白犬と黒猫
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4部分:第四章
第四章
杯を手にしながらだ。静かに微笑んで話した。
「そうなればいいと願います」
「そなたは胸が悪い。それでもな」
「安らかに安めよ」
二人も優しい微笑みを浮かべて沖田に話すのだった。そうした話を三人で酒を飲みながら話したのだった。沖田が胸を病んでいることは彼等のみが知っていた。
その中でだ。今度はだった。
ある日沖田が見回りに夜の町を歩いているとだ。ある宿の前に。
何かがいた。それは。
「犬!?」
「犬だな」
「そうだ、犬だ」
仲間の隊員達が口々に言う。それは確かに犬だった。そしてその犬は。
「白犬な」
「何故こんな場所にいるんだ?」
「この宿の飼い犬か?」
「まさか」
「いや」
しかしだ。ここで沖田は近藤が酒の場で話していたことを思い出してだ。そのうえでこんなことを話したのだった。そのことはというと。
「確か」
「確か?」
「確かというと」
「少し聞いてみましょう」
こう同僚達に言う沖田だった。
「ここはです」
「ここは?」
「というと宿に」
「宿で、ですか」
「はい、聞いてみましょう」
何を聞くかもだ。彼は言った。
「この宿の人にです」
「わかりました。それでは」
「そうしましょう」
こうしてだった。彼等は宿の者に尋ねるのだった。その尋ねることは。
「あの犬は何なのだ?」
「宿の前に白犬がいたが」
「あの犬は何なのだ?」
「この宿の飼い犬か?」
こう尋ねる。しかしだった。
宿の者はだ。こう彼等に答えた。
「いえ、何も」
「何もというと?」
「あの犬はか」
「この宿の犬ではないのか」
「はい、うちでは犬なぞ飼ってはいません」
そうだとだ。宿の者は話すのだった。
「ましてや白犬とは」
「ではあの犬は何なのだ」
「宿の前にずっといるが」
「この宿の犬ではないとなると」
「それでは」
「では、です」
沖田はここで、だった。宿の者にこう尋ねたのだった。
「若しかして今日この宿で誰か亡くなりましたか?」
「えっ、何故そのことを」
宿の者は沖田の問いに驚いた顔になってだ。
そのうえでだ。彼に言うのだった。
「おわかりなのですか?」
「やはりそうだったのですか」
「ええ、実は」
その通りだとだ。宿の者は沖田に答える。
「うちの大おかみが」
「そうでしたか。やはり」
「やはり?」
「あっ、こちらの話で」
沖田はこのことは言わずにだ。それで彼に応えたのだった。
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