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美しき異形達

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第五十三話 山師その一

                 美しき異形達
             第五十三話  山師
 博士はこの時友人達と共に自身の研究室にいた、そこで書を読んでいたがこの時にだ。友人達が彼に声をかけた。
「ねえ、牧村さんだけれど」
「ここ三日来ないね」
「大丈夫かな」
「何かあったんじゃないかな」
「いや、彼は大丈夫じゃ」 
 博士は安心しきっている声で答えた。
「絶対に戻って来る」
「まあね、あの人強いからね」
「それも神様を倒せる位に」
「怪人位だとね」
「何十人いても問題ないよ」
「そうじゃ、彼の強さは相当じゃ」
 彼への絶対の信頼さえだ、博士は口にした。
「だからじゃ」
「死ぬことはない」
「絶対に生きて帰って来る」
「そう言うんだね」
「うむ、そろそろじゃろう」
 博士はこうも言った。
「全てを終わらせる情報を持って帰って来てくれる」
「それじゃあ僕達はだね」
「ここで待っていればいいんだね」
「お菓子でも食べて」
「そうして」
「酒でもよいぞ」
 博士はリラックスさえしていた、いつもの様子だ。
「焼酎があるぞ」
「あっ、焼酎あるんだ」
「それはいいね」
「うむ、それ程高級なものではないがな」 
 焼酎といってもそれぞれだ、むしろ安い酒だ。しかしその焼酎でも高いものは高いのだ。酒はそれぞれである。
「どうじゃ」
「いいね、焼酎」
「強くてすぐに酔えるしね」
「じゃあそれ飲もうか」
「そうしようか」
「菓子ならケーキがある」
 所謂洋菓子である、その代表と言ってもいい。
「チョコレートケーキがのう」
「あっ、そっちもいいね」
「チョコレートケーキもあるんだ」
「ううん、焼酎もあればケーキもある」
「どっちもなんだね」
「焼酎の肴には柿ピーナツがあるぞ」
 それがというのだ。
「それもじゃ」
「ううん、難しいね」
「どっちにするのか」
「焼酎だとケーキには合わないからね」
「それはね」
「洋菓子には洋酒じゃが」
 しかしとだ、ここでまた言った博士だった。
「今は洋酒はない」
「ワインとかブランデーは」
「そしてラムとかも」
「ウイスキーも」
「うむ、どっちかになる」
 焼酎かケーキ、二者択一だというのだ。
「楽しむのならな」
「難し選択だね」
「焼酎かケーキかだね」
「どっちにするか」
「難しい選択だね」
「わしも迷っておる」
 博士自身もだというのだ、どちらにするかということは。 
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