妄想全開男子
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雨〜「死にたい」
午前8時。駅のホーム。
「死にたい」
俺はこの言葉を口癖のように使っている。
これは本当に「死にたい」ってことじゃなくて、何もかもを放り投げ俺を知ってる人がいないハワイに行きたいって感じに思ってくれればいい。ついでにバカンスを楽しみたい。
まぁ、簡単に言うと現実逃避ですな。
だけど前言撤回させてもらう。俺はもう現実から逃げたりはしない。死にたくもない。立ち向かうと決めた。
いや実際に立ち向かうわけじゃないよ?今まで二次元とかしか興味がなかったから、三次元に視点を少し移してみようかなって感じです。
「あ~もうびちょびちょだよ~」
その原因を作り、非モテ童貞ひねくれ高校生から俺を脱却してくれる人が目の前でびちょびちょに濡れているじゃありませんか!
JK!JK!艶かしい!
JK自体ただ騒がしく目障りな動物程度にしか見てなかったが、今!まさに今、自分の考えを改めなきゃいけないと思いました。
いつもは嫌いな雨が、天がくれた聖水にしかみえない。
雨で濡れたワイシャツが肌にくっつき、緑色のブラが透け、髪が雨でビショビショになってるJKをみたら誰だって雨に感謝するだろ。
雨大好き。もっと降れ!特に傘を持たない可愛いJKに集中的に降れ!
なんだこの鼓動は?もしかしてこれがネット小説で書かれていた「恋」ってやつか?あんなもの誰かの作り話だと思っていたが、本当のことだったとは恐れ入る。
なるほど。これが恋か。スッゲー興奮する!
「スカートも絞らなきゃじゃん!もう最悪~」
俺は最高ですけどね、あなたのおかげで!
うわ~、スカート絞ってる時にチラチラと見えるJKの生太ももマジ神だな。あの太ももの間に挟まれて頬をすりすりしたい!
あんなに大胆に絞ってるのに全くパンツが出現しないのがまたいい‥‥ってなぜ現れない?あそこまでスカートあげてるのに‥‥。おいおいこれって‥‥。
まさかあの子パンツ穿いてないんじゃ!
おいおいいいのかよ社会的に。パンツはかないJKって、それ最早テポ◯ンくらいの軍事破壊兵器くらいの日本を脅かす破壊力はあるぞ。
俺今日どんだけついてんだよ!
今朝は朝食食べれず、犬のフン踏んで、階段で転んで、財布の中に電車の行きの分しかお金入ってないとわかって、散々だったけどそんな悲しい俺に神がくれた祝福、チャンスタイムとでも名付けようか、俺の人生に光が見えてきた!
もちろん犯罪を起こすわけじゃないよ?見るだけ。鑑賞するだけ。誰にだって眺望権はあるはずだ。この時に眺望権を使うのかよくわからないけど。
「あっ!」
あ、やべ今目あっちゃった。
ごめんなさいごめんなさい眺望権とか主張しちゃってゴミクズ以下の俺という存在がそのようなしゃしゃり出た考えを持ってしまってごめんなさい。
っと、いつもは心の中でひ弱な性格を自分で自分を欺いているが今は違うぞ。俺は見てたぞ!彼女の目があった後の行動を‥‥。
目を逸らして、そっぽ向いたよな?
ははーんこれは‥‥
完全に俺に惚れている。
完全ってとこがミソだね。
普通の女の子だったら、嫌な顔したりとかきもいとかいったりするだろうけど、あの子は何もせずにただそっぽを向いた。しかも、朝の駅のホームでノーパンときた。
これは完全に俺を誘ってやがる。
やっべどうしよ。
俺から告ったほうがいいのかな?いや、俺からは無理だ。知らない人にしゃべりかける勇気なんて持ち合わせていないし、ここ数年女の子とまともな会話をしたことがない。
あるとすれば母ちゃんくらいだろうけど‥。
とりあえず俺からってのが無理だから、あの子から俺に告白してもらおう。頑張れ彼女!
そのためには、そうだなー。
話しかけやすい雰囲気を出そう。
彼女を抱きしめやすいように両手をフリーにして置く必要があるな。
俺はスクールバッグと傘をその場にドサっと落とした。
これだけじゃ彼女はまだ話しかけずらいよな。それじゃあ自然な笑顔を作って安心させよう。
ニタァ
これで完璧。俺は本当優しいやつだな。俺に気がある子に告白させやすいような状態を作ってあげるっていう高等テクニックを実践してやってんだからな。
これでいつ抱きつかれても即座に対応できる!気づけ!最高の状態を保っている俺に気づけ!
それにしてもエロすぎる。
白く艶やかな彼女の肌が、俺の体の一部を熱くする。
「クシュン!風邪ひいちゃうよ~」
なんとも可愛らしいくしゃみだ。きっと清楚系だな。
それよりも風邪?それは困る。俺の将来のお嫁さんが、こんな公共な場でぶっ倒れてはあまりにかわいそうだ。
ハンカチでも持ってれば、少しでも助けになれるのに。
あ、持ってても差し出す勇気ないわ。
ポケットの中を一応探してみるが、思った通り見当たらなかった。
まずハンカチを持って行くって習慣自体ないしあるわけないよな‥‥。
あ、でもタオルなら持ってるかも!今日体育で必要だって聞いたからな。
カバンの中をぐちゃぐちゃにかき混ぜ、白のタオルを一枚引き抜いた。
あったあった!これで彼女は風邪を引かずに済むぞ!
でも、タオルに「ウェルカム株式会社」とか書いてあるけど、今はそんなの気にしてる場合じゃないな。
彼女の健康が第一だ!
俺はタオルを肩にかけ、いつでも彼女が取りやすいようにした。
完璧だ!機動戦士ガ◯ダムくらい完璧だ!
これで後は彼女が俺に告白をするのを待つだけとなったな。俺からしてやれることはもう無いぜ。
「あ!」
彼女は突然俺に向かって手を振って走ってきた。
これはこれはこれはこれは!
きたーーーーーーーーーーー!!!
彼女がとうとう俺に駆け込んできた!!!
はいウェルカム!タオルもあるよ!
さあ飛び込んできたまえ俺の厚き胸元に!
「あおー!ちょっと聞いてよ傘忘れちゃってマジ濡れしちゃた~」
彼女は俺の横を素通りし、後ろにいた友達に向かって走って行っていた。
「と言うよりあれなに?きもいんだけど?」
「なんかさっきからずっと見てきたの!しかもタオル背負い出してマジうけた」
「こわっ!あんま近づかないほうがいいんじゃない?あ、電車きたよ」
俺は彼女達とは2車両離れその電車に乗った。
今朝から一向に止む気配を見せないどんよりとした雨は、俺の気持ちと比例して尚、強く激しさを増した。
電車内は座席が空いていたが、俺はあえて扉側に留まり、どんよりとした雲を眺め呟いた。
「死にたい」
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