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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第十一幕その四

「お喋りに集中してるから」
「だからなんだ」
「食べるのが遅いんだ」
「それでなんだ」
「まだ食べてるんだ」
「そうみたいだね、あと」
 ここで先生はこうも言うのでした。
「あの子達ははじめてのデートだから」
「だからお喋りにも慣れてない?」
「見ればかなりぎこちないね」
「必死に話題を出してお互い合わせて」
「それでね」
「必死にお話して」
「もうお互い慣れていなくてしかも緊張してて」
 それで、というのです。
「大変なね」
「そんな調子だね」
「食べてはいるけれど」
「お喋りに苦労してて」
「大変ね」
「それでなんだ」
「うん、あれじゃあね」
 それだけお喋りに苦労していてはというのです。
「食べるのも遅いよ」
「それなりに食べてるけれど」
「それでもね」
「まだ結構残ってるから」
「じゃああと少しは」
「ゆっくりしていようか」
 こうお話してでした、先生と皆はです。
 お二人が食べ終わるのを待ちました。二人も暫くしてからカレーライスを食べ終わってそうしてなのでした。
 スナックコーナーを後にします、その次に向かったのは。
 観覧車でした、そこに向かう時にです。
 先生の右肩にとまっているポリネシアが右手を見てです、先生に囁きました。
「またいたわ」
「あの人達が」
「ええ、あそこ見て」
 先生にその右手を見る様に言いました、そして。
 先生も応えて見るとです、そこにでした。
 あのガラの悪い人達がいました、ベンチに座ってそれで行儀の悪い仕草で煙草を吸ったり缶ジュースを飲んだりしています、その人達を見てです。
 先生はです、こう言いました。
「やっぱりね」
「あの人達はね」
「いい人達じゃないね」
「悪い人達ね」
「所謂愚連隊というか」
「チンピラ?」
「そんなところだね」
 先生は困ったお顔でポリネシアに答えます。
「そうした風にしか見えないよ」
「そうよね」
「あの子達にはまだ気付いていないみたいだけれど」
「若し気付いて悪いことをしようと思ったら」
「その時は止めよう」
 絶対にというのです。
「そうしよう」
「うん、それじゃあね」
「あの人達も見ていよう」
 先生はこの時もこう言うのでした。
「あの子達の為にもね」
「そうね」
「あとお静さんだけれど」
 今度は足元からガブガブが言って来ました。
「今はもう、なのかな」
「うん、お姿を消してね」
 スナックコーナーでお腹を満足させたうえで、です。
「それでね」
「お二人の傍にいてなのね」
「囁いているよ」
 これまで通りというのです。
「そうしてるよ」
「そうなんだね」
「そう、だからね」
「心配しないで」
「お静さんのことはね」
 この人の場合はというのです。 
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