛うじてレーザー避けた三人、グレイは王国軍に応戦するが、王国軍はハッピーたちへの攻撃をやめない。
「なんでハッピーとシャルルとセシリーばっかり!!」
「逃げたエクシードどもは、ほとんど魔水晶に変えた」
「「「「「「「!?」」」」」」」
「後はそこの三匹のみ!!おとなしく我が国の魔力となれぇ!!」
王国軍はハッピーたちにレーザーを放つ。ハッピーはシャルルとセシリーの手をとってかわす。
「自分たちの魔力のために、エクシードはどうなっても構わねぇってのか!!」
グレイは両手を合わせて魔法の準備をする。王国軍はそんなグレイを止めようと飛びかかる。
「それがこの世界の人間なのか!!」
しかし、グレイはそんな王国軍を地面から氷を出現させて凪ぎ払う。
「第三水魔法、津波!!」
エドシリルも同様に、怒りを露にして王国軍に魔法を撃ち込む。
「仲間はやらせねぇぞ!クソヤロウども!!」
「天輪・三位の剣!!」
「重力の鎗!!」
一方、エクスタリアでは、妖精女王と妖精狩りの激しいぶつかり合いが繰り広げられていた。
「氷炎の鎗!!」
エドエルザはテン・コマンドメンツを二つに分断し、片方に炎、もう片方に氷を宿してエルザに斬りかかる。だが、エルザはそのすべてを避け、換装を行う。
「明星・光粒子の剣!!」
エルザの剣から放たれた光がエドエルザを飲み込む。だがエドエルザも一歩も引かない!!
「封印の鎗!!」
「魔法を切り裂いた!?」
「音速の鎗!!」
エドエルザは光の粒子を切り裂き、そのままエルザをすさまじいスピードで突く。
「くっ!!」
突かれたエルザはあまりの勢いに押され、建物を突き破りながら飛ばされていく。
「うわあああああ!!」
「もらったぁーー!!」
エドエルザは無防備なエルザを仕留めようとするが、エルザは両足で剣を持ち、その攻撃を防ぐ。
「何!?」
攻撃を防がれたエドエルザは驚き、防いだエルザはニヤリと笑みを浮かべ、二人はそのまま戦いを続ける。
一方、シリルたちは・・・シリルside
「がはっ!!」
「ぐあ!!」
「きゃっ!!」
「ぐはっ!!」
俺たちはドロマ・アニム黒天の前に、無惨にも弾き倒される。
『フハハハハハ!!貴様らに勝ち目はないぞ!!』
「みんな魔力がねぇって苦しんでるのに、王様ってのはずいぶん大量に持ってるんだなぁ』」
ナツさんは立ち上がり、ドロマ・アニム黒天を見据えて言う。確かに・・・相当量の魔力をあのドロマ・アニム黒天は消費しているはずなのに・・・全く力が衰える気配がない。
『フフフ。王が民から国税を取るのは当然であろう?このドロマ・アニムは、常に世界中の魔力を吸収し続ける、究極の魔導兵器!!ゆえに、禁断の兵器でもある。起動させたからには、世界のために勝つ義務がある!!』
「何が世界よ・・・!!」
「勝手に魔力を奪っておいて・・・よくそんなことが言えたもんだ!!」
「貴重な魔力を国王が浪費するなんて・・・世界のためになってないだろ!!」
ファウストの自分勝手な言い分に、ウェンディ、ガジルさん、俺が言う。
「俺たちは生きるためにギルドに入ってるからなぁ・・・世界のことなんか知ったこっちゃねぇけど・・・この世界に生きる者のために、お前を倒すんだ!!」
俺たちは今を生きる者のために・・・絶対に勝つんだ!!
第三side
「開け、獅子宮の扉、ロキ!!」
「待たせたね」
ルーシィがロキを召喚すると、今度はちゃんと本物のロキが現れ、ロキは王国軍に突進していく。
「シャルル!!セシリー!!こっち!!」
「うん!!」
「ハッピー・・・」
ハッピーたちは戦っているルーシィたちからできるだけ離れたところに移動しようとする。
「やぁっ!!」
「はぁっ!!」
王国軍に対し、ココは蹴りをかまし、エドシリルはパンチを入れる。
「撃てぇ!!」
王国軍は銃を構えてエドシリルたちに発砲する。
「魔法弾!?」
「ったく!」
魔法弾をルーシィたちはよける・・・しかし、その内の一発がハッピーの方へと飛んでいく。
「うわぁ!!」
「ハッピー!!」
「危ない!!」
ドガァ
ハッピーに当たりそうだった弾丸を、シャルルがハッピーを庇ってもろに受けてしまう。
「きゃあ!!」
「「シャルル!!」」
ハッピーとセシリーは倒れたシャルルに駆け寄る。
「やべ・・・エクシードに当てちまった!!」
「バカやろう!!あれは俺たちの魔力になるんだぞ!!」
誤ってシャルルに魔法弾を当ててしまった王国軍の一人に対して、隣にいた王国軍がそう言う。
「シャルル~!!」
「しっかりして!!シャルル!!」
セシリーとハッピーがシャルルの体を揺するがシャルルは苦痛に顔を歪めたまま倒れている。
「クソ!!数が多すぎる!!」
「きゃああ!!」
ロキが王国軍の数にの多さにぼやき、ルーシィが魔法弾を背後から受けてしまう。
「まだまだぁ!!」
グレイは魔法弾を撃ち続ける王国軍を凍らせるが、
「「ぐああああ!!」」
上から襲い掛かってきたレギオンによって二人は殴り飛ばされる。
「第二水魔法、洪水!!」
エドシリルが洪水で王国軍を流し去ろうとしたが・・・
「うああああ!!」
後ろからの魔法弾を浴びて倒される。
「「!!」」
ルーシィとココも次々と撃ち込まれる魔法弾に当たってしまう。
「このままじゃ、みんな死んじゃうよ・・・」
ハッピーが次々と倒されるルーシィたちを見て涙を流す。
「誰か・・・助けて~・・・」
セシリーが涙を浮かべてうつむきながら言う。
王国軍は倒れたルーシィたちを囲み、槍の突きつける。
絶対絶命のその時、地面から紫色の木が生えてきて、その木がレギオンたちの首に巻き付き動きを封じる。
「な・・・なんだこれは!?」
「木が生き物みてーに」
「な・・・なんだ・・・!?」
王国軍とグレイは突如出現した木を見て驚く。
その木は地面からどんどん伸びてきて、やがて大きな木となる。
「ま・・・まさか・・・」
「逃げてばかりの奴等が・・・」
王国軍はその木に掲げられているギルドマークを見て口々に言う。
「行くぞぉぉ!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」
「仲間との絆の力、見せてやろーぜ!!」
その木の中から出てきた人間たちが王国軍に突進する。
「エドラスの・・・」
「妖精の尻尾~・・・」
ハッピーとセシリーは、助けに来てくれたエドラスの妖精の尻尾を見て笑顔を見せる。
「すまねぇ。遅くなったな、アースルーシィ」
「エドルーシィ・・・」
二人のルーシィは互いを見て微笑み合う。
「行けぇー!!」
「王国軍をなぎ倒せー!!」
「ナツ!!頑張ろう!!」
「うん!!アースランドの妖精の尻尾が戦ってるんだ。僕たちだって戦うんだ!!」
エドラスの妖精の尻尾は王国軍との戦闘を開始する。そんな中、傷だらけのアースルーシィにエドルーシィが肩を貸す。
「立てるか?アースルーシィ」
「うん、ありがと」
「Wーシィ~」
そんな二人のルーシィを見てロキは目をハートにしている。
「「オレ!?つーか服・・・」」
「脱げよ!!」
「着ろよ!!」
一方グレイは、互いの格好に驚愕している。
「グレイが二人とかありえない!ジュビアピンチ!!」
「な・・・なんてうらやましい!!」
「は?」
「お前は俺なのに何も感じないのかよ!?愛しのジュビアちゃんのあの姿を見て!!」
「愛しのジュビアちゃんだぁ!?」
「ジュビアちゃ~ん!!愛してる~!!」
「だぁ!!うるさい!!」
エドグレイはジュビアが王国軍を絞めている光景を受け、鼻息を荒くする。一方のグレイはそんなエドグレイを見て引いてしまう。
「シリル!!」
「ウェンディ・・・」
エドシリルを見つけたエドウェンディは手を差し出してエドシリルを立たせる。
「大丈夫?」
「ふっ・・・無論だ。俺を誰だと思っている」
心配するウェンディとなぜか得意気なシリル。ウェンディはそんなシリルに抱きつく。
「お、おい!!」
「お帰りなさい・・・シリル・・・」
「・・・ただいま、ウェンディ」
二人はそういって離れると、二人揃って王国軍に突撃していく。
「見て、シャルル・・・」
「妖精の尻尾が助けに来てくれたよ~」
ハッピーとセシリーの声が聞こえたのか、目を開けて戦っている妖精の尻尾を見つめる。
「オイラたちの思いが」
「この世界を動かしてるんだ~」
二人は嬉し涙を流し、戦っている妖精の尻尾を見つめる。
「ナツ!!しっかり!!」
「ありがと!リサーナちゃん」
「俺たち最強!!」
「シャドウ・ギアーー!!」
「あんたたち!!ルーシィより手柄とるよ!!」
「アルアル!」
「行くよ!!ピスピス!!」
そういって戦うエドラスの妖精の尻尾は、まさにアースランドの妖精の尻尾のようであった。
「どこに行っても、騒がしいギルドなんだから・・・」
あきれたような口調で言うシャルルだが、その顔にはまんべんの笑みが見受けられる。
一方エルザは・・・
「はああああっ!!」
エルザに斬りかかるエドエルザ、しかしエルザはそれを足で持った剣で攻撃を防ぎ、そのままエドエルザを斬りつける。
「ぐっ!」
エドエルザはそれをテン・コマンドメンツで防ぐが、体勢の崩れたその隙にエルザは剣を足から手へと握り直す。
二人はそのまま互いに向かって飛び、剣と槍がぶつかり合う。
「スカーレットォ!!」
「ナイトウォーカー!!」
二人がぶつかり合ったせいか、大爆発が巻き起こる。二人はその爆発を中心に距離をとる。しかし、二人はかなり消耗したのか、肩で大きく息をしている。
「ここまで互角とはな・・・」
「互角?違うな。貴様はまだテン・コマンドメンツの最終形態を知らん」
エドエルザがそう言うと、テン・コマンドメンツは光を放ちながら形を変えていく。
「聖鎗、レイヴェルト!!」
その槍は先程までの槍とは一味違う、神秘的な槍へと変化した。
「エドラス最高の鍛冶屋が鍛えた聖なる槍。この一撃は天下を轟かす究極の破滅」
それを聞いたエルザも、自らの鎧を換装させる。その鎧は、ピンク色に輝く鎧。
「妖精の鎧!!この鎧がギルドの名を冠する由来は、言うまでもなかろう」
「最高の魔法と言うわけか。面白い!!」
「来い!!」
二人は互いに槍と剣を向けて、叫びながら突進する。
「「オオオオオオ!!」」
二人の意地と意地がぶつかり合ったとき、エクスタリアが砕けた。それと同時に、二人の最高の魔法が跡形もなく砕け散る。
「れ・・・レイヴェルトが・・・」
「よ・・・鎧が・・・」
二人は自分の槍と鎧が破壊されたことに驚きを感じたが、自らの乗っている浮遊島が沈み始めたことで正気に戻る。
「今の衝撃で浮遊島の浮力が失われた」
「もう互いに魔力も残っていない・・・それでも!!」
エドエルザはエルザに拳を向けて走り出す。
「貴様を討つ!!」
「ぐっ!!」
顔を殴られるエルザ、しかし、負けじとエドエルザの頭を殴り返す。
先程までの槍と剣のぶつかり合いから一転、勝負は肉弾戦へと持ち込まれる。浮遊島はなおも落下を続けている。
一方、シリルたちは・・・シリルside
『何度立ち上がろうと、貴様らはこのドロマ・アニムには勝てん!!魔力を持つものが世界を制する!!それがこの世界の必然だ!!』
ドロマ・アニムの右腕から俺たちに向かって魔法弾が撃たれる。俺たちはそれをなんとかかわす。
「自分の都合のいい理屈ばっかりこねてんじゃねぇ!バカやろう!!」
「必然だか何だか知らねぇが、こんなもんは俺たちがぶっ壊してやる!!」
「俺たちは絶対お前を倒してやるんだ!!」
「天竜の咆哮!!」
ウェンディが天竜の咆哮で対抗するが、ドロマ・アニム黒天の盾によって防がれてしまう。
『フハハハハハ!!魔力の無駄遣いはやめてほしいな!!貴様らの魔力は全てワシの物なのだから!』
「冗談抜かせ!!俺の魔力は俺の物だ!!他の誰の物でもねぇ!!」
「そうだ!!ましてやお前なんかの物であるはずがない!!」
ガジルさんはドロマ・アニム黒天の後ろに回り込み、俺は正面から飛び込む。
「鉄竜棍!!」
「水竜の鉄拳!!」
『フン』
ガジルさんが鉄竜棍を、俺が鉄拳を撃ち込むが、突然ドロマ・アニムが光を出して俺とガジルさんを撃ち落とす。
『貴様らの魔力も、命も、全てはワシの所有物だ!!フハハハハハ!!』
ファウストは高笑いをし、俺たちはドロマ・アニム黒天の圧倒的な力に息を乱す。
「ふざけんなぁ!!」
ファウストの言い分にナツさんは怒り、拳を握り叫んだ。
第三者side
一方、王国軍と戦っているエドラスの妖精の尻尾たちは、激しい戦いを繰り広げていた。
「ジュビアちゃん!かっこいい!!」
「くっつくな!!お前も向こうのグレイみたいに、少しは身軽になれ!!」
「ガーン・・・」
エドグレイはエドジュビアを褒めるが、エドジュビアに怒られてしまいショックを受ける。
そんな中グレイは、一人の王国軍の胸ぐらを掴み持ち上げる。
「てめぇら!本気で自分等が間違ってねぇと思ってんのか!?」
「そ・・・それは・・・」
「そんなことないわ。この中にも、国王に反対している者はいるはず」
エドミラはそう言いながら剣を振るって王国軍を凪ぎ払う。
「逆らえば命がないから、やむなく従っているのよ!」
「争いなんて、虚しいばかり・・・」
今度はどこからともなく現れたエドカナが悲しそうな顔を浮かべながら言い、
「みんなでティーパーティーでもする方が、よっぽど楽しいですのに!」
魔法少女のような杖で王国軍の顔を叩く。言ってることとやってることが違うような・・・
「それでも今は、こいつらを撃退するしかない!!」
「ところでアースルーシィ」
ムチを構えて王国軍に向かい合うルーシィにエドルーシィが話しかける。
「そこのメガネって、お前の彼氏か?」
「!!違う違う!!この人は・・・」
エドルーシィの言葉を否定しようとするが、それよりも先にロキがエドルーシィに近寄る。
「やっぱりそう見える?同じルーシィだから、わかっちゃうのかな~?」
キラキラしながらロキは言うが・・・
「あたしはチャラい男は嫌いだ!!」
「チャラ・・・!!」
エドルーシィにフラれてしまい、ロキはショックを受けていた。
「ハッピー・・・セシリー・・・」
「うわあああ!!」
「ヤバイよ~!!」
倒れているシャルルを守っているハッピーとセシリーは、流れ弾が大量に飛んできてあわてふためく。
「ハッ!!」
「そりゃ!!」
しかしそれをエドウェンディとエドシリルが全て弾く。
「エドラスのウェンディ!!」
「それとシリル!!」
「俺はついでかよ!?」
エドシリルはハッピーとセシリーの自分への扱いにショックを受けている。
だがウェンディは気にした様子もなく、ハッピーたちに駆け寄っていく。
「あなたたち、エクシードね。大丈夫?一緒にいてあげようか?」
「ありがとう。でも平気、ハッピーとセシリーがいてくれるから」
するとウェンディはシャルルを持ち上げて岩場の影へとつれていき、岩に座らせる。
「私たちも近くにいるわ。何かあったら守ってあげる。安心してね」
ウェンディはシャルルに優しく話しかけ、王国軍と戦うシリルの元に戻っていく。
「エドラスのウェンディも優しいね」
「うん」
「そうだね~」
ハッピーたちはウェンディとシリルの背中を見てそう呟き、二人が共闘している姿を見つめる。その二人の表情は、危険な状態なのに、笑っているように見える。隣にいる仲間と共にいるのが楽しいかのように。
「よかったね!エドラスのウェンディ」
「エドラスのシリルもね~」
「二人とも・・・やっと会えたんだもんね」
三人はそんな二人を笑顔で見ていた。
一方、落下していく浮遊島の上で・・・
「私は永遠の魔力のために、負けられない!!」
「ぐあっ!!」
エドエルザはエルザの頭を地面に押し付ける。
「貴様の言う永遠は、どれだけの一瞬の犠牲の上にある!!」
「ぐあっ!!」
エルザはエドエルザを巴投げで後ろに叩きつける。
「押さえつけ奪い、威圧して奪い、他を憎み、他を滅ぼす」
「それが人間だ!!」
二人は同時に立ち上がる。しかし、エルザがエドエルザよりも早くパンチを入れる。
「人は、もっと人を愛するものだ!!大切な者たちのために立ち上がり、涙を流す者たちのために剣をとる!!」
エルザとエドエルザは互いに頭をぶつけ合う。
「お前はこの世界の悲鳴を感じないのか!?ナイトウォーカー!!」
「世界の悲鳴など、貴様より感じているに決まっているだろう!!」
「ぬぐ!!」
エドエルザはエルザの顎に膝蹴りを入れる。
「魔力の枯渇!!そのために私は・・・」
「違う!!世界とは“生きる者”の事だ!!」
エルザはエドエルザの手を掴み、投げ飛ばす。エドエルザは島の縁に転がっていくが、なんとか落ちずにこらえる。
「この世界は死にゆく世界、魔力が枯渇し、死に至る世界なのだ!」
エドエルザはエルザを何度も何度も殴る。
「アースランドの貴様には分かるまい!!魔力が無くなる不安・恐怖・絶望!!私たちは永遠の魔力を手にしなければ生きられないんだ!!」
エルザはエドエルザの腕を掴む。
「私たちは生きているだろ、今!!魔力が無くても生きている!!」
「!?」
エルザはエドエルザに詰め寄る。
「互いを見ろ!!魔力などとうに尽きてる!!それでも人は死んだりしない!!弱さも恐怖も全て乗り越えていく強さがある!!それが生きる者だ!!
いいかエルザ!!お前の中には私の持つ邪悪も弱さもある!!だから人々を愛する心も必ずあるんだ!!生きる者の声を一心に聴け!!」
(これがエルザ・・・私・・・なのか?)
「本当の声で語るんだ!!」
エルザにそう言われ、
(あれ・・・?涙・・・?)
エドエルザは涙を流した。
「お前は一人じゃない!!」
二人を乗せた浮遊島は、そのまま地上へと落ちていった。
浮遊島の落ちたところは大きなクレーターになっていた。
二人のエルザは、そのクレーターの中で大の字になっている。
「も・・・もう動く力も残ってない・・・」
「だが・・・生きてるぞ・・・」
「敵わんな。お前の勝ちだ、スカーレット」
「勝ちも負けもあるものか。同じエルザだ」
「・・・そうか」
二人のエルザの戦いは、今ここに幕引きとなった。
その頃、エドラス王都の城の中では、二人の男があることをしようとしていた。
「ここは・・・アニマを造り出す部屋」
部屋に入ったリリーは辺りを見回しながら言う。そして、前方を歩いているジェラールに話しかける。
「王子・・・いったい何を?」
「私は長いことアースランドを見てきた。争いもあるが、豊かな世界だった。きっと受け皿になってくれる」
「王子・・・まさか!!」
リリーはジェラールが何をしようとしているのかに気づき、焦る。
「いくらなんでもそれは暴論すぎる!!」
「この世界の争いを根絶するにはこれしかない。人と人がきちんと向き合える世界を作るんだ」
ジェラールはリリーの方を向き直る。
「アニマを逆展開し、この世界全ての魔力を消滅させる」
ジェラールは真剣な眼差しで、リリーにそう伝えた。
後書き
いかがだったでしょうか。
次回はいよいよドロマ・アニマとの戦いクライマックスです。
次回もよろしくお願いします。
ページ上へ戻る